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第2回 バランス・スコアカ-ド(BSC)活用事例

中小企業の多くは、経営計画を作成しても実行していない。計画と実績に乖離が生じても、どのような対策を打てばよいのかわからない。という状況にあります。私がBSCに取り組んだのは、自社の経営計画を行動計画と数値計画に区分し、毎年作成しているが、実行できないことが多すぎる。そして、できないことをまた翌年の目標に掲げているということに気づいた時からでした。

 経営方針や行動指針は、書籍や同業者から毎年送られてくる経営計画書を参考に「あるべき姿」を書き記し、今年度はこれを目指して欲しいと発表していました。予算達成ができたとしても、経営計画に書いてあることを実行したからではなく、予算達成ができなかったとしても経営計画に書いてある通りやっても成果がでなかったのではなく、他に要因があるという事実に翌年度の計画作成に着手してはじめてわかるという状態でした。

1、 BSC活用までのステップ
 当社は、前回紹介したニデコヒジネスソフトのMyBSCを使っています(ASP)。また、余計なことが始まったと考える社員に理解してもらうため、次のようにステップを踏みました。

 (1) 初年度(2006年) 経営計画を戦略マップにおとしこみ、財務・顧客・業務プロセス・人材と変革の各視点が目的と手段で接合されていない、業績評価指標的なものはあっても定義、測定、管理という要素が特定できないということを確認。次年度の計画作成に活かす。

 (2) 第二年度(2007年) 戦略マップを作成し業績評価指標(KPI)が特定できるよう行動計画を作成し、数値計画をまとめる。KPIの測定と管理に全社員が係ることができるように決め、BSCそのものに関心を持ってもらうよう努める。

 (3) 第三年度(2008年) 幹部社員と戦略マップ、KPIを設定。全体会議はBSCを見ながら実施することが習慣化。業績に反映されない戦略目標、目標達成しても業績に影響のないKPI等が明確になってきた。

 (4) 第四年度(2009年) 今後の組織強化を考え、顧客セグメントと集中すべき業務を特定。組織図を再編、勤続年数10年以上の社員が多いため、業務経験を生かした経営支援サ-ビス提供に戦略転換。組織体系と業務に関連づけた、KPI設定を模索。運用中。

2、 BSC導入により組織はどのように変わったか
 BSC導入までは、経営計画に書かれた戦略があっても日常業務優先、自分の領域の仕事をしていれば給料はもらえるので、新たなことに取り組む必要はないという超保守的な社風でした。BSC導入とともに、マイクロソフトのサ-バ-を入れ、情報活用と共有の仕方を変更、加えてフリ-アドレス制にして、どの場所に座っても、自分のパソコン環境が使えるようにし、さらに、DocuWoksを導入して、ペ-パ-レスに変えてしまいました。劇的な環境変化です。社員はだいぶとまどったと思います。「習慣を変える」がテ-マでした。BSCはその役割を見事に果たしてくれました。経営計画の実行に社員全員が参加する社風に変わったのです。キャプラン博士の「戦略実行の組織」には、まだまだ至らないのですが、なぜその戦略を実行するのか、そのための社員や幹部の役割は何かということの浸透が図れる組織に変わってきました。

3、 BSCを活用してわかったこと
 BSCを導入すれば、すぐれた戦略を編み出すことができ、業績向上を図ることができる。多くの企業は、そのような目的を持って運用をはじめます。しかし、経営サイクル(P-D-C-A)さえ定着していないのが現実です。当社も同様でした。あきらめずやり続けることにより、はじめて次のステップが見えてきます。「あるべき姿」を描き、ベストを目指してスタ-トしても現状とのギャップが大きく、その先に待っているのは「挫折」です。試行錯誤して、そのことがやっとわかってきました。

すぐれた戦略を編み出し、業績向上を図るというレベルまでBSCを活用できるようになるには「大きな壁」に直面します。だからと言って、BSCを安易に業績評価のツ-ルとして使うことは避けます。経営そのものが難しいのですから。

次回は、経営サイクルを回す仕組みとBSCの役割について実際に実施している事例をあげてまとめとします。

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