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外国人留学生の就職状況と環境の変化について

2018年度(平成30年)の外国人留学生の就職状況について出入国在留管理庁の報告をもとに経営者が留意すべきポイントを解説する。

1.在留資格変更許可数は25,942人(前年比15.7%アップ)。申請数は30,928人(前年比10.7%アップ)。この内4,986人の留学生に許可が下りていない。また日本での就職希望者のうち3割ほどしか就職できていないことなど課題が多い。

2.国籍では中国10,886人、ベトナム5,244人、ネパール2,934人がベスト3。ネパールが前年比44.8%増と追従。日本経済大学(日経大)のデータでも、ベトナム、ネパールの留学生が増え、中国からの留学生は減少傾向にある。

3.変更許可後の在留資格では「技術・人文知識・国際業務」が24,188人で全体の93.2%。

4.就職先は非製造業28,139人、製造業6,327人。非製造業ではコンピュータ関連サービスが2,876人、商業(貿易)2,827人で上位。この項目は、複数の業種項目にチェック可能で許可数と一致しない。

5.職務内容では上位から、翻訳・通訳9,884人(23.6%)、販売・営業5,615人(13.4%)海外業務3,753人(9%)技術開発(情報処理分野)2,717人(6.5%)。これらの4種の職務内容に従事する者は21,969人で全体の52.5%を占める。

6.就職先の企業規模を資本金で見ると500万円以上1,000万円以下の企業に就職した者が4,690人(18.1%)と最も多くなっている。

7.就職先の従業員数では、50人未満の企業に9,533人(36.7%)と最多。これを100人未満と区分すると12,148人で全体の46.8%にあたる。

8.就職先企業の所在地では東京都が一番多く11,971人(46.1%)。次に大阪府2,598人(10.0%)と東京都が圧倒的。ただし、勤務地の住所は別が多い。 

上記の外国人留学生の就職状況は、2018年4月から始まった、下記の施策がどのように影響するのか、大変興味のあるところである。

1.2019年4月に法務省の内局だった、入国管理局が出入国在留管理庁に格上げされた。

格上げの背景は国内の労働者不足。不足する労働者を外国人労働者でカバーし、また、技能実習生の増加とも相まって、在留外国人の増加に対応して、入国管理に関わる人手を確保し、在留外国人の管理体制を充実することが目的。

2.さらに2019年4月には入管法が改正され、外国人留学生の就労条件が緩和された。この就労条件の緩和は外国人留学生の就労拡大に向け新しい特定活動が公示された。ある一定の基準をクリアしていれば、業種や分野の制限を撤廃されることとなった。

その基準とは、「大学・大学院を修了し、日本語能力試験N1、BJTテスト480点以上の資格」があれば、今まで認められていなかった「飲食店・スーパーなどのサービス業」「製造業などの現場業務」への就労が認められるようになった。

(注)日本語能力試験は毎年7月と12月に国内外307都市で実施、受験生は年間136万人(国内では48万人)。昨年7月のN1の受験者は11.6万人で認定者3.4万人(認定率約30%)、N1は幅広い場面で使われる日本語を理解することのできるレベル。

ただし、コロナ禍の下、2020年7月の試験は中止。

BJTテストは、ビジネスコミュニケーション能力を測るテストで、480点以上でN1と同等。

日経大では、この特定活動での就職はまだ決まっていない。そもそもN1やBJT480点以上有資格者の数が少ない。また、その資格があれば特定活動での就職でなくても「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が取得できる。

現在、2021年卒業生の就活は大変厳しい状況にある。コロナ感染拡大の影響でインバウンドが完全にストップ、そのため、免税店、ホテル業界、家電量販店をはじめ観光・旅行業や飲食業では採用数が減少もしくは採用ストップの会社も出ている。

一方で、生活関連商品販売業つまり、スーパー、ホームセンターでは採用数は前年並みか増えている。また、対面での就活が出来なく、リモートによる説明会や 面接が増えている。出身国や業種による濃淡はあるが、外国人留学生は大変厳しい現実に直面している。

執筆者

永井 哲郎 氏
NPO関西 事務局長 
NHM共同事務所代表
日経大学神戸三宮キャンパスキャリア サポート担当

兵庫県丹波篠山市出身。
大学卒業後、住友生命保険に定年まで勤務。その間、ホテルニューアルカイックや
いずみホールでの出向も経験。
現在は、日本経済大学神戸三宮キャンパスのキャリアサポートセンターで、
留学生の就職支援活動中。

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