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新型コロナウィルスが猛威を振るっています

執筆時点では緊急事態宣言が発令されており、その影響で多くの対面型のビジネスが中心の中小企業、およびその取引先企業が危機に瀕しています。一方で特需のような収益を上げている企業も少なくありません。特に情報サービス業、オンライン販売を中心にしている小売業などは新しい生活様式と、2020年の緊急事態宣言により“籠る”ことを強いられた影響で大幅な収益増加となっています。

政府のコロナ対策の是非についてここでは問いませんが、2020年に発足した菅政権のコロナ対策以外の指針を見ることで、2021年の方向性が見えてきます。もちろん目の前の資金繰りをどうにかしなければならない、という事業者が多いのも事実ですが、本年度の政府の補助金や助成金の動きを事前に察知することで支出を押さえつつ様々な手を打てるため、政府の動きはWatchしておく、ということが必要です。

2020年12月4日に官邸で記者会見した菅首相は以下の施策に取り組むと宣言しています。※会見の内容を一部抜粋

1.感染症の拡大防止
2.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
3.防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安全の確保
4.コロナ対策予備費の適時適切な執行
この中で注目すべきは2の「経済構造の転換・好循環の実現」です。

キーワードは3つ。①デジタル、②脱炭素(カーボンニュートラル)、③中小・小規模事業者の業態転換や事業再編です。

①のデジタル化は行政の仕組みを変えて効率化を進めるという施策のため、我々に直接影響を及ぼしそうなのは②と③です。

②において最も大型なものがグリーンイノベーション基⾦事業と呼ばれるもので、2兆円もの予算が用意されています。設備投資が中心の補助金になりそうです。

③に着目してみます。

すでに第三次補正予算で「事業再構築補助金」が中小企業の補助金として新たに設立される予定です。簡単に説明すると、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って事業モデルの転換や感染防止に取り組む中小企業に対して転換にかかる費用の3分の2を補助し、1社当たり100万~1億円を給付する補助金です。  

事業再構築補助金の総予算には業態転換支援1兆円超を確保されており、かなり大型だといえるでしょう。位置づけとしては最大200万円を支給する持続化給付金の継続版だとも言われています。

概要は以下の政府のパンフレットをご覧ください。
参考URL:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2020/201224yosan.pdf

中小企業の支援サイト「ミラサポ」によると、対象となる経費は「建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等」とあります。

また、補助対象要件は「①申請前の直近6カ⽉間のうち、売上⾼が低い3カ⽉の合計売上⾼が、コロナ以前の同3カ⽉の合計売上⾼と⽐較して10%以上減少している中⼩企業等。②事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取組む中小企業等。③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人あたり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成」と記載されています。

そのため、申請の様式などはものづくり補助金と同じような形態になると想像できます。

一方で、1つ面白い分析結果が公開されています。

独立行政法人経済産業研究所が2020年6月に公開した“ものづくり補助金の効果分析”です。この分析によれば、ものづくり補助金は企業の生産性向上に貢献できていない、と結論付けています。

参考URL:https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/20j032.pdf

政府としての大きな動きは菅政権のブレーンの一人でもあるデービッド・アトキンソン氏が提唱する中小企業の統廃合だと考えられますが、この分析結果をふまえてものづくり補助金を改定し、コロナで傷んだ中小企業でも事業再編に積極的であれば支援する、という意図も垣間見えます。

中小企業の経営者はこうした政府の動きを横目で見つつ、認定支援機関に相談しながら補助金、助成金を活用し事業再編によってコロナ禍を乗り切ってください。

執筆者

山本 広高 氏
BFCA経営財務支援協会
NPO首都圏事業支援機構 理事

国立大学大学院終了後、フロリダ・インターナショナル大学にてMBA取得。
アクセンチュア㈱ビジネス統合部門にてコンサルティング業務に従事。
経営コンサルタントとして独立。
2014年、BFCA経営財務支援協会の取締役に就任。
NPO首都圏事業支援機構 理事。

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