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第3回 経営サイクルとバランス・スコアカ-ド(BSC)

私は、経営サイクルが徹底されていないことが、中小企業経営の課題のひとつと考えています。BSC(バランス・スコアカ-ド)に出会い、この経営手法が導入できれば「経営」そのものに対する理解が深まるはず、と考え取り組みをはじめています。

1、目的と手段
 日本の中小企業に、BSCはなぜ普及しないのか。中小企業といっても小規模零細から中堅中小企業まで、その組織には大きな違いがあります。会計事務所の顧客にBSCを普及したいと考えているのですが、最近になって「視点」が誤っていることに気づきました。それは次のことです。
① Robert S.Kaplan と David P. Norton(以下キャプランとノ-トン)によって発表されたBSCは大企業の経営手法を分析評価したものであること
② 会計事務所の顧客は10人以下の組織が8割以上を占めること出発点は、小規模組織の企業でも大企業の経営手法を学ぶことにより、経営力の強化ができるはず、という考えでした。そして、手段であるはずの「経営改革にBSCを活用する」ということが目的になり、目的である「中小企業の経営改革」の取り組みが見失なわれていたのです。

2、BSCの変遷
 改めて、BSCの変遷を調べてみました。Diamond Harvard Business Review(以下D-HBR)によると、キャプランとノ-トンによって発表されたBSCの主な論文は以下のようになっています。
「バランスド・スコアカ-ド」財務・オペレ-ション両面を4分野から見る
バランスド・スコアカ-ドは過去の成果を表す財務諸表のみならず、将来の業績を占うオペレ-シヨン面も指標も入った新しい経営指標である。(1992年1-2月)
「ストラテ-ジ・マップ」有形固定資産の効率性と無形の資産の価値を高めるバランスト・スコアカ-ドの実践ツ-ル
競争力の源泉が生産設備や営業拠点といった有形資産から、人材、ノウハウ、技術といった知的資産に移行している。このような「無形資産」(intangible asset)を測定・評価することは、従来の財務諸表では限界があった。そこで登場したのが「バランスト・スコアカ-ド」である。企業活動を、財務面と共に、顧客、業務プロセス・成長、学習の4つの視点から分析する手法である。(2001年2月)
③ 「戦略テ-マ」BSCの新ツ-ル 大規模な組織改編は必要ない
これまでバランス・スコアカ-ドは、主に部門の業績改善に用いられてきたが、新たに「戦略テ-マ」というツ-ルを活用することで、全社的なシナジ-を生み出し、企業価値を高める仕組みができあがる。 (2006年7月)
 その後、2007年キャプラン博士が来日し、東京でBSCの「アジア太平洋サミット」が行われ、「戦略実行ギャップを埋める」というテ-マで、戦略実行をしている企業としていない企業を比較し、戦略実行のために必要なプロセスやリソ-スを通して、戦略を実行に結び付ける統合モデルをBSCにより説明しています。

3、戦略テ-マ
 BSCは、①長中期経営計画と②単年度経営計画を結びつける役割も果たしてくれます。「ストラテ-ジ・マップ→戦略マップ」は、①と②を融合して表現できます。私は、経営計画策定にあたり、①を策定し、②が①を実行するためのものと位置づけているのですが、経営を対局的にとらえるBSCの視点は、その習慣から考え「壁」になっています。キャプラン博士は「戦略テ-マ」(D-HBRの2006年7月号)について「企業戦略と戦略テ-マは、共に価値創造の仮説」と表現しています。紙面の都合で、考えの背景を述べることができないのですが、私は、戦略実行の手法として「戦略テ-マ」の活用に着目しています。

4、会議活動と戦略テ-マ
 経営サイクルの徹底には、評価(check)と改善(act)とが大切です。私は、それを実行し浸透させる場が「経営会議」であると考えます。会議は、一般的に予算と実績の比較をし、生じた乖離を追求する「場」と位置づけられていますが、経営戦略で最も重要なものを「戦略テ-マ」にして、財務・顧客・業務プロセス・人材と組織の4つの視点で検証し、「戦略マップ」を作成して業績評価指標とアクションプラン(行動計画)を示し、その評価と改善策を会議で行うということができれば、戦略実行のスピ-ドがあがるのではないでしょうか。会議の生産性向上も図れます。

5、まとめ
 戦略テ-マを戦略マップで4つの視点から検証し、業績評価指標と行動計画につなげる手法と「会議活動計画」をMicrosoft office sharepointを活用し、ASPで運用することができれば、参加メンバ-は、これまでの会議でどんなことが話し合われ、結論・決定事項はなにか、やるべきことは継続して実施されているか、会議の経過をいつでも(会議の前、あるいは必要な時)どこでも(部署や営業所がどこにあっても)確認することができます。さらに、BSCの手法で作成された業績評価指標の達成度を、目標達成は緑、達成していないが許容範囲は黄色、未達成は赤と進行度を表示することにより、可視化がより可能となります。新しい経営手法と言われるBSCとIT活用で「経営革新」を図りましょう。

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