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事業再生させる手法

前回のコラムを掲載させていただいてから、「事業再生は、国や大手金融機関などの力を借りられる大企業の特権だと考えていた。中小企業は窮地に陥ったら会社をたたむしかないと思っていた。私たちにも再生の手を差し伸べてくれるところがあるのだ。」という内容の電話・メールを多数いただきました。窮地の会社でも存続させ続ける方法があることが、一人でも多くの方に知ってもらいたいとこのコラムを書かせていただきましたが、その目的が少しでも達成できてうれしい限りです。

今回は、皆さんからの相談を受けてから、事業再生させる手法を述べさせていただきます。
会社が苦しくなって、われわれのところへ相談に来られる方は、「銀行からの融資の返済が大変」「本業はうまく行っているのに、お金が残らない」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

事業再生コンサルタントの世界では、会社を身体、再生方法を治療方法に例えることが良くあります。
身体から血液が無くなったり・止まったりしたら死んでしまいますが、会社では「お金・資金」がそれに当たると考えております。相談に来られる方の会社は、入ってくるお金より出て行くお金のほうが多くなっている状態、つまり出血多量の状態になっていると例えます。資金ショートいう状態です。

われわれは先ず出血の理由を探るため、相談者から時間をかけてお話をお聞きします。決算書を見せていただきます。これらによって、その会社がなぜ出血しているかを判断させていただきます。また、止血=お金の流失をとめることで、その会社が回復するだけの基礎体力を持っているかあわせて判断させていただきます。われわれだけで判断しにくい場合には、公認会計士などを含めた第三者によるデューデリジェンス(資産の適正評価の詳細調査)を実施し、公正な評価を行います。その会社が回復できる基礎体力を持っていると判断できれば、われわれは会社を救うべく、具体的な治療に当たります。

先ずは内科療法です。①銀行・リース会社へのリスケージュール(支払条件)交渉 ②家賃・金利・他の経費の削減交渉 ③給与・ボーナスカット交渉 ④売掛金回収推進 ⑤在庫削減による資産の現金化 などを行います。これらの療法を実施するためには、取引先や銀行との事前交渉準備や従業員の協力体制がなくてはできません。関係者に誠意を持って、この危機を乗り越えられれば会社は立ち直ることができるので、今回は協力して欲しいと熱意を持って説明しなくてはなりません。

次に、外科療法にあたります。①不採算部門からの撤退 ②事業の中心部門以外を他社にM&A(営業権譲渡) ③幹部社員により暖簾分け独立(MBO=マネージメントバイアウト) ④人員整理・削減 などがあります。外科治療は手術ですから、失敗すると、より出血し命の危機=倒産という事態になりますから、名医(専門家)のアドバイスを聞いて、周到な準備をしてから実行することが手術の成否を左右します。

さらに、ICUつまり集中治療室で復活させる場合もあります。①会社を分割して、債務整理用の会社と事業存続の会社に分割する ②新会社設立して、将来性のある事業を営業権譲渡し、旧会社は清算する ③民事再生法申し立てをする ICUでの治療は、担当医師だけではなく医療チームを組んで、つまり事業再生ではターンアラウンド・エキスパートを中心に公認会計士・税理士・司法書士がチームを作って、充分な対応策を練って取り組まなければなりません。

事業再生に来られる方々の症状は、全て異なります。その方の症状に合わせて最も良い治療に少しでも早く取り掛からなければ、症状は悪化する一方です。そのためには名医につかなくては、治る病気も治らなくなります。また、症状を隠さず話していただかなくては、本当の原因を見逃してしまうこともあります。さらに、社長は病気を治す=会社を立て直すという強い信念を持って、医者=事業再生家と一緒に事業再生に取り組んでいかなくてはなりません。事業再生をするためには、このことが最低条件です。

このようなことを、私は相談に来られた多くの社長にお話し、素直に理解していただいた方とプラスの発想で事業再生に取り組んできました。それらの社長と周りの多くの人たちが、笑顔を取り戻したことが私の誇りです。

喜多 洲山(きた しゅうざん)

昭和28年生まれ。地方都市の小売業三代目として家業に20代前半から従事。
年商1億円の地域一番店を30年近くかけて、年商40億円の業界全国2位の企業に躍進させる。
しかし、急激な拡大策のために30億円の負債を抱える。この危機をあらゆる手立てを使って乗り越え、復活を果たす。
これらの経験をもとに、中小企業の社長に笑顔とパワーを伝授し、地域経済の活性化することを願って
「喜望大地経営研究会」を大阪梅田と東京八重洲で主宰している。

喜望大地経営研究会
「借金30億からの逆転! 洲山(しゅうざん)日記」

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