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奥谷孝司氏が語る!オムニチャネル時代に必要な考え方

次世代リテール研究所 ~第一回 奥谷孝司氏~

次世代リテール研究所は、どうすれば地域の小売りがもっと元気になるのか?という悩みの答えを探し、次世代のリテール作りに取り組む方々と語り合う連載企画です。
第一回目は、「世界最先端のマーケティング」の著者でありオイシックスドット株式会社COCOとして活躍される奥谷孝司さんに今の小売業で鍵となるオンラインとオフラインにチャネルを持つ中で重要なことについて語っていただきました。

奥谷 孝司 さん
オイシックスドット株式会社(七月より新社名:オイシックス・ラ・大地株式会社)
COCO(チーフ・オムニチャネル・オフィサー)
1997年良品計画入社。2005年衣料雑貨のカテゴリーマネジャーとして「足なり直角靴下」を開発し、定番ヒット商品へと育てる。2010年よりWEB事業部長に就き、「MUJI passport」をプロデュース。2015年10月にオイシックス(現 オイシックスドット大地)に入社。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。2017年4月から一橋大学大学院商学研究科博士後期課程在籍中。日本マーケティング学会理事。

奥谷さんと岩井琢磨氏が著者「世界最先端のマーケティング」では、オンラインでの顧客のつながりを活かし、オフラインで顧客を争奪していく今、いかに顧客のことをマーケターは知ることができるのかが鍵を握っていると主張しています。

今回の対談では「顧客を寄り添うことで何が分かるのか?」「顧客に寄り添うことで何が生まれるのか?」についてお話いただくとともに、今後の地域の小売の未来について語っていただきました。

なぜいまBwithCが必要なのか?実践するために必要なこととは

-奥谷さんはこれまでのBtoCの販売ではなく、BwithCの販売方法が大事だといわれてましたが、それはどうしてですか?

奥谷さん

BtoCの販売方法だと、どうしてもお客様に対してこちらから買ってほしいという押し付け感が出てきてしまいます。私自身顧客重視という考え方を持っているので、検討して選択して購入するという流れを重視しています。

ただ商品を買っていただくだけの販売方法だとBtoCでも可能かもしれません。
せっかく良いものを作っているのならば、購入者がまた買いたいと思ってもらうための商品づくりをしていく必要があります。
そういう意味では購入後もお客様に寄り添うBwithCの販売方法が大切です。

-では、BwithCの販売をするために必要なことは何ですか?

奥谷さん

お客様に開かれた仕組みを作ることが大切です。
例えばオンライン上にコミュニティを作る、また徹底的に顧客に寄り添うコールセンターなどを作ることで、お客様に使っていて良いブランドだなと思わせることができれば、お客様同士でお勧めしあってもらえることができ、商品が生活の一部に根付くことができるかもしれません。
この一連の仕組みをお客様が自然としてくれるための環境づくりをすることが重要です。

-顧客時間 (※1 )を意識し始めたのはいつからですか?

奥谷さん

無印良品在職時に早稲田大学のビジネススクールに通っていました。そこで通販に関する授業を受け、店舗を持たずに商品が売れる仕組みに驚きました。
通販業者は購買データをもとに様々な顧客とコミュニケーションを図り商品を売っていました。そういう意味で無印良品は強いブランド力で商品を売ってきたのですが、カスタマージャーニーつまり、顧客の商品を購入するためのプロセスを考え直す必要があると感じました。

そういった経験から、普段から商品を買う時にその商品をどうして買ったのかを時系列で考えるようになりました。
自分が商品を売るときにも同様に、検討・購入・使用・消費の顧客視点で施策立案しこのメッセージはBwithC(顧客に寄り添っているのか?)と問い直すようになりました。

-では、新規のお客様を呼び込むためには何が大切ですか?

奥谷さん

新しいお客様を呼び込むためには既存のお客様を大切にすることに尽きます。
新規のお客様にだけ着目して既存のお客様をないがしろにすることは一番ダメです。

お客様が既存のお客様なのか新たなお客様なのかを顧客関係マネジメントで特定することで、既存のお客様を大切にすることです。
お客様はそういう企業の姿勢を見ています。

-そういう姿勢を見ていく中で、お客様同士がお互いにお勧めしあってもらうことが一番大切ということですね。

奥谷さん

はい、それが一番信用出ますし、今は街を歩けば大量に広告があります。ただ無意識にスルーしているのが現状ではないでしょうか?
友達同士ですすめ合うことが一番心に響く時代です。

私はお客様が一番のマーケッターだとと思っています。なので、企業からお客様に一方的に買わせようとするBtoCの時代はもう終わっていると感じます。
これからはお客様、特にファンのお客様を巻き込んでいくことで、その会社の商品や会社自体に魅力を感じて新しいお客様になるということが増えていくでしょう。

オンライン企業のオフライン進出でビジネスが変わる

-海外や日本でいま注目している会社はありますか?

奥谷さん

圧倒的に興味があるのはAmazonです。
オイシックスに来た理由もこれからはオンラインでしっかりとした繋がりを作っている企業がこれからオフラインに進出することで、ビジネスを変えていくと思ったためです。
Amazonはオンラインでの素晴らしい買い物体験をリアルに持っていくために、「Amazon Go」をやったりするなど、従来の小売業にはない発想を持っている企業です。

日本ではZOZOTOWNに興味があります。ネット企業だけれども、顧客との繋がりを作り、楽しい買い物体験も提供している。
店舗重視の思考がどうしても小売業では強いですが、オフライン進出することなく、ネットで繋がりを作り成功しています。

地域のオフライン企業が生き残るために必要なこととは?

-オフラインの企業がオンラインにチャネルを持つことは、オンライン企業がオフラインにチャネルを持つのに比べてハードルが高いように感じます。その原因は店舗重視の考え方が根強いからだと思いますか?

奥谷さん

店舗重視の考え方が要因の一つです。オンラインにチャネルを持つことは、儲かる儲からないが不透明の中で不安を感じることもありますし、投資もかかるし、新しい運営ノウハウも必要となる。
また、日本企業は往々にして新しいことにチャレンジするときにやらない理由を考えてしまうことが大きな原因です。

-商店街や大型ショッピングセンターはこれからどうなっていくと思いますか?

奥谷さん

大型ショッピングセンターについては、ネットショップが当たり前になるまでは郊外にある店舗までお客様がわざわざ車で来ていて、そのプロセスが余暇の一つでした。
今はネットで気軽に買い物ができるため、オフラインでずっと待っていてもだめでしょう。

そこに立ち向かうために、オイシックスでも取り組んでいますが、移動販売などを通して、顧客の帰宅路線やオフィスの近くで販売することで一歩でもお客様に近づくことが大切だと思います。つまりお客様の導線上に寄り添うということです。

また、これは商店街についても同じことがいえるでしょう。
商店街はすでに地域密着という強みがあるので、その中で苦しいからオンラインにチャネルを持つのではなく、むしろお客様と繋がりを作ることを意識するためにオンラインにチャネルを持つことが重要です。
既存のお客様を大切にし、その繋がりをいかに可視化するのかが今後生き残っていくかどうかの分かれ目でしょう。

-地域の小売りが新たな価値を提供するためには何が必要だと思いますか?

奥谷さん

日本の小売りを見ていて、東京にある企業よりも地方にいて地元のお客様に向き合っている企業のほうが強いと感じます。
東京では特定の人と繋がりを作ることができなくても人口が多いため商品はある程度は売れます。

しかし、地方では人口減少も進んでいるので、少ない人の中でいかにお客様に密着し 繋がりを作ることができるのか。そうしたことができる企業は本当の意味で強い企業ですし、その繋がり作るということを大切にする企業こそが新しい価値を提供できるでしょう。

編集後記

奥谷さんへのインタビューを通して次世代の小売に必要なことはお客様との強い繋がりを作ることがなによりも大切だと感じました。
いつの時代においてもお客様との関係を築くのは大切なのは変わりないが、売り手目線のプロセスでものを作り、宣伝して、売るというところで終始しているのではないでしょうか?

買うまでのプロセスの楽しみですが、一番楽しみなのは買った商品を使うときです。このときの良い体験を提供できて、さらにネットを活用して商品を知る、買う、使うというお客様の顧客時間に寄り添う企業こそが生き残る企業でしょう。

地域の小売りはすでにオフラインでの繋がりはある企業のほうが多いため、売るためのチャネルではなく繋がりを作り続けるためのチャネルとしてオンラインを活用することが地域の小売にとっては大切といえそうです。

※1 顧客時間とは、消費者が商品を検討選択し・購入するまでに加え、その商品を購入後に使用しどのように感じたのかまでの時間のことである。

(編集:一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会 櫻木諒太 文:早川佳佑)

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