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頑張れ、事業再生アドバイザー!

1.国(金融庁)の動き
1月に金融検査マニュアルが改定されました。改定の趣旨は、後ろ向きの支援はするなということで、廃業支援が益々進んで来ています。金融庁も庁内の「再生支援室」を廃止する方向です。麻生太郎氏(財務大臣)からも年初に「銀行は金を貸さずに何をやっているのだ」と檄が飛んでいました。過去の数値は無関係、将来だけを見て金を貸せ、と言っています。廃業支援の一方で、前向きの金は出る訳で、保証協会も、一旦廃業した経営者でも、〝全く別の事業を行う〟場合には保証を付ける制度になりました。これは、経営者のみならず、我々のような事業再生に携わる者にとっても画期的なことです。
昨年12月の〝さいせいニュース〟で少子化の現状をお伝えしました。中小企業が370万社もあるのに一学年当たり110万人前後しかいない、人が採用できなくなる、という内容です。従って、全産業において、会社の数を減らす動きが加速しています。再編支援と廃業支援です。これは金融機関とて例外ではなく、政府は躍起になって、金融機関の数を減らしにかかっています。特に全国に105ある地域金融機関、270もある信金、信組の数が異常だ、と問題視されています。
2.金融機関の動き
銀行は許認可事業ですから、お上の意向に忠実です。上に述べたような国の動きに沿って対応が変化してきています。
①地銀、信金、信組
再編時には、同じ規模の相手と合併させられるのが通例です。ですので、どこの地銀、信金、信組でも〝規模〟を維持、拡大しようとする動きになっています。不良債権でも完全に廃業するまでは貸出債権ですから、切捨てない方が得策です。よって、体力のない地銀や信金信組は、リスクを取ってでも融資を出そう、リスケ先でも延長延長で引っ張ろう、という動きになります。
②三菱東京UFJ、みずほ
全国銀行協会(全銀協)の2014年度の会長行は三菱東京UFJ、2015年度は、みずほ銀行です。税金で運用されている保証協会は代位弁済により恒常的に赤字経営で、税金の無い我が国の大きな負担となっています。そこで国策として、保証協会の保証残高を減らせという指針があるのですが、これを担っているのが、全銀協の会長行なのです。政府の手前、自らが手本を示さない訳には行かない、という事情です。〝マルホ崩し〟と呼ぶのですが、保証協会の保証付貸金を、自行のプロパー融資で肩代りをするという動きが多くなって来ています。
③リスケ先(各行共通)
銀行再編に備えて〝規模〟を取る動きになっていることは、前述の通りです。最近顕著な動きは〝おまとめ融資〟です。リスケ先でも別の銀行がニューマネーを出して一本化する融資のことで、少々リスクはありますが、〝リスクマネーを出せ〟というお上の圧力に応えられることと、規模を取れるという二つのメリットが満たせるからです。一つ、注意点があります。それは、過去に提出している事業計画を下回ると、この〝おまとめ融資〟が受けられなくなるという点です。
3.税理士、アドバイザーが留意すること
冒頭で政府が廃業支援に舵を切ったと言いました。規模の維持という命題はあるとはいえ、一定の水準未満の先はやはり切られてしまいます。その際でも銀行が引き金を引くことは稀で、外部に原因があるのだという理由付をします。代表的な理由付は〝当行としては支援したかったのですが、経営計画の数字を下回っておられるので…〟というものです。
経営計画は、多くの中小零細企業では税理士が作成しているのではないでしょうか。我々アドバイザーがお手伝いをすることもあります。しかしこれは大変、危険なことです。現に〝銀行から切られたのは先生が出来もしない経営計画を作ったからだ〟と損害賠償請求をされている事案が、私が知っているだけでも数件あります。
このリスクを防ぐには、関与先との契約書に、その旨を入れておくことが肝心です。現場に居る私の実感として、中小零細企業の経営者に心の余裕が無くなってきている、というものがあります。経営者も、義理人情を重んじる昭和世代からの世代交代が進んでいます。阿吽(あうん)の呼吸ではなく、今からでも契約書を結ぶ、見直すことが大切だと考えています。
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執筆者
矢島健二 (NPO法人 西日本事業支援機構)
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