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ITマーケティングの落とし穴

コラム・連載

中小企業向けのセミナーで年に150回は話していますが、同じ土地でセミナーをしてもそのたびに集客人数には大きな偏りがあります。
(まあ、私がエバンジェリストとして個人のブランドでまだまだ勝負できていないという証明であったりはするのですが・・・)

満員だったり閑散としていたりするのは、集客方法や告知に問題がある場合も多いのですが、タイトルやテーマにも大きな影響を受けます。
大きな傾向としては、売上がすぐに増えそうなタイトルには食いつきがよく、地道に努力しましょうね的なものははっきり言って集客悪いです。

ネットを使って・・・・と来ると「すぐに売上アップ!」と直感的に発想してしまうくらい、IT=ネット販売=売上アップという幻想は大きいようです。
実際、それで一時的にでも売上が増大した中小企業も確かに多いことは事実です。しかし、それはITを使うことの本質とはあまり関係なく、どちらかといえば、販売促進・広告の手段がたまたまITだったというだけではないかと思います。

「売れる販促ポップの作り方、貼り方」と「ネットで集客拡大」は本質的には大差ありません。

このネットなどを使った販促マーケティングには実は大きな落とし穴があります。
それは、他と同じものを売る場合は、最終的には価格競争になり、その場合大手が必ず勝つということです。

IT経営大賞を受賞したサイボウズのロイヤルユーザーさんである山崎文栄堂さん(社員数30名の渋谷の文房具屋さん)では、地元で文房具を買うお客さんをコンビニなどに奪われてゆき、起死回生の一発としてアスクルの代理店販売に乗り出し、一度は成功しますがやがて猛烈な価格競争に巻き込まれました。

誰もやっていない当初は快調だったのですが、売れるとわかるとみんな参入してきます。
そしてとうとうAmazonがに日本に上陸し、総合的な品数でも価格でも勝負にならなくなってしまいます。

先日、熊本でお聞きした種苗屋(植物の種の問屋)さんでも同様の話がありました。
種苗分野としてはいち早くネット販売に乗り出し、地道に蓄積した8000ページのWebサイトをお持ちです。知名度でも種類でも日本一なのですが。それでも競合が増えるに従って単価の下落に悩まされる事態になりました。

現業で利益が少ない場合は、ネット販売で利益を増やすことはまず不可能です。
ネット販売では対面販売より安いのがもはや当たり前ですから。
「売れる販促ポップの作り方、貼り方」と「ネットで集客拡大」が同質ということはそういうことでそもそもの価値がなければ結局は勝てないことだと思います。

逆に、ニッチであっても独自の価値がある場合はインターネットマーケティングは非常に有効です。
その価値は、独自である必要はありますが、とんでもなくすごいものでなくてもいいです。

社員数3人で始め設立わずか10年で、国内グループウェアのシェアNo.1を取れたのは、「機能が少ない」、「営業マンが一人もいない」というハンディを逆手にとって、当時としては最も安く、買うのもつかうのも面倒ではない(ネットでポチるだけ)グループウェアをインターネット上で広めたことが大きな要因の一つです。

もちろん私たちもその後単価競争に巻き込まれ、売り方の工夫以外の本質的な価値の向上に取り組み続けています。
ですから、まずは「自社の価値を高める」か「価値を見つけ出して集中する」ことをやって、そのあとでネットでどうやって売ろうかを考えたほうがいいかと思います。

それでもネットショップやFacebook、Twitterを使って「短期的に儲けたい!」という場合は、最小の投資で誰よりも早くやってください。
ネットの世界では先行者利益は、私の経験では半年程度、長くても一年です。
単年度回収できない投資は止めたほうがいいと思います。

楽しい話を書こうと思ったのに説教臭くなっちゃってすみません。(^^ゞ

次回は、外部環境の急変により経営危機に陥った町工場が、経営改革で復活してゆく過程をお伝えしてゆきたいと思います。(シリーズ化予定)

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