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国際取引が増える中での税金の専門家「税理士」の役割


事業再生指導の専門家集団

事業再生を外部から支援・指導する専門家を事業再生アドバイザーと呼びます(他の名称もあります)。しかし、事業再生指導は一人の専門家で完結するものではありません。金融、財務、法律、会計、人事労務、経営管理、マーケティングなど様々な専門家が協力して初めて、良い「事業再生指導」ができます。当「さいせいニュース」発行のBFCA経営財務支援協会と提携団体(NPO等)は、その様な専門家の地域及び全国の団体です。今日のテーマは、国際取引が増える中での税金の専門家「税理士」の役割です。

インバウンド旅行業の消費税の扱い
私は、税と会計の専門家としてNPO首都圏再生支援センターに所属しています。中でも私の勤務する税理士事務所の事案(税務上の解釈で国税と議論)を紹介します。
円安やアジア経済の発展と共に、日本への外国人旅行屋が増えています。子の旅行を業として扱いものをインバンド旅行業(外国旅行者の訪日旅行を企画運営する業者)と言います。
あるインバウンド業者(法人、以下A社)が「訪日旅行のパッケージ商品」を海外の外国旅行法人に販売しました。この取引を「消費税法第7条に規定する輸出免税取引に該当する」としてA社が消費税の申告を行ったのに対し、S税務署(原処分庁)は「本件の役務提供は非居住者に対する日本国内での役務提供であり、輸出取引には該当しない」として『更正処分』を行いました。A社が『更生処分取消の異議申立て』をS税務署に行いましたが『請求棄却の決定』を受けたため、今度はS税務署の処分取消を求めて、東京国税不服審判所へ『審査請求』を行っています。前述の内容は、従前まで税務署側で輸出免税として消費税還付を受けていた役務提供の解釈が、ここ2~3年で一転し、国税側の解釈の変更により消費税還付がされなくなったことに原因があります。
「税務上の解釈」を争うということの意味
一般に納税者は税務署(原処分庁)の処分に不服がある場合、処分を受けた税務署へまず異議申立をし、それでも不服がある場合に国税不服審判所へ審査請求を出します。そして審判所の裁決に不服がある場合、初めて裁判所に訴訟を提起できます(『前置主義』)。現在、国税不服審判所には全国に12の支部と7の支所があり、各支部から上がってきた審査請求を審理するのが東京国税不服審判所です。審理は国税審判官3名の合議体でおこなわれ、議決後最終的に審判所の所長が裁決を行い通知することになっています。
「同席主張」持ち込まれた事案
東京国税不服審判所への『審査請求書』の提出が2012年12月7日。その後2013年4月4日に審判所より呼び出しを受け、審査請求人であるA社社長と代理人である当税理士事務所3名が出頭し、今回の争点の確認を行いました。その際担当審判官より、今回争点がはっきりしていることから『同席主張』の申出を受けました。『同席主張』とは2011年度から試験的に導入されている制度で、次のことを目的としています。「審判官、請求人及び原処分庁の間で、事件の理解を共通にし、主張及び争点を明確にすることで迅速な裁決に資するとともに、透明性の確保を図る」。この『同席主張』に当方も賛同し、5月22日に行いました。『同席主張』には、審判官及び副審判官2名、書記として国税審査官2名、国税側は東京国税局審理課3名及び原処分庁であるS税務署の法人1部門1名の4名が出席し、当方はA社社長と税理士事務所3名の計4名が出席しました。まず担当審判官より『同席主張』の流れの説明があり、次に国税側が今回の主張を読みました。続いてA社社長が当方の主張を説明しました。
審理が進み、国税側が「後日矛盾点に関する説明を文書で提出すること」という結論で1時間ほどの『同席主張』は終了しました。なお、その後6月14日に『同席主張』時の矛盾点に関する国税側の反論書が提出されたので、当方でも反論書を書き6月28日に提出しました。
上記のような流れで、裁判にて出された判決が税務上の「判例」となり、今後の税務行政に影響を与えます。裁判で争ったからといって望み通りの判決が出る確証はありませんが、争わなければ進歩はありません。広い意味での事業再生指導はこうした活動を続けていくことも、NPOに参加する専門家の使命であると思っております。
NPO法人首都圏事業再生支援センター
有限会社 向山会計社 高橋豊 http://www.mukouyama.co.jp/
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