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第 1 回 「便利な道具」

○道具の進化

私が子供の頃 (昭和 30 年代後半の頃のことです。ちなみに私は、現在 55 歳です。)
には、道路工事現場で地面に穴を掘る作業では、見るからに屈強な男たちが ツルハシ (経革広場 注
:先端を尖らせて左右に長く張り出した頭部をハンドル部分に直角に連結した道具)
やシャベルを使って、工事現場で穴を掘っている光景をよく見かけました。子供心に「本当に強そうなおじさんたちだな」と思ったのをおぼえています。

今でも目をつぶると、真夏に上半身裸の日焼けした太い腕の男たちが、ツルハシやシャベルを使って、汗をたらしながら地面に穴掘を掘っていた工事現場の光景が浮かんでくる。まだ、小さかった私にとって、大人の男たちの力強さを感じる光景でした。

しかし今どき、この様な光景を目にすることはなくなりました。今では、屈強な男たちの代わりに「ユンボ (経革広場 注
:一般には油圧ショベル、パワーショベル、バックホー等と呼ばれる建設機械の呼称のひとつで、日本においてはレンタルのニッケンの登録商標)
」が穴を掘っています。狭いところでも、小回りのきく小さなユンボが、男たちの代わりに穴を掘っているのです。穴を掘る作業は、昔の工事現場で見かけた男たちの作業よりはるかに速いのです。さらにびっくりする時があります。それは、ユンボを操作している人が若い女性の時です。

昔は力自慢の男性が、ツルハシ等を振り上げて「エンヤコラ」?
と掛け声をかけて穴を掘っていたのが、今は、か弱い女性が、頭にヘルメットを被りユンボに乗って涼しげな顔をして、穴掘り作業をしているのです。

このように工事現場の道具が、ツルハシやシャベルから、ユンボへと大きな進化を遂げています。今日では、建設業の経営者で、穴掘り作業のために力の強い男たちを採用する経営者はいないでしょう。穴掘り作業のために準備するのは、穴を掘る道具とその道具を操作できるオペレータではないでしょうか。

○私の考える中小企業にとっての IT 化

会社業務の IT 化が、会社の事業の目的である中小企業はないはずです。中小企業にとっても、お客様への価値 (サービスや商品等)
提供と社員の雇用の継続、そのために会社を維持存続していくことが、組織の大きな目的ではないでしょうか。IT
化はこれらを実現するための手段であるはずです。この事を考える時、私は「中小企業の IT 化」には 2 つの種類があると感じています。

1 つ目は、「しなければならない IT 化」です。怠ると会社の未来がなくなる IT 化です。

会計事務所の業界で、これに当たる事があります。ご存知のように、政府は電子申告を推奨しています。これだけ電子申告のコマーシャルがマスコミ等で流れ、世間一般に電子申告の情報が行き渡ると、会計事務所が、お客様の「電子申告で申告してみたい」との要望を無視することはできません。電子申告は、会計事務所業界の「しなければならない
IT 化」であることは間違いありません。

2 つ目は、「行うと便利な IT 化」です。これは「現在行っている業務を便利な道具 ( IT 化) を使って行う事」です。

道路工事現場の穴掘り作業のように、便利な道具を使うことにより、作業の効率が格段に上がり、同時に正確性も確保できます。このような、便利な道具を使える業務が、中小企業の社内業にも多々あると思います。

例えば、経理業務をするためには簿記の知識が必要でしたが、パソコン会計ソフトを利用することにより、簿記の知識がなくても経理業務が出来るようになります。計算
(四則演算) はどうでしょうか。「そろばん」から「電卓」、「電卓」から「表計算ソフト」へと道具が確実に進化しています。私どもの会計事務所業界でも、「そろばん」
→ 「電卓」 → 「表計算ソフト」と、使う道具が変わりました。今では、そろばんで計算をしている会計事務所は皆無だと思います。

年賀状印刷ソフトや文書作成ソフト (Office Word
や一太郎等)を使うと、字が下手な人であっても、上手な字で文が作れます。私も大変重宝しています。

以上が、「行うと便利な IT 化」の一例ですが、資金・設備・人材が十分でない中小企業においては、やみくもに IT
化をすべきではないと思います。「今ある業務を IT に置き換える」が基本だと思います。無理に IT
化を図るとかえって仕事を増やす結果となったり、今までの会社の良い特徴をなくしてしまうことだってあり得ます。

「しなければならない IT 化」は全て取り組み、「行うと便利な IT 化」のうち、取り入れる事を適切に選択すれば、IT
化とは便利な道具の利用になる事は間違いありません。

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