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⑤定期的な経営診断で適切な対応を

■決算書で「体調」を判断する
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森井 将経

中小企業の健康診断書として、決算書があります。その主要なものは、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)の三点で、財務三表とも呼ばれます。
私は、過去四年の間に、二千件以上の中小企業再生支援を行ってきました。この体験から健康診断書を読みきれていない経営者が多数いることを知りました。「読みきる」とは、単純に決算書を見るということではなく、それを分析し経営に反映するということです。

B/Sは企業がどのような状態におかれているかを診る指標です。現在の資産の状態、債務の状態、資本の状態などを分析することによって、経営の「体調」を判断することができます。例えば、債務超過状態にあれば、債務圧縮の「処方」を早期に考えなければいけません。逆に、潤沢な資金があるようであれば、その資金を役立たせるための設備投資など、資金の有効運用を検討しなければならないはずです。

P/Lは企業の日々の営みを知る指標です。どれだけの売上があり、どれだけの利益や損失を生み出しているのか。また、企業を構成する「細胞」ともいえる社員や取引先に対する収支バランスはどうかなどを見ることができます。売上は大きいものの、利益が上がっていないのであれば、仕入れや商品原価を下げる「薬」を飲まなければいけません。利益が大きく出ているようであれば、それを生み出した「細胞」に、より多くの栄養を与え、更なる成長を企画しなければならないでしょう。

C/Fは企業活動のうえで絶対に必要な「血液」ともいえる資金の動きを見る指標です。売掛金がどれほど多くても、買掛金の支払いサイトの方が早ければ、資金ショートを起こす原因となります。つまり出血多量の状態です。逆に売掛金の回収が早ければ、資金的な余裕もでき、新たな事業の取り組みも起こせることになります。

中小企業経営者として、これら「健康診断書」のポイントをおさえ、事業活動に活かすということが、求められる最大のことではないでしょうか。また、こういった非常に大事なことをしっかりと相談できる専門家を側に置き、必要に応じて活用することも大切なことです。それぞれの専門家と常時契約しておくことが、コスト的に負担であれば、我々のような税務、法務に通じたコンサルタントを側においておくことも一つの手です。

 

■財務三表の関連を押さえる

さて経営者は、財務三表のポイントをおさえながら「健康診断書」として活用するための理解が必要です。財務三表を図のように関連付けることで「健康診断書」として生かすことができます。

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BSやPLといった個別の指標に囚われたり満足したりせずに、必ず全てのポイントをおさえます。財務三表全体での分析を行い、経営判断します。そのためにはできる限り早く月次試算表を作成し、今の経営に反映させます。こういった分析を行いながら、「計画→実行→評価・調整→実行」という(PDC)サイクルで企業の成長を図ります。

ただ、企業(法人)といえども永遠に成長し続けることは至難の業です。企業内外の経営要因の変化を始め、事業承継や組織内紛など、様々な問題にぶつかります。このような問題に直面すると往々にして経営者は、慌ててしまし判断を誤ります。しかし経営者として自社の「健康診断」を定期的に行い、適切な対応をとっていけば、常に企業を健康な状態に維持できるのです。

「健康診断」の結果、一人では対処できない問題や、迷いが生じる場合も考えられます。そのときには、社内、社外を問わず、適切な助言をしてくれる「プロフェッショナル」を使います。よく経営者は孤独だと言われます。だからこそ経営のポイントをしっかりとおさえ、様々な状況に対応できるスタッフを側に置くことです。そのような知恵と心構えがあってこそ、中小企業のおかれた厳しい経営環境のもとでも、楽しみながら経営し、会社を伸ばすことができるのです。

 

森井将経(もりいまさつね)
NPO法人、東海事業再生支援センター会員
JSK事業再生研究会・正会員
ビックベン総合研究所取締役

6年間のコンサルタント活動を通じ、2000社以上の事業再生・事業承継を指導し現在も活躍中。

 

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