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第1回:経営者はブランドに取り組んではいけない!?

コラム・連載


「これからの経営にはブランドが大切だ。我が社でもブランド力の向上を目指す。そこで君、ブランド力向上の責任者になってくれたまえ。期待しているぞ」

今回からこの「『ブランド』の担当者になったら読むコラム」を執筆する幸本(こうもと)陽平です。どうぞよろしくお願いします。これまで複数の高級化粧品ブランドでマーケティングや新ブランド立ち上げなどを担当してきました。現在はマーケティングを中心とした企業研修やコンサルティングをフリーで行なっています。

さて、あなたが会社員であるとして、冒頭のセリフを社長から言われたらどうするでしょう。確かにビジネスにおいてブランドは大切な気がしますし、ブランド力を向上させるのも有効なように思えます。でも、ブランドって何でしょう。ブランド力というものはどうやったら向上するのでしょうか。

私は高級化粧品ブランドで長年マーケティングをしていましたから、「ブランド」についても専門家であると自負しています。そのため取引先からも冒頭のような「ブランド力を高めたいのですが」「我社に欠けているのはブランドだと思うのですがどうすればよいでしょう」というご相談を受けることも少なくありません。またマーケティングの公開講座などでもブランドについて話してほしいと依頼されることもあります。

しかし私はいわゆる「ブランドコンサルティング」や「ブランドについて教える研修」などは積極的には行いません(もちろんどうしても、というお話があれば別ですが)。これは私がブランドを理解していないからでも、ブランド力向上が無意味だからでもありません。

その理由は「ブランドという言葉の定義が人によって違いすぎる」からです。冒頭の社長は「ブランド」をどのように捉えているか、定義しているでしょうか。ただ漠然と「ブランド(力)があれば売れる」「ブランドだと高く売れる」という程度にしか考えていないのではないでしょうか。

ブランドという単語で連想する事柄は人によって様々です。ある人はバッグや化粧品などの高級ブランドを、ある人はロゴを思い浮かべます。また、製品やパッケージのデザインをデザイナーに頼んでかっこ良くすることがブランドだと思っている人もいます。

ビジネスにおいては、きちんと定義できない言葉や人によって解釈が異なる言葉を安易に使うべきではありません。「我が社のブランド力を高める」というのは「我が社はがんばる」「我が社は未来にはばたく」というのと同じくらい中身のない言葉です。何を目指してがんばるのか、そのためにはどのような方法を用い、どうなったらその目標が達成したと言えるのか。それらを定義せずに「我が社はがんばります」とだけ言う社長をあなたは信用できるでしょうか。

「ブランド」という言葉も同様です。もちろん私はブランドとは何かを説明したり教えたりすることはできますし、社内のブランドに対する意識を統一し、やるべきことを定めることはできます。しかしそれには時間と労力がかかります。その過程を省略し、定義自体があいまいな「ブランド」ありきでプロジェクトを進めても、社内は混乱するだけです。私がブランドについて積極的にコンサルティングや研修を行わないのはそのような理由からです。

では、ブランドとは何なのでしょうか。どうすれば本当の意味での「ブランド力の向上」がなし得るのでしょうか。

次回以降で考えてみましょう。

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