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第6回:ブランドは買い手をラクにする

コラム・連載
これまで、ブランドとは買い手がメリットをどのように感じるかの認識の問題であり、その認識は簡単には変えられないことを述べました。それらを踏まえた上で
「普通の企業・商品がブランド(化)に取り組んで経営を良くするにはどうすればよいか」
について踏み込んで考えてみます。
前回、「買い手が他ではなくそれを選ぶ、明確なメリットを感じる点のことをまとめてブランドと呼んでいる」とブランドを定義しました。この「明確なメリット」は人によってもモノによっても様々ですが、ある共通のポイントがあります。それは、
人はなるべくラクをしたい=自分をラクにさせてくれるものを買う
ということです。
もちろん趣味の世界などでは、あえてキツい登山をする、難しいそば打ちに挑戦する、などの例外もあります。しかし消費活動の9割以上は「自分をラクにさせてくれる」という観点でモノやサービスを選んでいるといってよいでしょう。
具体的な例として、あなたはバッグを買いたいと思ったとします。あなたはどうやってバッグを選んで購入するでしょうか。バッグの種類は色・デザイン・素材など、世界中に何百万とほぼ無限にあります。その中からすべてを精査するのは不可能です。あなたはなるべくラクに自分に最適なものを選びたいはずです。
そこで「ブランド」を基準にするはずです。ブランドAは都会的なデザインで素材が丈夫、ブランドBは素朴で値段は…という連想が思い浮かぶはずです。あのお店Cは店員の対応が良くて…と、お店の「ブランド」で選ぶここともあるでしょう。ブランドはこのように買い手が悩んだり、「ハズレを選びたくない」と迷ったりしたときに、ラクをさせてくれるのです。
ではブランドを提供する側から見てみます。たとえば「広々とした店舗で、こだわりのジャージー牛のミルクを使った老舗アイスクリーム店」があるとします。このお店はどのような点で買い手をラクにさせているでしょうか。
・とてもおいしいので、おいしいアイスクリームを食べたいときに迷う必要がない。
・老舗で長年営業をしているということは多くの人に愛されているはず。大ハズレをする可能性が低い。大丈夫だろうかと不安にならない。
・内装がオシャレで椅子も多いのでデートで安心して使える。デート相手を不快にさせないだろうか、と心配する必要がない。
このように具体的に選ぶべき価値、「これを選んでおけばこんな風にラクができる」という安心感があるからこそ、そのお店や商品は「ブランドである」と認識されるのです。
前々回に紹介した農産物のブランド化を思い出してください。確かにウェブサイトやパッケージをおしゃれにしましたが、ブランド化はうまく行ったと言えませんでした。それは、買い手がウェブサイトやパッケージから具体的なメリット、自分をラクにしてくれるであろう点が感じられなかったからです。
もしこの農産物も「大切な人への手土産にはこれがぴったりですよ」「地元の農家を応援したいという気持ちがある人向けですよ」などと、買い手が考えたり悩んだりすることを少しでも軽減する方向にブランド化していたら、結果は違っていたのではないでしょうか。
ブランド(化)を成功させる大切な要素の一つは、「ブランドは買い手をラクにする」という点です。あなたは自社の商品やサービスがどのように買い手をラクにさせているか答えられますか。商品デザインやパッケージよりも、まずそこから考えてみてはいかがでしょうか。
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