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国家戦略特区について

昨年10月の日本経済再生本部で「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」が決定されてからもう1年以上が経過しました。ここいらで、国家戦略特区を巡る動きは非常に具体化しており、今改めてこうした動きをレポートしていきたいと思います。
まず、11/1時点で現在特区に指定されている地域は6地域あります。
1、東京圏 東京圏国家戦略特別区域
指定区域:東京都千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・江東区・品川区・大田区・渋谷区・神奈川県・千葉県成田市
追加指定見込:東京都台東区・中野区・豊島区・墨田区・北区・板橋区・荒川区・練馬区
東京圏は知事の交代などもあり、具体的な事業計画は未定となっています。枡添知事は特区に積極姿勢を示しており、9月に区域の追加指定の申し入れが行われたほか、多摩地域や島しょ地域への区域を広げる事を検討されています。具体的には、島しょ地域での都市農業などが検討されるようです。
 
2、関西圏 関西圏国家戦略特別区域
指定区域:大阪府・兵庫県・京都府
関西圏で現在認可されている事業計画は2つあります。一つは独立行政法人等の一部医療機関で海外承認薬の利用が認められた事と、もう一つは医療系の研究施設に併設する病院の病床数規制緩和が行われました。現況ではこれらの規制緩和は事業主体が独立行政法人等に限定されており、混合診療に関しては民間病院への適用は慎重な議論が続いている状況です。現況、事業計画はほぼ未定と言って差し支えのない状況ですが、特に大阪から積極的な提案が出ている事が見逃せません。タクシー規制の緩和、介護福祉士の外国語試験実施・在留資格要件緩和、投資・経営の在留資格要件の緩和など、その中には独自かつ市場への影響が大きい物が含まれています。
3、沖縄県 国際観光拠点
沖縄は国家戦略特区以外にも既に3つの特区に指定されている、特区のベテランです。国家戦略特区に指定される以前から、投資税額控除・所得控除・特別償却(個別に要件を満たした上でいずれか選択適用)など、かなり踏み込んだ投資優遇策が認められてきました。
特に雇用対策が重要視される中で、従来より投資優遇・産業育成に積極的である中、国家戦略特区では観光に重点を置いた事業計画が期待されます。
未だ具体的な事業計画は未定であるものの、観光ビザあるいは観光関連の就労ビザ関連の規制緩和が予想されています。
4、新潟県新潟市 大規模農業の改革拠点
新潟市も現在認可された事業計画はなく、具体的な事業計画は未定です。当初、農業よりも新潟港・新潟空港という物流拠点を持つ事から、総合保税地域の要件緩和に対して非常に情熱を持っていた新潟市ですが、大規模農業の改革拠点として特区認定を受けた事で提案は農業関連に絞られています。特に農業の六次化関連の規制緩和が中心的なテーマとなっています。
5、兵庫県養父市 中山間農業改革特区
一足早く具体的な事業計画の認定にこぎつけた養父市ですが、まだまだ第一歩を踏み出した段階です。現在養父市で認可された事業計画は「農地の所有権等の移転の際に、本来農業委員会の許可が必要な所、これを市長の許可だけで済むようにする」というものです。これによって、農地取得の際の許可の予測性・透明性が高まりました。なお、同様の提案は同じ農業関連の特区である新潟市の事業計画も検討中です。
養父市のメインテーマは、市が農業生産法人の経営主体となり、高齢者雇用の受け皿とならんという所であり、養父市はその点で特別の熱意を持っていると言えます。規制緩和による経済活性化そのものではなく、市自らの事業を中心とした地域再生を行うテーマを持っているのは数ある特区の中でも養父市だけであり、その行方が注目されます。規制緩和そのものよりも、積極的な提携・提携事業者の誘致などを行っており、その点にビジネスチャンスを見出せそうです。
6、福岡県福岡市 グローバル創業・雇用創出特区
福岡市も、養父市と共に一足早く事業計画の認定にこぎつけました。認定された事業計画は、公道を利用した地域イベントを実施するというものです。こうした事業は大阪の提案内容などにも見られるものですが、福岡が一歩先を行きました。
福岡市のメインは、創業ですが、これは実質的に大阪の「チャレンジ人材支援」とよく似た意味合いを持っています。現在、大阪と同じく、外国人向け医療の規制緩和、投資・経営の在留資格、その他就労ビザ関係の規制緩和が検討されています。
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執筆者

川村 忠隆(かわむら ただたか)

川村 忠隆(かわむら ただたか)
アーバンベネフィット株式会社 代表取締役

特定非営利活動法人関西事業再生支援センター理事長
一般財団法人 アジアビジネス再生支援機構 代表
日本経済大学経済学部商学科教授
日本経済大学大学院 リスクマネジメント研究所 特任教授 

大手銀行勤務を経て、経営コンサルタントに転身。バブル崩壊後、企業再生のパイオニアとして活躍し、大企業再生手法を中小企業に応用する事で、中堅・中小企業再生の道を拓いた。親身なコンサルティングと、高い金融機関折衝能力を活かし、金融機関と企業の共存共栄を目指す。

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