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経営者保証に関するガイドライン

一般社団法人 事業サポートセンター九州(JSQ)代表理事の宮﨑博幸です。
昭和59年より経営コンサルティング業務を開始し、平成20年からは事業再生コンサルティングに本格参入しました。また、九州に拠点を置く中小企業支援団体として、九州の士業およびコンサルタントと共にJSQを立上げ、2013年5月より活動を開始しております。
今回は、平成25年12月5日に公表された経営者保証に関するガイドラインについてお話させていただきます。
昨年末、中小企業の経営者による個人保証のあり方が大きく変わりました。従来、日本において金融機関から融資を受ける場合には、当然のごとく自動的に連帯保証人が求められています。しかしこのようなことは、世界的に見ても極めて稀なことです。世界標準は、会社や事業に対して融資するというノンリコースローンです。つまり、事業の失敗は個人の失敗には及ばないということです。日本もようやく世界標準への一歩を踏み出しました。
まずは、このガイドラインが始まりです。ガイドラインといっても中小企業庁と金融庁の肝煎りでスタートしたので、かなりの強制力があります。
その骨子は、今までの銀行等と保証人の関係が180度変わることになります。基本的には下記の通りです。
①会社に十分な利益・財力がある場合には、社長、配偶者、後継者、その他の第三者の保証は認めない
②担保が付いている自宅等の不動産も返済ができないからといってすぐに競売にかけない
③既存の保証債務も全て見直す
1.経営者保証ガイドラインの目的
中小企業の創業、成長、発展、早期の事業再生や事業清算への着手、承継、新たな事業の開始などスムーズに遂行するように新たな仕組みを構築する。
日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)において開廃業率10%台を目すための施策として位置付けられています。
開業率 廃業率
日本    4.6%    3.8%
米国    9.3%  10.3%
英国  10.2%  12.9%
一度の失敗で全てを失い、経験やノウハウが生かせない可能性のある個人保証の現状を改めるということです。
2.保証契約時等の対応
(1)経営者保証に依存しない融資の一層の促進
i.保証を提供せずに資金調達を希望する場合は以下の営状況が必要
①法人と経営者との関係の明確な区分、分離
 公私混同するな、内部、外部からのガバナンスが 十分働いているか、ということです。
②財務基盤の強化
③適時適切な情報開示等による経営の透明性の確保
こうした状況下では、税理士等による検証の実施と銀行等に対する検証結果の適切な開示が望ましいです。
ii.銀行等は、保証の機能を代替する融資手法(停止条件又は解除条件付き保証契約、ABL等)のメニューを充実
iii.上記の経営状況が将来に亘り維持されると見込まれる場合は(1)、(2)を検討
(2)経営者保証の契約時の銀行等の対応
やむを得ず保証人を求める場合は、ガイドラインにそってなぜ必要か等を丁寧かつ具体的に説明する必要がある
(3)既存の保証契約の見直し
上記2、3に即して対応するが、特に事業承継時には、後継者に当然に保証債務を引き継がせず、必要性を改めて検証。前経営者との保証契約の解除についても適切に判断する。
3.保証債務の整理手続
保証債務の整理とは
・保証人の資産・負債がどれだけあり、全負債に対してどれだけ支払うことができるかを債権者に保証人が申し出ること
・申し出を受けた債権者と申し出をした債務者(会社及び保証人)は、債務の整理等における対応について誠実に協議すること
当ガイドラインを利用した場合に経営者保証人が残せる可能性のある財産は下記です。
①債務整理の申し出後に新たに取得した財産
②家財道具等(差押え禁止財産)
③現金99万円(自由財産)
④一定期間の生計費(雇用保険の給付期間を参考に最高で330日、1月33万円)
⑤華美でない自宅
又、経営者の経営責任の在り方については一律かつ形式的に経営者の交代は求めず、経営者の帰責性や経営資質、事業再生への影響等を総合的に勘案し、経営者が引き続き経営に携わることに経済合理性が認められる場合には、これを許容するということです。
前述のことをふまえ、正常先においては何らかの形で個人保証をはずす、もしくは目標を決めて段階的条件をクリアすること、一方、債務整理については早めの決断で再チャレンジや廃業を検討されることをお勧めします。
執筆者

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宮﨑博幸
宮﨑田嶋会計事務所 代表http://www.miyazaki-tashima.com/ ) 
税理士
昭和 23年生まれ。長崎県出身。昭和 59 年 1月に㈱マネジメントパートナーを設立し、一般企業の経営コンサルティグに取り組む。平成16年4月に(株)九州経営情報分析センターを設立。国土交通省の第5番目の認定登録機関として、全国に約5,000社の顧客を持っている。平成20年12月より事業再生のコンサルティング業務を開始し、現在に至る。一般社団法人 事業サポートセンター九州 理事長。JSK事業再生研究会 会員。
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