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経営者保証に関するガイドライン

本年2月に「経営者保証に関するガイドライン」の施行から半年が経ち、金融庁からは6月に同ガイドラインを活用した参考事例集も発表されました。成功事例もあるでしょうが実態はどうかという事と、昨年から今年前半にかけての金融機関(以下銀行等)の融資取組み姿勢の動向などをレポートします。
始めに「経営者保証に関するガイドライン」を簡単におさらいしますと、①一定の条件を満たす場合(財務状況が優良取引先など)には経営者に保証人契約を求めないようにしようというもの。②経営者が保証人契約している融資先が破綻した場合に、保証人に対して華美でない自宅と一定額の範囲の生活費等までは求めないというものです。

本ガイドラインを銀行等は、営業のツールとして有効に活用しています。具体的には自行の優良取引先には他行からの攻勢を避けるために保証契約の見直しを提案し、他行の優良先にはメイン行の取引条件よりも有利な内容を提案し、肩代わりやシェアの拡大を狙い積極的な営業を行っていますが、それ以外の債務者へのアプローチはほとんど有りません。
逆に言えば、銀行等から見た優良先以外には、本ガイドラインは関係のない話のようです。さらに言えば、我々コンサルタントは、顧問先の財務内容を銀行等が保証人条件の見直しを持ちかけてくるように改善することです。適正なアドバイスを行い、計画的に財務改善を行えば保証人条件の変更や解除の可能性があるということです。特に事業承継が必要なケースでは、保証条件の変更ができれば、効果絶大といえます。
さらに事業再生や破たん処理局面では、銀行等は当然ながら回収を優先しますので、本ガイドラインが期待する対応や提案は行わないでしょう。従って、債務者や経営指導の専門家がガイドラインの内容を理解し、銀行等との交渉で積極的に活用を求めることが必要です。
帝国データバンクの調査によると、本ガイドラインがあることを知っている企業は約50%ですが、内容まで知っているとの回答は約20%に留まっています。つまり、このガイドラインは十分に周知されているとは言えず、銀行等の都合の良い運用がされている可能性が高いと考えます。
次に最近の銀行等の動向です。2013年度は金融円滑化法を利用して貸出条件を緩和した先の経営破たんが、過去最多の545件(前年比27.3%増)となりました。これは、同法を利用して返済条件を緩和したものの予定期間内で経営改善が進まず、条件緩和が終了する前に延長の申し出を行い、更に1年、もう一年と延長してきた結果、改善の見込みなしと判断される企業が増えているのが原因と考えます。
一昨年は金融円滑化法終了という事情から、銀行等は延長の申し出に応じてきましたが、昨年からは対応に変化が出ています。一つには保証協会保証の制度融資に最大猶予可能期間があることや、過去の改善計画の実行性が信用できないと延長を謝絶されてしまう企業が増えています。日本政策金融公庫も同様の対応が増えており、経営改善が見込めない先への姿勢は確実に厳しくなっています。
一方で、銀行等の融資姿勢は積極的になってきています。具体的には景気回復により経営改善が進んでいる企業や、借入実績のない企業への提案は増えていますし、中小金融機関は小口の新規案件を発掘に努めています。一部信用金庫では、国の補助金セミナーを開催して申請予定者に積極的な融資提案による顧客開拓に取り組んでいますし、メガバンクや大手地方銀行では優良先の取り合いを激化させています。反面で景気回復を実感できていない中小零細の保証協会保証の債務者には厳しい姿勢で臨み、粛々と代位弁済を進めるなど、銀行等は円安と株価の上昇による好決算の今のうちに不良債権を圧縮し、優良先の増加を図っています。要するに顧客の選別が着実に進んでいるという事です。
このような状況を踏まえ、今後は銀行等の対応を予想した準備が必要です。特に業績の改善が進んでいない先は、銀行等からダメ出しを受ける前に具体的な改善策を策定し、早めに相談に行く等の対応に取組むか、債務整理などの清算や事業再生への取組みが必要になります。
一般社団法人 事業サポートセンター九州では、事業再生、事業承継、M&Aなど、様々な状況に応じた経営サポートを行っております。どうぞお気軽にご相談下さい。
 

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執筆者

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本多俊一
一般社団法人事業サポートセンター九州副理事長
ベストパートナー(http://bp-management.com/) 代表
昭和35年生まれ。
北九州市門司区出身011年、34年勤めた銀行を退職して、経営コンサルタント(中小企業診断士)として独立開業。

主に中小企業経営者や個人事業主を対象に、企業経営全般についてのアドバイスを行っています。
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