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「経営計画策定支援事業」事例紹介

NPO東海事業支援機構の 伊藤 央 です。
当税理士事務所では平成25年4月より所内に事業支援活動専門のMAS監査部を立ち上げました。今回はこのMAS監査部の最初の活動事案であります「認定支援機関による経営改善計画策定支援事業(以下「支援事業」)」についてご紹介いたします。
<経緯及び企業の概要>
平成25年2月頃、金融機関の方から「金融円滑化法の終了に伴い、それまでストップしていた借入金の返済が始まるため、返済見通しを立ててあげて欲しい」と紹介を受けたのが始まりです。
今回、支援事業の対象となった企業(以下、「支援企業」)の概要は下記の通りです。
・業種:運送業
・資本金:1,500万円
・従業員数:99名(内アルバイト9名)
・直近の年商:8億9,000万円
・借入金:7億700万円
<経営課題・問題点>
支援事業着手時において問題とされたのが、財務面においては多額の借入金に加え、5,500万円の未納社会保険料の存在でした。14.6%の遅延利息の膨張はすさまじく到底支払えるものではありません。また、業績面でも営業をすれば赤字が発生する事業部門を抱え、数年間にわたり連続して千万円単位の経常損失を計上しているような状況で、とても返済や利息の支払いによる資金の社外流出に耐えられる状態ではありませんでした。
<経営計画の策定>
上記の経営課題・問題点を踏まえ、次のような計画を盛り込んだ経営計画を策定しました。
[売上計画
売上を部門ごとに分類し、量より質を重視した売上目標を設定
[人件費計画
支援企業には65歳を超える高齢者が多数在籍していたため、リストラによる人員の削減は行わず、自然退職の後に新規の雇用を極力控えることにより人件費を調整
[リース計画
効果的かつ資金的に無理なくリースを行えるように、リース予定表を作成
[車両の売却
人員の退職により使用されなくなる車両を売却することによる資金の確保
[返済計画
資金繰りを重視した返済計画の作成
<計画策定のポイント>
私共が経営計画の策定時に注意していることは、こちらの考えを押し付けないという事です。会社を取巻く環境や、会社が抱えている問題、経営者の方の考えは様々です。経営者の方の考えを理解し、会社の現状を踏まえた経営計画を経営者の方と共に作ることで、経営に関する「気づき」が生まれ、経営改善に繋がっていくと考えております。
<金融機関との調整~バンクミーティング>
当初、金融円滑化法終了直後よりの返済開始は不可能であったため、全金融機関に経営計画書を提示し、金融支援についての合意を得ました。
<モニタリング>
支援事業には、経営計画の策定に加え、モニタリングの実施が義務付けられています。経営計画策定後一定の期間ごとに、計画値と実績のズレを把握し、債権者に報告すると同時に、認定支援機関は計画達成に向けたアドバイスを行います。具体的には毎月の予実管理票と、状況に関する説明を聞き取りして作成した意見書を金融機関に提示しております。
<支援事業を経て>
今回の支援事業を経て、支援企業はメインバンクより当面の運転資金として新規融資を受けることができました。又、計画に沿った経営を行うことにより、今期は300万円の経常利益を計上することもでき、今のところ順調に改善が進んでいます。しかし、燃料費の高騰などの不安材料が現在も残っており、安心できるレベルまで改善されたとは言えません。私共は経営計画を作って終わりではなく、十分な改善がされるまで責任を持って見守るのが認定支援機関の役割であると考えており、暫くモニタリングを継続していくつもりです。
◆執筆者

伊藤央税理士事務所 伊藤央

伊藤 央
伊藤央税理士事務所(http://www.ito-zeirishi.jp/ ) 

昭和35年10月8日生まれ。

平成13年11月20日税理士登録 同年12月1日開業。NPO東海事業支援機構 理事。
伊藤央税理士事務所は2013年1月に経営革新等支援機関の認定を取得。
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