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事業再生に関わる民法(債権関係)改正


一般社団法人事業サポートセンター九州
一般社団法人事業サポートセンター九州は、2013 年5月に発足した組織です。今後は、個々のメンバーが今回ご説明するような事業再生に関連する内容につき研鑽を積みつつ、定期的に例会を開催し、活動内容を周知する等して会員数の増加を図って参りたいと思います。また、団体として事業再生に関する実績も積んでいきたいと考えております。
今回は、事業再生に関わる民法(債権関係)改正についてご報告いたします。
民法(債権関係)改正と事業再生
現在、法制審議会の民法部会では、民法(債権関係)の改正に向けての審議が行われており、平成25 年2 月26 日、「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」の部会決定が行われました。この中間試案に関しては、同年4 月から6 月にかけてパブリック・コメントの手続に付され、同年7 月より、改正要綱案の取りまとめに向けた審議が行われています。以下では、この中間試案において、事業再生に関連する部分を中心にご紹介します。
個人保証の制限
まず、中間試案においては、「貸金等根保証契約(予め約束した額の範囲内で債務者が将来負担する不特定の貸金等債務を保証する契約。額が高額になりがちであるためリスクが高い。)」と「事業者の貸金等債務を主たる債務とする個人の保証契約」を対象として個人保証を原則的に無効とした上で、「融資を受ける会社の経営者個人が保証人となる場合(経営者保証)」を無効となる範囲から除外する案が示されています。これは、保証人となった者が過大なリスクを負う事例が多い個人保証の範囲を制限するとともに、中小企業が資金調達を行う上で経営者が保証人となる場合が多いこととのバランスをとったものです。もっとも、これについては、除外すべき「経営者」の定義等が引き続き検討課題となっています。
また、この他にも、保証契約に関しては、①根保証に関する規制の適用範囲の拡大、②債権者の保証人への情報提供義務の規定、③保証人の責任を減免する制度の創設等の案が中間試案において示されています。もし、この案が現実となれば、保証契約の効力が制限されることが多くなります。そのため、再生の場面において、それぞれの保証契約の効力及び内容につき、これまでより一層慎重に吟味する必要が出てきます。
詐害行為取消権について
また、中間試案においては、いわゆる詐害行為取消権(債務者の財産を保全するため、債権者が債務者の財産を逸出させる一定の行為を取り消すことができる権利。民法第424 条以下)につき、従来の裁判例を踏まえつつ、破産法上の否認権(破産管財人が破産手続開始決定前に行われた債権者の利益を不当に害する行為を取り消し、逸出した財産を取り戻すことができる権利。破産法第160 条以下)とのバランスを考慮した改正案が提示されています。
例えば、偏頗行為(へんぱこうい:一部の債権者を不当に優遇する行為)に関する詐害行為取消権について、中間試案では、①当該偏頗行為が支払不能時に行われたものであること②債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたことを要件としています(要件①については、破産法第162 条第1 項第1 号の要件とのバランスを考慮、要件②については判例(最判昭和33 年9月26 日)上の要件を明文化しています。)。上記以外にも、偏頗行為否認については、破産法第162 条の規定内容を踏まえた改正内容が示されています。また、この他にも、中間試案においては、詐害行為取消権に関し、多岐にわたる改正案が示されています。
その他の改正内容
保証や詐害行為取消権以外にも、中間試案においては、法律行為や代理から債権譲渡や相殺等に至るまで、債権に関する民法の分野につき、横断的に改正内容が示されています。また、社会的には浸透しているものの、民法には規定されていなかった約款について規定を設けるとともに、その組入要件や効力等について、規定を設けることが提言されています。
今後、民法(債権関係)の改正については、法制審議会民法部会における改正要綱案の取りまとめを経た後、具体的な民法改正作業に入ることになります。この改正要綱案の取りまとめに向けた審議期間がどの程度は未定ですが、民法(債権関係)改正については、事業再生に深くかかわってくるため、随時フォローしておく必要があります。
すいれん法律事務所 東泰雄
 
一般社団法人事業サポートセンター九州
すいれん法律事務所 弁護士 東泰雄(あずまやすお)
[経歴]
1982年生、九州大学法学部卒業。2009年弁護士登録。労働法務、知的財産法務、その他一般企業法務や交通事故等の損害賠償に関する案件、離婚事件等を主な取扱分野とし、案件に対する迅速な対応を心がけている。著作として、「バーチャルマネーと企業法務」(民事法研究会・共著)がある。

すいれん法律事務所 
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