経革広場は、地域や組織の変革に取り組む人たちがつながる場です。変革に取り組む人の日々の活動やノウハウを発信し、地域や業種や世代にとらわれない連携を促進します。

「人生100年時代」 日本の伝統文化と福利厚生について

日本人の心

東日本大震災から7年が経過しました。お亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

私たち日本人は、これまでに何度も想像を絶するほどの災難に見舞われながら、そのたびに復興し目覚ましい発展を遂げてきました。この小さな島国が、焼け野原になっても、瓦礫の山になっても、幾度となく立ち上がり、世界屈指の経済大国に成長することができたのは、他を思いやり、困難を引き受け、幸を譲る日本人の高い精神性があったからに他なりません。かつてこの国を率いたリーダー達は、常に他の人を想い、国を想い、未来を想い、そのために尽くすことに、自らの人生を捧げてきました。この国が英雄を輩出するのは、決まって今まで築き上げたものが全てなくなるほどの困難に見舞われた時でした。日本を豊かな国に導いた一人として「経営の神様」松下幸之助氏が挙げられます。その幸之助氏が大阪市内の一軒家を借りて、妻と義弟の3人で起業したのが1918年3月7日とされます。ちょうど100年を迎えました。同社の社是、理念は、広く国民に家電を水道水のように廉価で届けたい思いの「水道哲学」というものです。

しかし「パナソニック」と社名を変えた今、同社の理念が見えてこないのは私だけでしょうか。高齢化が進み人生100年時代が来たと言われる日本です。経営環境や社会環境の変化への対応は大切なことですが、日本人が永く培ってきた「日本人の心、文化」を土台とした不変的な「理念」が必要です。それは企業だけでなく、個人にも言えると考えます。

日本伝統文化の見直し

私は剣道を教えています。その生徒、60代の韓国の方から次のような指摘を受けました。
「日本人には無宗教だという人が多い。韓国では考えられない。無宗教とは、キリストや釈尊と同様の悟りを開く自信があるか、生きることや死ぬこととう根源的なことから目をそらす弱者ではないのか」と言われました。この激動の中で心のよりどころとなりうる宗教的な信念や理念を見失ってしまっていないかと指摘されたようです。日本人としてのアイデンテティを改めて問い直されていると感じました。

インバウンドと外圧

浮世絵は、江戸時代陶磁器を海外に輸出する際の“包み紙”を受け取った西洋人がその芸術性を見出し、パリ博覧会で紹介され、世界的に認められました。また、「世界の北野」も当初日本では認められずにカンヌ映画祭で高く評価されることによって今では、黒澤明監督と並び称せられるまでになりました。この2つの事例から、日本にある当たり前の文化や伝統、精神性の良さを日本人自身がわかっていない面があります。私は剣道を新宿で教えています。土地柄か外国人やハーフ、帰国子女がいます。彼らは、剣道=武士道の精神や礼節を学びたいといいます。

東京オリンピックを控え、インバウンドや居留者は増えるでしょう。彼らに観光だけでなく、剣道や華道、歌舞伎等の日本伝統文化を“コト”体験してもらい、その体験を世界に発信して欲しいと思います。それが前述の浮世絵、映画のように「外圧」として作用します。日本人自身が剣道や華道を見直すきっかけとなることを期待します。それは日本全国の観光資源にも光が当たります。地方に残る祭りにインバウンドの人達に神輿を担ぎ、神事の綱引きに参加してもらいます。この“コト”体験により日本人の精神性や宗教観に触れてもらいます。

福利厚生の必要性

「人生100年時代」をむかえるにあたり、日本の伝統的システムのひとつとして相互扶助「一人は万人のために、万人は一人のために」の精神を見直したいと考えます。昭和の時代まで多くの中小企業が大切にした「福利厚生」の提供です。「福利厚生」は、賃金では表現できない、会社と従業員の相互扶助、仲間意識の醸成です。かつての企業のように保養所やヨットを持ち、従業員に利用してもらうという方式の復活は考えられません。

少ない掛金で福利厚生を従業に提供するサービスがあります。従業員一人の会社でも加入できる福利厚生システムです。多くの会社が加入することによって、充実した福利厚生を得ることができます。企業は、労働力の確保・定着、勤労意欲・能率の向上などの効果を期待できます。経営向上の一案として考えませんか。

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執筆者:矢野 剛氏
アローズ株式会社

1965年 生れ
1988年 流通経済大学経済学部卒
1988年 日本通運株式会社本社入社
2012年 アローズ株式会社設立
現在 福利厚生代行、個別指導塾、清掃業の傍ら
剣道道場運営、交流会の開催等を行っています。

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