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ウイズコロナの弁護士業務を展望して

1.コロナショックが弁護士業界に与えた影響

昨年4月と今年1月と2度にわたるコロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言で,法律家業界にも大きな変化が生じつつあります。私の事務所は弁護士・事務職員約60名が同じビルの2フロアーに別れて業務を行っているので,密を避けるためここ1年以上,大規模なリアルの会議は全て中止し,分散会議やzoom会議に切り替えました。1回目の緊急事態宣言のときは裁判期日の取消しなど業務が遅延することがありましたが,今年の2回目は対応する体制ができていて通常通り動いています。民事裁判は地裁本庁ではマイクロソフト社のチームズを使ったWeb会議が増え,地裁支部でもこの4月から運用予定です。顧客との相談や打合せはまだリアルでの対応多いですがいずれWeb対応が増えていくでしょう。私は,自宅と事務所がやや遠隔なため以前からリモートで在宅で執務することが多く執務状況はコロナ禍でもあまり変化がありません。コロナ対応策の一つで事務所にかかってきた電話が内線(IP電話)で私のスマホに転送され,自宅にいても事務所で電話を受けたと同じ環境ができて便利な時代になったものだと思います。

2.コロナ禍を逆手に取った事業再生

昨年,新型コロナの感染が拡大した頃,私は宿泊観光・飲食・イベント関連など経済的打撃が大きい業界を中心に,これから倒産案件が拡大して弁護士業界は忙しくなると予想したのですが,国や金融機関がジャブジャブをお金を出したためこの予測は外れました。企業倒産は増えていないというのが実感です。今年の緊急事態宣言では時短・休業要請に応じれば1日当たり6万円も協力金を得られたので中小零細の飲食店などコロナ太りが起きているようにも思います。

反面,数は多くないですが,永年,過重債務に苦しみながら努力して営業を継続してきた会社が,コロ

ナ禍を口実にして事業を畳み別会社で事業承継する例をいくつか対応してきました。コロナ禍で休業や時短ということになると持続化給付金その他の公的支援を受けても経営存続は難しいとの感覚があったり,金融機関は大幅に融資残高を増やし業績好調なためか,債権者が債務超過会社の破産処理に寛大になっているような気もします。コロナ禍は経営不振会社が優良部門を残して別会社に承継するいいタイミングで,各地の経営コンサルさんにはビジネスチャンスが到来しているように思いますが,いかがでしょうか。

3.弁護士ビジネスの再構築

最近,船井総研に多額のコンサル料を支払って弁護士業務の変革に挑戦中の同僚弁護士から刺激を受けています。彼がいうのは,狩猟民族型から農耕民族型へ(スポットで訴訟依頼を受けるのでなく少額でも顧問契約締結を重視して取り組む),デジタル資産の追及(経営者のハートを突くメルマガを定期発信して潜在顧客の育成をする),Web対応の拡大(例えば社用車で顧問先回りをしている道中に時間がきたらコンビニ駐車場でWeb裁判や打合せをやるイメージ),都心部の高額家賃の事務所スペースを減らして賃料コストを他に活用しよう,などの構想です。私も1月から世代を跨ぐ6名の所内弁護士でTF(トリプルフロンティア)というチームを作って,旧来の弁護士ビジネスとは少し違う,新しいマーケティングを行おうと取り組んでいます。

高齢期を迎え,中堅若手の所員ができる仕事は彼らに任せて業務の集中と効率化をはかること,体の負荷を減らしながら機動的に動ける執務環境を作ること(専属運転手の採用)など,新しいことに挑戦中です。

執筆者

佐久間 信司氏

弁護士
NPO東海事業支援機構 理事長
中小企業支援法務(事業再生や事業承継の指導,事業者の倒産処理,
M&A指導,企業顧問業務など)など会社法務が中心。

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