地域や企業にデジタルトランスフォーメーションを実現するための情報をお届けします

④事業承継は早めの準備と告知を

ri.jpg
李明源

■経営は「人」である、その人とは?

経営は人である。企業は人である。これらは各種の経営セミナーでよく耳にする言葉である。また、経営コンサルタント会社の経営アドバイザーも、企業は人が大事だから、まず社員教育からはじめましょうなどと言う。

そして、この時の「人」は、大概、幹部社員あるいは一般社員などの「社員」を指す。果たしてそうだろうか?確かに社員の素養も大切だ。けれども、一番重要な人は、企業を経営する経営者その人ではないだろうか?

経営者ひとりの力は、企業経営にとって非常に大きなウエイトを占める。経営者が替わっただけで企業業績が上がったという例はたくさんある。経営者が一番重要だということくらいは、言われなくてもわかっている。そんな声が多くの経営者から聞こえきそうだ。

しかし、企業の繁栄において経営者が重要であるとわかっていても、経営者である自分自身を指導してくれる人はいない。そして、いつのまにかそのことを、どこかへ置き去りにして忘れている。だから、改めて再確認しておきたい。企業は「経営者」で決まる、これが企業経営の原点である。

では、経営において最も大切なことは何だろうか?それは、培ってきた既存のいいものを守り、時代に適合しなくなったものを捨て去り、新しいものを取り入れて攻めることである。これがまさに、企業経営の攻めと守りである。そのためにも、経営者として常に考えておかなければならないことが、事業承継である。

■経営者最後の決断、それは事業承継!

事業承継は、承継しなければならない「その時」に考え出したのでは遅い。まず事業承継の時期を決め、それを誰に引き継ぐか予め決めておかなければならない。身内若しくは役員から後継者を選択し承継したいのなら、早めに考えておく必要がある。いきなり社長を引き継ぐと言われても、言われたほうは、気持ちの準備がつかず右往左往するだけである。

次のような例がある。長男を会社に入れて一緒に働いてきて、社長は「息子は社長を継ぐ意志が当然あるだろう」と思い込み、ある日後継者としての話を具体化させたら、自分は継ぐのはイヤだと拒まれ右往左往してしまったケースである。

逆のパターンもある。社長である父親が引継ぎの時期を明確にしてくれず、息子である2代目が「父親は一体いつ俺にバトンタッチしてくれるのだろうか?」、「父親は本当に俺に任せてくれるのだろうか?」と、父親に疑心を抱いてしまったケースである。

だから、事業承継するなら早めの準備と告知が必要である。最近では、中小企業のM&Aなどが増えているので、後継者が見つからない場合はそのような手段も視野に入れる。

承継者が決まったら、事業承継する中身(内容)を決めなければならない。企業には、資産があり、それに伴う負債がある。特に、負債が資産を上回っているケースでは、引き継いで守るべき事業及び資産をよく検討しなければならない。経営者としては、事業の全てを残し、資産の全てを守りたい。その気持ちはよくわかるが、ここでよく考えなければならないのは、なぜ事業を承継するのかということだ。

事業承継とは、企業が長期にわたって培ってきた技術、サービス等を後世に引継ぎ、社会発展に寄与することと考えて良い。そしてもうひとつ忘れてならないことは、そこで働く人たちの生活を守ることである。そのためには、事業内容を今の視点、将来の視点で分析し、不採算と判断できる事業や資産を処分して財務のスリム化を図る必要がある。

処分する資産の中に、先祖代々から受け継いできたものがあると「先祖に申し訳がない」、「親戚に恥ずかしい」などと思うかもしれない。しかし、承継する意義を考えるとき、見栄やプライドは捨てるべきである。経営者としての真価が問われるのは、このときである。経営者「最後の決断」が事業承継なのだ。経営者として、滞りなく事業承継ができてはじめて、その役目は終わり、企業経営の攻めと守りは完結するのである。

 

 

SNSでフォローする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA