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金融円滑化法 その後~リスケの延長は今後困難に!~

1.金融庁監督指針の発表
金融庁は今春、金融機関向けの監督指針を改定、発表しました。中小企業経営者や事業再生専門家にとって着目すべき大きなポイントは次の二つです。
(1)「事業の持続可能性が見込めない債務者」に対しては、慎重かつ十分な説明をした上で、債務整理を前提とした自主廃業を提案
この指針が発表されてから金融庁の検査では、各金融機関がリスケ(円滑化法)の更新を行っている案件に関しその判断を厳しく問われるようになりました。
分かり易く言うと「業績が改善していないのに安易に更新をしていないか?」ということです。
この結果、従来のような一年(半年)毎にほぼ自動的にリスケを更新するという対応は今後期待出来なくなりました。それどころか今後は、金融機関から「お宅はもう見込みが無いから廃業しなさい」と迫られることになります。これは監督官庁からの指示ですので、金融機関も従わざるを得ません。
こういう対応を回避するためには「リスケ開始時点よりも明らかに業績が改善していることを示せること」が必要で、具体的には売上や営業利益が増えていることが必要となります。
(2)「業種転換や事業再生で再生可能な取引先」に
対しては債権放棄も含め踏み込んだ金融支援を実施
この場合の「再生可能な取引先」とは「借入金を概ね10年程度で完済出来る取引先」という意味です。ここで注意を要するのは「現状のままでこの基準をクリア出来る」という意味ではなく、「金融機関が債権放棄など金融支援を行えばこの基準をクリア出来る」という意味です。
債権放棄をしてくれれば誰でもこの基準をクリア出来るではないか、とお考えになるかも知れませんがそうではありません。営業利益が出ていなければ赤字分は借入に頼らざるを得ず、赤字なのでその借入金は当然返済出来ない、従いこの基準はクリア出来ないということになります。

2.サービサーの動き
またここでいう「債権放棄」とは殆どの場合、サービサーやファンドを介しての「間接放棄」であることにも注意が必要です。
「サービサーに売却されれば格安で和解でき大幅な債務カットが可能である」というのは最早完全に過去の話となりつつあります。
法務省のホームページをご覧になれば分かりますが、この原稿を書いている11月3日時点で登録社数は119社あります。しかしよく見るとところどころ番号が飛んでおりその数は27社になります。即ち、92社が実在するサービサーの数です。
なぜこんなに減ったのかと言えば、大きな理由は金融円滑化法の施行です。円滑化法でリスケをし多くの企業が一息ついていますのでサービサーにまで不良債権が流れて来ない、その結果、商売にならず廃業や合併するサービサーが現れたということです。
ところが監督指針の発表で今後は廃業を余儀なくされる企業が続出しますので、サービサーに多くの不良債権が流れることになります。
数年前のグレー金利の廃止で新たな資金源を模索した消費者金融各社がサービサー業界にも進出しています。彼らは回収には自信がありますので、高値で入札してきます。その結果、多くの不良債権が消費者金融系のサービサーに流れることは想像に難くありません。彼らは元々高値で債権を購入していますから、債務者企業が請求される金額も当然のことながら高くなり、従来と違って和解金も数百万円程度では済まなくなっているケースが散見されます。
こういう事態を回避するためには、「債権が金融機関にある間に」金融機関と相談しながら間接放棄を進めて貰うということがポイントになります。例えば私の場合は某都市銀行の出身で、同期生が銀行の審査部長や子会社のサービサーの部長をしていますので、あらかじめ和解金額を確定させ、債務者企業に大きな請求がいかないように工夫をしています。
(NPO法人 西日本事業支援機構 アドバイザー
寺島健二)

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