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【イベントレポート】 “モノ”のインターネットという概念を全否定しに来た!地域IoTサミットin天草

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2016年11月11日(土)、熊本県天草市で、初の地域IoTサミットが開催されました。株式会社ウフルの八子知礼氏らをお招きして開催された本イベント、今回はビジップ株式会社(http://www.bizship.jp/)の平野が当日のレポートをお届けします。

IoTビジネスの要諦?

「IoTは、モノ・コト・概念までを全て繋げる。業界などの境目がなくなってきた。」と八子氏は言います。

世界的に大人気のUberはタクシーを所有していません。また、Airbnbは家を所有していませんし、Amazonは2015年まで実店舗を持っていませんでした。これらの企業は全て、デジタル空間上でビジネスを展開しています。

「今まで、需要家のニーズ(誰がいつ何を欲しがっているか)はある程度把握することはできたが、供給側のニーズ(稼働情報)は、最近になって分かるようになった。」と八子氏は言います。

タクシーが今どこを走っているのかなどの情報は、最近になって、やっとスマホで確認できるレベルになりました。その供給側のニーズを知るためには、機械自体にセンサーをつけたり、自動車であればGPSの記録を読み取ります。

「人やモノがどのように動いているのかを把握する。これがIoTだ。」と八子氏。

業界の境目がなくなる

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「海外の事例ばかりですが、日本でもデジタル空間上でビジネスを展開している企業がある。」と八子氏は言います。

それが、Raksul(ラクスル)です。ラクスルは、輪転機を持たない印刷会社です。大手印刷会社が引き受けない小ロッドでの発注などを、その時空いている印刷会社とマッチングさせます。

「2015年2月40億円、2016年8月に20億円調達しており、おそらく数年以内に日本で10番以内の印刷会社になる。」と八子氏は言います。

「上海では、スマホでラーメンを頼むと、街中を走っている人が持ってきてくれるサービスも大人気で、これも機会損失を防いだマッチングサービスだ。」と八子氏。

また、世界では一日にものすごい量のデータが生成されており、BMWが1時間動くと1TB(GBの1000倍)のデータ量が、飛行機は数PB(TBの1000倍)、世界全体では、XB(PBの1000倍)ものデータ量が生成されているとのこと

そのうち、人間が利用できているのは数%。この原因として、「データが発生していることを知らない、もしくは捨ててしまっている、もしくは知ってて見逃している。」と八子氏は言います。

このようなデータをしっかりと活用してIoTが加速すると、あらゆるものの境目がなくなります。リアルな場で言うと「CDに付いた握手券や、LGBTなど、今までは別物だと思っていたものを区別する必要がなくなる。」とのこと。

人間とロボットも境目がなくなるだろうと予想しています。

「業界も同様(に区別する必要がない)です。」と八子氏。現在は、FinTechやEdTechといった分野が話題です。

「これは金融や教育の分野とIT業界の境目がなくなってきた証拠で、様々な業界が否応なしにITと繋がる。だから業界の境目を意識するのは辞めたほうが良い。」と言います。

前述したラスクルは印刷業ですが、印刷物を届けるための物流のためのマッチングサービスを立ち上げ、物流業にも進出しています。当初はeコマースから始まったAmazonも、現在では物流を抑える企業へと変貌を遂げています。

「シスコシステムズによると、全世界の企業において、1,440兆円の経済価値が生み出される。」と八子氏。
(参考:総務省平成27年度情報通信白書-http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc254120.html)

「これからは、資産を有効活用することによって、稼げる時代である。あまり稼働していない船や、家の前に置いてある車、空いている部屋などがお金に変わる。」と言います。

しかしながら、日本で今年生成された価値は1.3兆円ほどで、「IoTにはまだまだ課題が残っている。」とも語ります。

IoTが抱える課題

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「ITコーディネーターや大手インテグレーター、国・自治体の連携が必要。それぞれの強みを活かすことが大切だ。」と、八子氏は語ります。

地方のIoTでは、
1. 全部地場で、自分で作ろうと頑張る
2. できた仕組みを内緒にしようとする
3. できた仕組みでそのまま儲けようとする
といった「あるある」が存在する。

しかし、そうではなく、

1. 知ってる人のノウハウは借りる/真似する
2. 大した発想は出てこないので、できるだけオープンにする。
3. できたモノを安く提供して、それで新たに儲ける

といった、マインドが大事であるとのこと。

「これからはデータを売る時代ではあるが、そのデータをしっかりと整備することが必要。さらにそういったデータを蓄積していくことが資産になる。」と言います。

IoTは1社では実現できないビジネスモデルなので、マルチレイヤー(多層階)の企業と協力しなければいけません。八子氏曰く、「日本においては、人の問題がある。生産年齢人口率は63.8%(2010年)から58.1%(2030年)に下がる。そのため、『モノ』ではなく、『人』に着目したサービスが多い。」とのこと。

さらに、八子氏は、参加者へのメッセージとして、この時代において大事なことを3つ挙げました。
1.データ・知識は「量」が決め手
2.処理・分析は「質」が決め手
3.実現・現場還元は「速」が決め手

さらに、「インダストリー4.0を進めているドイツでは、ビジョンを明確にして、ひたすらトライすることが大事だと言われている。」と八子氏。

「真剣に考え、実行する人しか、リソース、支援が得られにくい時代に移行しつつある。しっかり腹を決め、本気でやらなければならない時代になった。」と続けて八子氏は中小企業や地域へ警鐘を鳴らします。

“NO IoT NO FUTURE”


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地方だからこそできる地域のIoT活用術

八子氏の基調講演の後は、熊本県内の企業3社による事例紹介。

まず初めに、九電テクノシステムズ株式会社。「次世代モビリティ×IoTで地域が変わる!」と題して、鶴岡 良一氏によるプレゼンが行われました。

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EV(電気自動車)を活用したカーシェアリングの取り組みを紹介。地方における交通インフラの限界に触れ、シェアリングやEVの持つ可能性を感じることができました。

次に、株式会社アクセント。「Pepperを利用した被災地支援の事例紹介」と題して、岩本芳久氏によるプレゼンが行われました。

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先の熊本震災に際して、Pepperを利用した被災地支援の取り組みを紹介。会場には実際にPepperが登場し、目や頭部についたセンサーで人を感知し、動く様子が見られました。

最後に、株式会社ワイズ・リーディング。「患者見守りシステム「Y’s Keeper」の事例紹介」と題して、相間章人氏によるプレゼンが行われました。
人工知能で医師のレポート作成を助ける「Y’s CHAIN」(http://labo.ysreading.co.jp/ai-labo/

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患者一人ひとりの位置情報を管理し、危険を回避する「Y’s keeper(http://labo.ysreading.co.jp/ys-keeper/)」の紹介がありました。

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その他にも、熊本県内の個人事業主や企業によるLT(ライトニングトーク)も行われ、非常に盛り上がったイベントとなりました。
地域で盛り上がりを見せつつあるIoT。今後の展開が楽しみです!

お知らせ

一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会では地域IoTサミットを全国で開催予定です。
地域や中小企業にIoTビジネスの要諦を伝えたい支援機関・金融機関の方は以下よりお問い合わせください。

▼お問い合わせフォーム

http://www.biz-solution.org/inquiry/

イベント情報

2016年11月24日(木)東京開催
中小企業のクラウド活用術を伝える「クラウドサーカス」
▼お申し込みはこちらから
http://cctokyo.peatix.com/

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