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不動産鑑定の必要性

不動産鑑定士とは、「不動産の鑑定評価に関する法律」により制定された国家資格であり、不動産の価格や賃料を求めるために必要な資格です。

不動産鑑定士の役割

不動産の鑑定評価は不動産の適正や価格や賃料を把握することを目的とし、不動産鑑定士は客観的な立場で理論的に評価を行います。不動産の鑑定は大きく分けると公的機関(国・地方公共団体など)からの依頼と民間(一般法人や個人)からの依頼に分類され、皆さまからの依頼は後者に相当します。

民間からの依頼目的は、遺産分割、売買、賃料の減額や増額、立退きの参考など、多岐にわたります。特に売買は同族間または債務整理に係るものが多く、事業承継や事業再生の局面において活用されています。いずれの依頼目的においても、提出先または相手方の説得材料のための公的な証明として用いられることが大半となります。

不動産鑑定の必要性

不動産の価格を知りたい場合、1)税理士に計算して貰う(税務評価)、または2)不動産業者に査定して貰う、といった方法もありますが、なぜ不動産鑑定が必要とされているのでしょうか。2点を比較することにより、不動産鑑定が必要とされている理由を検証してみます。

1)税務評価との比較

①税務上の計算方法

税務上の時価は以下の方法により計算します。

(国税庁の相続税路線価)÷0.8×(画地補正率)

画地補正率は角地や不整形などの土地が有する個別性を指します。これは、一定の決まり、すなわち財産評価基本通達に従い計算するものであり、誰が計算しても概ね結果は同じになります。ただし、この計算方法による価格は実際に売買できる価格とは異なる場合もあるため、「みなし時価」と呼ばれています。

②鑑定評価

評価の各段階において不動産鑑定士の「判断」が含まれることから、同じ不動産を評価しても、不動産鑑定士によって評価が完全一致することは稀であると言えます。

不動産鑑定士によって、結果が異なることについて疑問を持たれる場合もありますが、案件に応じて様々な分析を行った上、価格判断をしているためであり、むしろ当然のことであると言えると思われます。

2)不動産業者の査定との比較

①不動産業者の査定

不動産業者はその地域の売買に精通しているため、売れる価格の水準を把握しているでしょう。ただし、不動産業者の査定は意見として提示するものであり、「参考」としての性格に留まります。また、不動産業者により査定内容や精度も異なり、法的責任がありません。このため、税務署や裁判所といった公的機関に提出するに当たっては、留意する必要があります。

②鑑定評価

不動産の鑑定評価は、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき、市場における適正な価格を把握することを目的としています。鑑定評価は豊富な資料に基づき、詳細な調査及び価格に影響を与える様々な要因の分析を行って不動産の客観的かつ適正な経済価値を表します。作業が多岐にわたっており、不動産業者が査定する期間よりかなり長い期間を要することに疑問を持たれる場合もあります。しかし、評価結果に対する説明し得るような調査・分析を丁寧に行っているため、ある程度の時間を必要とすることも当然かと思われます。

このように、不動産鑑定士により理論的に導き出された価格は信頼性が高く、説得力に優れているため、関係当事者はもちろん、公的機関から個人間の取引に至るまで広く利用して頂けます。だからこそ、鑑定評価は不動産鑑定士のみが行い得る独占業務であり、適正な価格の提供を業とする唯一の専門家として国家資格を付与されています。

また、不動産の鑑定評価により求めた価格は、依頼者のみならず第三者に対しても影響を及ぼし、さらには不動産の適正な価格の形成の基礎となるものであり、その社会的公共的意義は大きいと言えるでしょう。

執筆者

伊東 玉喜

伊東 玉喜 氏
不動産鑑定士

関西学院大学卒業
2005年不動産鑑定士登録
2008年株式会社 クラヴィス鑑定事務所 設立
特に投資の観点からの「売れる価格」はいくらか、という鑑定評価を得意とする

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