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金融円滑化法終了後に予想されること

いよいよ3月末を持って、2度にわたって延長されてきた特別措置法である「中小企業金融円滑化法」が終了します。

この1年間、中小零細企業を中心に金融円滑化法の適用によるリスケ(再延長・再々延長を含む)や資金繰りについて相談を受けてきた現場からの報告と、金融機関出身者として今後予想されることについてレポートします。
はじめに現場の実態を述べます。本法は本来1年間の時限措置であったにも関わらず、延長、再延長されたことで債務者の危機感が感じられません。もとより、本法によってリスケに応じていることを知らない債務者が多く、法律の終了は他人事のような状態です。

金融機関(保証協会を含む)では、本法施行前からリスケジュールは行われており、これを適用する債務者は通常次の2つに分かれていました。

①取引先の倒産などの特殊な事情が発生した場合や、売り上げ不振などで資金繰りに支障をきたしているものの、時間をかければ改善は可能な債務者。
②経営改善が見込めず清算や資産売却の準備中で、手続きを円滑に進めるための金融機関が協力する場合、もしくは手続きが終了して担保不動産などの処分後に、無担保債権を少額ずつ返済する契約更改。
金融円滑化法は、このような通常は公にされずに金融機関が密かに行っていたリスケを、一般に公開し利用を促進しました。本来は上記①の債務者を想定してのものですが、金融機関に努力義務という規制をし、実績を報告させたため、本来応じるべきでない債務者のリスケにも応じました。手続き上、改善計画を求めますが実抜計画ではない、返済資源が出る「こうなったらいいな計画」を金融機関は求め、時には債務者に代わって作成してリスケに応じてきました。
さらに金融機関は、金融支援策としての特別保証枠をリスケ相談に来た債務者に売り込みました。要するに返せない人に対し、さらに追い金を融資するという事です。これは保証協会の特別保証枠ですから責任共有分がなく、金融機関はリスク0で安心して売り込めます。これを取組む過程においてはテクニックを駆使しプロパー融資はもちろん、責任共有分の保証協会保証融資もこの保証での借り換えを推進しました。特に、メガバンク・大手地銀はかなりの移管が進みました。逆に、地銀下位行や信金・信組はプロパー部分の組み換えも行いつつも保証協会からプロパーとの協調融資を求められ、取引先の破綻を避けるためプロパーの保全不足での融資が増えています。
そして昨年の夏ごろから、金融機関の対応が大きく変化してきました。過去に提出した改善計画と比較して、「計画通りではない」と厳しく意見し、今回限りと念を押して再延長に応じているのが実態です。
次に、円滑化法終了後に予想されることを述べます。

1.保証協会の代位弁済急増と連鎖倒産の発生多発
前回リスケに応じる際に提出させた計画書と比較して、実態が乖離しているもの、特に売り上げや利益が特別な事情もなく前年より下回っている債務者については改善が見込めないと判断されます。大手金融機関は特別保証への切換え済みなので、管理コストのかかる延滞債権は保証協会の代弁適状後、速やかに代弁手続きに入ります。その際、保証協会に提出する資料として、その時点での預金残高を記載し預金口座を全て凍結します。この結果、債務者は預金残高が有っても、債権保全のため金融機関は支払に応じないため手形等が不渡りになり、その手形を受取った取引先に連鎖倒産が発生します。
2.中小金融機関の破綻と再編
中小企業に対し大手金融機関は保証協会保証がほとんどの上、この3年間で十分な収益を上げているので、不良債権処理は問題ありませんが、規模の小さい金融機関は不良債権処理が出来ず、経営危機が起きます。実際は統合や合併などの再編を行い表面上破綻は回避させますが、統合後は一気に不良債権処理に加速がかかり、サービサーへの売却案件や競売申立てが増えるでしょう。
金融機関は、中堅企業以上で破たんの影響が大きなものについては、中小企業再生支援協議会などに持ち込み、最大回収目線ながらも再生を進めて行きますが、中小零細企業は切り捨てられます。
私達のような事業再生に取り組む専門家は、そのような切り捨てられる債務者の中に、再生可能性があり再生に取組む意欲がある事業者を支えていくことが必要ではないでしょうか?
九州事業再生支援センター(仮称)開設準備会 
本多俊一 
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