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第3回:ブランドは買い手が決める

コラム・連載
第1回・2回のコラムで、ブランドは人によって解釈が異なり、安易に経営にブランドを持ちだすと社内がバラバラになってしまうと述べました。それではブランドとは一体何なのでしょうか。ブランドを机上の学問ではなく、実際の経営に生かすにはどのようにすればよいのでしょうか。
ブランドを活かすために、まずはブランドという言葉の語源から振り返って考えましょう。ブランドの語源は「牛の焼印」です。焼印を押すことで牛を区別し、個体を認識しました。そのためブランドは辞書的な意味で「他と区別する印」とされ、それが発展して「企業が品質を保証するために製品に付与したロゴやマークのこと」などと言われることもあります。
とはいえ、多くの人がブランドで連想するのはシャネルやルイ・ヴィトンといったいわゆる「高級ブランド」ではないでしょうか。商品そのものに加え、豪華な店舗、洗練されたディスプレイと店員、長年の歴史、著名デザイナー・・・。そういった複合的な要素によって高級ブランドは成り立っている、と連想するのではないでしょうか。
「ブランド物」はそれらの要素によってある意味「市場原理に外れた」「非合理的な」価格が成り立っている、だから我が社もデザインに高級感を出してブランド化しよう・・・そう考える気持ちもわかります。
その一方で、ブランドの本や専門家の話では「高級ブランドだけがブランドではありません。ブランドとは売り手と買い手の約束、信頼の絆のことです。だから小さなお店や無名の商品でもブランド化することができます」などと言われます。おそらくこのような話を聞いて「我が社もブランドに力を入れよう」と思う経営者が多いはずです
売り手と買い手の「約束」「信頼の絆」など、それ自体は私も否定しませんし、ブランドの解釈としてある意味正しいと思います。ではその「約束」や「信頼の絆」とはどうやれば作れるのでしょうか。実際の経営ではそこが一番大事なところです。「ブランドについての認識がバラバラで正しく実行できなければ意味がない」と繰り返しているように、「約束」や「信頼の絆」が大事だとわかっていても、そういった耳障りがいい言葉を並べるだけで実現されなかったら意味がありません。
前置きが長くなりましたが、私のブランド論として初めに言いたいのは
「ブランドであるか(ブランド力があるか)どうかは買い手が認識して決める」
ということです。
ブランド力向上、ブランディング・・・と旗を揚げるとき、意外と忘れがちなのがこの点です。ブランドは自分たちがどう言っているか、何をしているかで決まるのではありません。すべては買い手(顧客・消費者)がどう思うかで決まる、ということです。
だから、なぜシャネルやルイ・ヴィトンが高級ブランドと言われるかという問いに対する根源的な回答は「あなたが高級ブランドだと思っているから」となります。元も子もない話ですが、この条件をクリアすれば(高級)ブランドである、という条件があるわけではありません。
そのため先程の「約束」や「信頼の絆」も、売り手の側が「約束します」「信頼を大切にします」と言うだけではブランドにはなりません。買い手の側が「この企業は約束を守ってくれるはず」「あの商品は信頼出来るはず」と認識できるからこそブランドになるのです。約束や信頼は一方通行では成り立ちません。
ブランドについて語るとき、自分たちが「どういうブランドでありたいか」を考えることは大切です。しかしその結果、どのように認識するかは買い手の側に100%選択権があります。それを忘れた、外側だけの自分本位の「ブランディング」はありえません。

 

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