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第2回 ITとビジネスモデル

皆さんこんにちは、全国IT推進研究会の村瀬です。前回は、日本の中小零細企業におけるIT導入の現状について、実態は「集計機+清書マシン」にすぎないのではないか?という、私が感じている日頃の疑問を書きましたが、読者の皆さんはどう思われたでしょうか。ひょっとすると、私の関与先のレベルが低すぎて話にならないというだけなのかもしれません・・・それならある意味問題ない訳ですが、中には、「集計機+清書マシン」で何の問題があるのかわからないという方もいるでしょう。そこで今回は、「IT化」とビジネスモデルについてお話させていただこうと思います。

 話をわかりやすくするために、小売業を例に考えてみます。とにかく物があふれている昨今です。よほど特殊な商品やサービスならばともかく、普通の商品ならば、どこでも手に入ります。当然、消費者は、お目当ての商品なりサービスをどこで手に入れるか比較することになるので、競争はどんどん激化するばかりです。そんな中で企業が生き残っていくための課題としては、とにかく販売機会を逃さず効率的にキャッチし、しかも徹底的にローコストでオペレーションをしなければなりません。

 これは小売業として矛盾する内容を含んでいます。小売業において販売機会を逃さないということは、すなわち、顧客が買いたい商品が必ずあると言うことですから、品揃えを増やすことになります。同じような商品でも、多数のメーカーがそれなりに違いのある商品を生産しているのですから、顧客の好みにいちいち対応しようと思えば商品点数を増やさざるをえません。しかし、同種の商品で商品点数が増えれば売れ残りの在庫は当然増えることになってしまいます。在庫が増えればそれだけ資金が寝るわけですから、財務的に問題がおきる危険があります。商品陳腐化のリスクもあります。結果的に価格競争力が落ちれば致命傷になりかねません。しかし、在庫をしぼれば顧客のニーズに対して欠品の割合が増える訳ですから、もとに戻って販売機会を逃しかねません。ここに矛盾が生じるわけです。

 矛盾は解決されなければなりません。そして、こうした矛盾を解決するソリューションとしてITというものがあるはずなのです。

 小売業において、こうした矛盾に対応した業態として、コンビニエンスストアがあげられます。コンビニエンスストアは、比較的小規模な店舗において、バックヤードに一切在庫を置かず、とにかく徹底的に売れ筋の日用品だけを店頭販売する、という業態です。この業態を支えているシステムは、小規模な店舗で在庫が少なくても販売機会ロスを起こさないようなマーチャンダイジングが可能となる、つまり矛盾を解決するソリューションとなっているのです。在庫管理システムと販売管理システムに、受発注システムと配送網が見事に組み合わさって、この業態を支えています。ここでは、どの商品をいつどれだけ発注するかという意志決定に必要なシステムになっています。

 コンビニエンス業界がIT化のひとつの回答であるとすると、IT化に対応するためには皆コンビニ業界と同じようなビジネスモデルでいかなければならないのでしょうか。いや、そんなことはありません。コンビニ業界と対照的なビジネスモデルも存在します。その一つとしてあげられるのが、ホームセンターです。

 ホームセンターは、皆さん行ったことあると思うのですが、だいたいどこでも山のように在庫商品がぎっしり並んでいます。そして、「あそこならあるだろう」と期待をするに十分な品揃えとなっています。つまり、ここでは特定の分野について、ぎっしり在庫を並べる圧倒的な品揃えで集客力を増強し、販売機会ロスを無くすことで収益を支えているわけです。あれだけの在庫はただやみくもに仕入れて在庫を積み増すだけでは、ビジネスにならないはずです。売り場というのは、少し気を抜くとあっという間に新鮮さが失われます。商品には「鮮度」があるのです。陳腐化リスクや死に筋商品を避けながら、しかも圧倒的な品揃えを用意しなければなりません。コンビニ業界とはまた違った商品政策、在庫政策が必要になるわけで、それを支えているのは、ここでも在庫管理システムだったり販売管理システムであったりします。

 さて、コンビニエンス業界は徹底的に在庫を絞り込んで効率を追求する業態であり、ホームセンターは逆に在庫の豊富さで集客を追求する業態です。ビジネスモデルとしては、まったく正反対といえるのですが、いずれのビジネスモデルもITが深くかかわっています。ここでは、在庫データや販売データを蓄積し、その分析にもとづいて様々な意志決定がなされています。また、ネットワーク化によって対応を迅速化し、効率的でローコストなオペレーションを実現しています。

 そこで、お聞きします。あなたの会社の「IT」は、どのようなビジネスモデルとして、問題を解決してくれてますか?

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