地域や企業にデジタルトランスフォーメーションを実現するための情報をお届けします

中小企業IT化の罪と罰

コラム・連載

こんにちは、野水です。

エバンジェリストとかいうすごい扱い方をされていますが、名刺には恥ずかしくてまだ書けません。

ご存知ではない方のために説明しておくと、エバンジェリストとは元々は「キリスト教における伝道者」ことで、ITの外資系企業では一般的なのですが、知識や経験を元に所属する会社の技術や理想をわかりやすく説明するプロフェッショナルの呼び名です。

※ちなみに私の所属するサイボウズは、純国産の独立系クラウド(とソフトウェア)ベンダーです。

私は、前職が社員数5人の零細建設業の二代目経営者でした。もっとも、30歳にならない歳で経営者になっても、マネージメントの何たるかなど全くわからないですから、経営者としてはとてもレベルが低かったと思います。

弟を後釜に据えて、ITの勉強をしようとサイボウズに入ってもう12年目になりますが、30人足らずのベンチャー企業が東証マザーズへ上場し、社員数が増え続け、社長が代わり、東証二部、一部と成長するにつれ、本当にいろんなことを学びました。地方の世襲制の経営者って、ホントに何も経営のことなんて知らなかったんだという現実を嫌というほど知りました。

そんなこともあって、ここでは特に中小企業の経営者とIT責任者(っぽい人)に向けて、特に経営者目線でのITについて語ってゆきたいと思ってます。

初回ですから、やや刺激的なタイトルを付けてみましたが、IT化していいことばっかりという経営者は結構少ないんじゃないかと思います。ペーパーレスをするために(それ自体、目的が違う気もしますが)ITを導入して、結果プリントアウトする紙が増えてしまったケースとか、1000万かけてすごいシステムを導入して、全然使われずに埃をかぶっているとか、客先で商談する時間よりキーボードで報告書を書く時間のほうが長くなってしまった例とか、メディアではベンダーや広告会社の思惑もあって成功事例しか書きませんが、むしろ失敗事例のほうが今までは多いのではないでしょうか。

私も前職時代、建設現場の現場事務所に伺って、調子が悪いと言われたファイルサーバーの中を覗いたら、中身が20歳以下NGのファイルで埋れていたのを見たときには、「一体、仕事中この人は何やっているんだろ?」と呆れたものです。

そんな目的外の使用はもちろん仕事の生産性を下げますが、本人は一生懸命でも結局生産性を下げている例も枚挙に暇がありません。よくあるのが几帳面な担当者(主に◯所や◯士と呼ばれる人に多い気がします)のフォーマット至上主義。罫線の太さや文字の間隔まで気にします。ご本人に悪気はないのでしょうが、間違いなく生産性を下げています。そういう時に限って、罫線は完璧だけど中身がスカスカだったり間違っている書類が大量生産されます。

オフィスソフトやCADソフトは修正が容易になるというのが大きな利点です。だからといって何度も修正したり、自己満足を目指して自分が完全に納得行くまでこだわると、反対に生産性が下がります。

サイボウズが出しているグループウェアにおいても、成功例ばかりではありません。「全然議論が盛り上がらないんです」とおっしゃる会社のグループウェアの画面を見ると、報告書にコメントをすべて書くところまでは素晴らしいのですが、すべてが指摘や改善指示、つまり説教であったりします。

自分からわざわざ説教部屋に入って全社員が見ている前でいじられるのが好きなマゾ社員なんて、そう世の中にいるものではないでしょう。

結果として、「職場に紙が増え」「商談よりレポート書いている時間が長く」「何度も修正しているうちに嫌気がさし」「冷たいコミュニケーションが増え」「誰も使わないシステムがゴロゴロしている」IT化された職場が完成します。

どうしてこうなってしまうのか?

誤解を恐れずにあえて言うと、全部経営幹部が悪いです。もっと言うと、導入の目的や運用方法まで担当者や業者に丸投げする姿勢が問題です。IT導入の目的は、「儲ける」ためです。「儲ける」とは「売上を増やす」か「経費を下げる」のどちらかによってしか達成できません。この目的をきちんと伝えなかったり、理解させないままいろんなITシステムを導入を任せると、上記のような典型的失敗事例になります。

グループウェアの例で言えば、経営者はキーボードを打つ速度が遅くてもかまわないと思います。マネージメントの仕事は方向性を示すことと判断と評価ですから、休日の夜に一番いいことを書いてある日報やレポートに「ありがとう」と一つ書くだけで役割の半分くらいは達成です。

サイボウズ Office の最新バージョンでは「いいね!」ボタンも付いていますからクリック一つで済んだりします。

職場に最初にコピー機が入ったとき、誰もが感動したことと思います。コピー機以前の時代を知る先輩に話を伺うと、それまで会議資料をカーボンコピーで何度も書いて徹夜したのが、ボタンを押して機械を見ているだけで魔法のように量産されてゆくのを夢見心地で見ていたとおっしゃいます。

このようにIT(当時はOAでしょうが)を導入すると、仕事は楽に便利になりわくわくします。みんながわくわくするITの導入をしたいですよね。

次回以降、そんなわくわく(時にはドキドキ)する事例や最新情報を紹介しながら、中小企業の楽しく儲かるIT化を探求してみたいと思います。

 

SNSでフォローする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA