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中小企業再生支援協議会案件事例


NPO首都圏事業再生支援センターの吉野兼司です。平成14年5月より企業/事業再生・FCコンサルティングを開始し、平成21年9月中小企業に特化した事業再生FGグループを設立しました。日々、全国の中小企業の事業再生に取り組んでおります。
今回は、私が取り組んでいる中小企業再生支援協議会(以下、協議会)案件事例をご紹介します。
昨年、九州の知人である経営者から、とある中小企業が債務超過に陥っている、相談に乗ってあげて欲しいとの紹介を受けました。早速先方に伺ってお話を聞いたところ、「かなり経営が厳しい状態だが、何とか立て直して事業を継続したい」とのご希望でした。また、銀行は「中小企業支援協議会へ加入することを条件に再々返済猶予を行う」とのことでした。そこで、まず相談者にヒアリングを行い、経営状況を確認しました。概要は下記の通りです。
■業種:機械金属加工製造
■資本金:1,500万円
■従業員数:21名
■直近の年商:2億2,000万円(ピーク時4億円)
■借入金: 2億2,000万円(地元信用金庫より)
+役員借入8,000万円≒3億円
上記の内容を検証したところ、約1億1,500万円の債務超過であることが判明しました。ただ、中小企業の特性を考慮した結果、実質的な債務超過額は2,670万円と分かりました。
さて、現状を把握したら、債務超過に陥っている原因を探らなければいけません。さらに相談者にお話を聞いた結果、下記のような問題点が浮かび上がりました。
【窮境原因】
1.製品別原価計算が行われていなかったため案件別収益が把握されていなかった
2.受注先の一極集中と受注環境の変化
3.価格交渉権の優位性が取引先にあり、値決めがおろそかになり、その結果赤字受注が発生
4.大型設備及び工場があることで「なんでもや」になり択と集中ができていなかった
5.短納期・小ロットの注文が多いことによる生産効率の
6.コスト見直しの遅れ
洗い出した6つの原因を検証し、相談者と面談を重ねながら、どう経営を改善していくかの、経営改善計画の方針を一緒に立てていきました。
まず、「経営体制」についてです。製品別顧客別収益管理を行い、月次試算表を末〆翌10~15日に出せる体制づくりを進めること、毎月の経営改善会議を開催することを決めました。
次に、「売上改善」に関する施策を考えました。相談者の会社は、他社に抜きん出た機械金属の加工技術を持っています。そこで、1つはその加工品質を強みとした既存顧客の深掘りを行うこと、もう一つは加工品質を積極的にアピールすることで、新規営業による分散的な売上の構築を行うこととしました。
3つ目は、「経費削減」に関する施策です。これについては、下記の3点を行うということにしました。
1.役員報酬50%減額
2.残業休日出勤届出制にする
3.役員の債権放棄
信用金庫からは再三、不動産売却による債務の圧縮を迫られていましたが、上記を経営改善計画書に落とし込み、地元信用金庫と保証協会に提示したところ、3年間の暫定リスケジュールを承認いただきました。
通常、金融機関のリスケ期間は長くても6か月又は1年です。今回3年もの長期間のリスケが了承されたのは、協議会が介入し承認が取れたからです。
協議会を活用するには、専門家の指導を受けることなどの諸条件があります。弊社で承っておりますので、ぜひご相談いただければと思います。
さて、上記の会社は、経営改善計画書に沿って改善を進めた結果、暫定リスケの承認から6ヶ月が経過した頃には売上計画を上方修正することができました。改善計画の進捗は比較的順調ですが、現在もまだまだ気を許せるレベルではありません。これからが事業再生コンサルタントとしての、本当の腕の見せ所になると思っています。
執筆者

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吉野兼司
(株)FGグループ 代表取締役(http://www.fgg-co.com/) 
事業再生コンサルタント
1965年生まれ。埼玉県出身。平成14年5月より企業/事業再生・FCコンサルティングを開始。平成18年より小売店舗20店舗を展開、平成21年9月中小企業に特化した事業再生FGグループを設立。豊富な実績と経験を活かし、全国の中小企業の事業再生に日々取り組んでいる。JSK事業再生研究会 会員、NPO法人首都圏事業再生支援センター 会員。
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