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「中小企業再生支援協議会の終了後は?」

コラム・連載

今回は、中小企業再生支援協議会(以下、協議会)を卒業後の対応をお話したいと思います。
暫定リスケ3年が終了し経営改善計画書(以下、計画)通り又はそれ以上の成績を収めることができると合実計画に移行し継続的に協議会で再生計画が進められるのですが、計画通りに行かない場合には卒業になります(出されてしまいます)。その後は、相対で金融機関と話し合いをしていくことになります。協議会は関与しません。


「合実計画」合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画

・計画期間が概ね5年以内(中小企業の場合、5年を超え概ね10年以内)であること。
・計画期間終了後の債務者区分が正常先となること。
・全ての取引金融機関において、支援を行うことについて文書その他により確認できること。


「中小企業再生支援協議会」
での再生計画では、下記の3項目が要件となります。
①3年以内の黒字化
②5年以内の債務超過解消
③有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下


3年前

■業種:機械金属加工製造(九州)
■資本金:1,500万円
■従業員数:21名
■直近の年商:2億2,000万円
■借入金: 2億2,000万円(地元信用金庫より)
+役員借入8,000万円≒3億円
平成29年2月末日で協議会終了(3年間)


1年前(途中からコンサル変更で当社)

■業種:工務店(関東)
■資本金:2,000万円
■従業員数:15名
■直近の年商:19億
■借入金: 4億(6行より)
平成29年2月末日で協議会終了(4年間)

【共通の窮境原因】
1.共通で原価計算がしっかりできていない。
2.受注産業の為、景気等に左右されやすい。
3.価格交渉権の優位性が取引先にあり、値決めがおろそかになり、その結果赤字受注が発生
4.従業員のスキル不足
5.コスト見直しの遅れ

協議会を出されてしまうと3年間はリスケジュールOKの状態がリセットされることになるので金融機関からは、通常返済を要求されることになります。
また、協議会終了後、調整役が不在になり取引している金融機関の数が多いと出し抜かれてしまうこともあります。上記2社も共通して要求されたのは通常返済または通常に近い返済を言われています。

当然、計画通りに売上利益の計画が出来なかったため出されてしまったので、リスケジュール状態を維持しなければパンクしてしまいます。
協議会に代わり当社が調整役になり、打ち合わせを重ね、再度、経営改善支援センターの補助金事業を活用した経営改善計画書の作成を行い3年間モニタリング報告義務もあるということなので再度リスケジュールに応じる方針になりました。

また、2年前より金融検査マニュアル撤廃の流れでしょうか、短期融資には積極的で状況に応じて対応するとの約束も取り付けることが出来ました。
今後、協議会から出される案件が増加するのと経営改善支援センターの補助金事業が現在活用されているもの以外に小規模事業者向けの計画支援で補助金のメニューが増えるとセンター長の方から情報も頂きました。

余談ですが、最近の金融機関は案件にもよりますが柔軟に対応して頂けるようになってきた感じがします。今年ある案件で、リスケジュール中の会社で非常に厳しい状況だったので思い切って金利も止める交渉をしたのですが1年間はOKという回答をもらいました。当然諸条件はありましたが。世の中全体では景気が良い感じなのか分かりませんが中小企業を取り巻く環境はまだまだ変わらないようです。


吉野 兼司氏
NPO法人首都圏事業支援機構
株式会社FGグループ 代表取締役
事業再生コンサルタント

1965年生まれ。埼玉県出身。平成14年5月より企業/事業再生・FCコンサルティングを開始。平成18年より小売店舗20店舗を展開、平成21年9月中小企業に特化した事業再生FGグループを設立。豊富な実績と経験を活かし、全国の中小企業の事業再生に日々取り組んでいる。JSK事業戦略研究会 会員、NPO法人首都圏事業支援機構 会員