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事業再生の背景

コラム・連載

事業再生の背景(1)
「事業再生」は、バブル崩壊後に生まれた言葉です。
それまで企業の倒産は経営者の社会からの退場を意味しておりました。
バブルは1985年9月のプラザ合意に始まりました。低金利政策のもとお金は土地と株に向かったのです。
1990年4月、大蔵省は土地の取引を抑えるための総量規制を出し、不動産の高騰による資産格差は社会問題となり、日銀は金融引締めに走りました。
バブルは1991年の末ごろに終焉を迎えます。日本経済は景気後退への道をひた走り、不動産業を中心に倒産が続出しました。
それまで日本の経営者にとって倒産や破産は恥辱でありました。しかしバブルの発生とその崩壊は政策のミスに負うところが大であり、倒産は企業の責任ではないという考え方が広まりました。
このように経営環境と企業経営が悪化するなか、1995年ごろからは民間金融機関のいわゆる「貸し渋り」や「貸し剥がし」の問題が表面化してまいります。
また、倒産が金融機関にも波及したところから、監督当局は1997年4月に、金融機関の経営の健全性を確保するという目的で「早期是正措置」をとりました。
続いて金融庁からは「金融検査マニュアル」が出され、金融機関の貸し出しルールが従来のそれとは激変しました。

事業再生の背景(2)
金融機関の貸し出しルールが変更されたため、企業の返済が滞り倒産は日常化することになり、倒産を恥とする風土はここに終止符を打ったのです。
2000年4月には、民事再生法が施行されます。また政府も貸出債権のオフバランス化推進を目的としてRCCの設立や企業再生ファンドの創設を認めるようになってまいりました。
民間においても税理士や会計士、または自らの倒産体験をもとにした方などにより、事業再生に取り組む人たちが現れてきました。
では事業再生はどのような企業でも可能なのかというと、そうではありません。事業再生の手法が開発されたからといっても再生が不向きな会社の方が圧倒的に多いというべきです。
企業の倒産には販売不振、過剰投資、品質劣化等々様々な要因がありますが、その原因を深く観ていくと、そこには経営者の体質というものが見て取れます。
倒産する会社の経営者というのは、生活が派手であったり、何かにつけてルーズであったりするものです。不渡手形を掴まされ、あるいは過剰投資が過ぎて倒産の憂き目を見る場合などでも、そこには経営判断の甘さがあるわけですから、やはり経営者の体質が関与しているとみて差支えありません。

事業再生の背景(3)
事業再生とは、直接的には破綻しそうな会社を債務カットや会社分割などの外科的手法を用いて立ち直らせることをいいます。
健康な会社なら人の意見も聞き、常日頃から経営チェックをしてその体質の維持管理に努めますから、いわば毎日が事業再生をしているようなものです。
したがって事業再生というのは、倒産しそうな会社特有の問題ではありません。
では倒産しそうになって、再生ができる会社とはどのような会社を指すのかということですが、まずは収益の柱となるような事業があれば、それを中心に置くことで再生が可能です。
また目立った収益の柱は無くとも、一連の再生プログラムを実行するなかで、経営者が気の重い資金繰りに追われなくなり、本来の事業目的に邁進できるような体制を創れるなら、これも再生は可能となります。
しかし経営者の劣化に起因する経営悪化はどうしょうもないことが多いのです。このような会社を再生する場合一番確実な方法は、社長が交代することです。
既に倒産してしまった会社でも経営者が代わっていれば、破綻を免れた会社というのは数多くあったはずです。本当に残念なことです。

 

税理士  倉矢 勇
倉矢勇税理士事務所所長
URL:http://kuraya-osaka.jp/index.phtml

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