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「労働生産性」向上

私の所属するNPO東日本事業支援機構で経営力向上計画の認定企業申請の助言指導を行っていると「労働生産性」というキーワードを目にします。

実際の申請では労働生産性を向上させるための「設備」に対して用いられることが多いのですが、中小零細企業においては「労働生産性」を向上させるための要素として「設備」というハード面はもちろん、個々の従業員のはたらき方(はたらく仕組み)というソフト面も不可欠だったりします。

もちろん助言指導を行うコンサルタントという立場にある我々の「労働生産性」も例外ではなく、支援先に整理・整頓を指導する一方で自身を戒め律することを日々心掛けている方も多いと思います。 今回は、そんな自分自身もふくめ気軽にできる「労働生産性」について考えてみたいと思います。

 少し前に読んだリズ・ダベンポート著「気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ」という書籍の冒頭で
──平均的なビジネスマンは探しものをするためだけに1年間に150時間を浪費している──
という実にショッキングな統計が発表されていました。1日8時間の労働時間と考えると、1ヵ月弱は何かを探しまわっているということになるのだから驚きです。
実際に自身を振り返ってみると、計画作成時には支援先様から一度預かった昨年あるいは一昨年の財務諸表や試算表を分厚いファイルを探し当てて取り出してめくったり・・・、かつて読んだ参考文献や統計データを本棚から探したりパソコンのファイル名や日付をたよりに探したり・・・という、いわゆる「作業」に時間を費やしていました。
しかしながら最近はというと、分厚いファイルを探し当てることも取り出すことも、先に記したような書籍や著者名もさほど時間をかけずに調べられるようになりました。
私自身コンサルタント会社に勤めその後独立しかれこれ10年がたとうとしており支援先様の数だけ増えた関連資料は膨大なものになりました。またそれぞれの支援先様とのお付き合いが長ければ長いほど保存資料は多くなります。にもかかわらず、2つの作業を身の回りにあるものを活用して、文字通りIT化することで「探す時間」を短縮することができます。
1つは複合機のスキャン機能を活用して「紙媒体の情報をPDFデータ化した」ことと、
もう1つはwindowsの既存の機能を活用し、「ファイルの文中の単語までも検索対象にした」だけで驚くほど探すという作業を短縮できました。
この2つの方法はさほど難しくありません。
まず1つ目ですが、
決してファイルやフォルダの作り方や整理整頓をきっちりしたわけでもなく、適当にファイル名こそつけますが法則性を設けることなく、ただただ「あらゆる紙媒体の資料をPDFファイル化」するだけです。一度預かった財務諸表や試算表、かつて読んだ参考文献やプリントアウトした統計データを本棚やファイルに並べず、複合機のスキャン機能を活用しPDFファイルにして支援先様別のフォルダに放り込んでおくだけです。
(このとき複合機によってはPDF化する際に透明テキスト付きのPDFにする必要はあります。機能がついていなければ通常のPDFファイルを透明テキスト付きに変換できるソフトは販売されていますのでお手元の複合機の機能をご確認ください)
次に2つ目ですが、
windows10~7をご利用の方は「エクスプローラー」を開き左上の「ファイル」をクリックし、「オプション」をクリックしてフォルダオプションを表示させます。表示されている「検索」タブをクリックするとチェックボックスがいくつか表示される中の、”インディックスが作成されていない場所の検索”というボックスの中の「ファイル名と内容を常に検索する(C)(数分かかる場合があります)」にチェックを入れていただくだけです。
これだけで自分のパソコンのデータすべてをまるで「ググる」かのように思いついたキーワードで検索できる環境が整います。もちろんこれまでため込んできた紙媒体の情報すべてをPDF化する場合には膨大な手間というのは発生しますが、一度データ化してしまうと検索という作業を一瞬で完了させることができるので「一時の手間より一生の効率化」くらいに考えて挑戦してみてください。
この方法は個々の「労働生産性」向上は実現できますが、先に記した経営力向上計画の「設備」という点では有効ではないかもしれません。(とはいっても「設備」を必要としない認定企業申請の計画の中には何度か盛り込んだりしてます・・・)
とはいうものの「いまあるもので」気軽に始められることと、実践することで効率化もさることながら驚くほどの時間が生まれアイデアを創造する時間にも充てられます。
もちろん我々士業だけでなく支援先の企業の経営者様にもおすすめですので、ぜひおためしを!


執筆者
高巣 忠好氏
アットリライト
NPO東日本事業支援機構
1971年生まれ。愛知県豊田市出身。時計・輸入雑貨量販店・ベンチャー系卸売会社・輸入卸売会社に勤務。チーフマネージャーを務め、コンサルティングファームに転職後独立。「過去を否定せず、時流に合った方針・計画に書き直す」=アットリライトを理念として中小企業の経営改革支援や事業承継、事業再生の指導を実践している。認定経営革新等支援機関NPO東日本事業支援機構[関財金1 第145 号] 事務局長。

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