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経営の重要なヒントが見つかるBIツール活用術(導入編)

コラム・連載

BI(Business Intelligence)というと、専門家でなければ使えない、とお考えの人が多いのではないでしょうか。確かに、SASやSPSSといった統計解析をその母体とするBIツールは、専門家に向けたツールという色彩を現在でも色濃く持っています。しかし、従来BIツールの機能の一つと考えられてきた「レポーティング」を機能の中心に置いたBIツールが登場しています。しかも、クラウドサービスとして数多くのツールが提供されています。中堅、中小企業にとっては、比較的安価で、導入、利用もしやすいクラウドBIツールと活用について考えることにします。

目次

BI(Business Intelligence)と企業経営
クラウドBIとオンプレBIどちらがお得?
クラウドではじめて、まずは目的を明確化

BI(Business Intelligence)と企業経営

BIは、企業に蓄積された膨大なデータを分析し、その結果をビジネスに役立てるためのツールとして登場しました。このような役割を持ったBIツールを活用するために、データウェアハウス、データマイニングやデータマートといった考え方が登場し、さらに、分析のための軸を自由に変えたいという要求から、多次元データベース(キューブなどと呼ばれることもあります)が注目を集めるようになりました。

企業が利用しているシステムは、導入の時期によって異なるデータベースを利用していることから、バラバラになっているデータをBIツールで分析しやすいように一つにまとめなければなりませんが、このためにETL(Extract Transform Load)ツールが利用されます。

このETLツールは、企業が利用している複数のシステムから、データを分析しやすいように抽出し、データウェアハウスにまとめる働きをするものです。
このように集められたデータを統計学やパターン認識、人工知能などの技術を活用して、企業経営の意思決定精度と速度を上げ、競合他社に対する優位性を確保しようというのです。

これまで漫然と集められていたデータに、企業経営に重要なヒントが埋もれていて、そのヒントを分かりやすく取り出す、というのがBIの基本なのです。

経営者の嗅覚、勘は大変鋭く、だからこそ、企業を発展、成長させることができたのだと思います。
しかし、現在のように、顧客のニーズが短期間で変化する時代に合っては、経営者の過去の経験だけから判断すると、舵取りを間違えてしまう可能性が高くなります。

また、社員全員に共通の情報で物事を判断するには、旧体制ではムリがあります。ですので、BIツールは、単に経営を合理的に進めるだけでなく、社員同士がコミュニーケーションを取るときの共通言語としての役割を持つということも、合わせて考える必要があるでしょう。

脚注1:データウェアハウス
データの倉庫と訳されますが、時系列に整理された業務上発生しているデータを集めたもの。売上データを分析し、将来を予測しようとすれば、業種によっても異なりますが、3年程度遡って、商品ごとの売上推移を分析しなければなりません。このような分析を行うためには、時系列に並べられた、商品別の売上データが必要になります。
脚注2:データマート
データウェアハウスから特定の目的のために抽出されたデータの集まり。小さなデータウェアハウスになります。経理部専用、営業部専用のように、部門が必要としているデータなどが代表的なものになります。
脚注3:データマイニング
マイニングはもともと鉱山で、石炭や金などの鉱物を採掘することを意味する言葉でした。BIの世界では、データウェアハウスに蓄えられた膨大なデータから関係性を見いだし、ビジネスに役立つ情報を取り出す作業になります。
大手スーパーで、商品の売り上げデータを分析(マイニング)した結果、金曜にミルクと紙おむつ、ビールの併売傾向が顕著であるという結果が得られました。この結果を受けて、金曜の午後に、それぞれバラバラに陳列されていた商品を1カ所にまとめたらもっと売れるのではないか、という予測を立て、実践します。その結果、これまで以上にこの3つの商品が売れた、という結果を得ることができた、というような使い方をします。

データウェアハウス+BIで膨大なデータから宝物を見つけ出す

クラウドBIとオンプレBIどちらがお得?

代表的なクラウドBIを列挙すると、以下のようになります。

Domo(ドーモ株式会社:https://www.domo.com/jp/product
MotionBoard(ウイングアーク1st株式会社:http://www.wingarc.com/product/
Lakeel BI(株式会社レジェンド・アプリケーションズ:https://bi.lakeel.com/
Yellowfin(Yellowfin Japan株式会社:http://www.japan.yellowfin.bi/
Dr.Sum EA(ウイングアーク1st株式会社:http://www.wingarc.com/product/
Adaptive Suite(Adaptive Insights株式会社:http://www.adaptiveinsights.com/jp
PowerBI(Microsoft:https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/
Tableau(Tableau Japan 株式会社:http://www.tableau.com/ja-jp/products
Oracle BI Cloud(日本オラクル株式会社:http://www.oracle.com/jp/cloud/overview/index.html
Qlik Sense Cloud(QlikTech Japan K.K.:http://global.qlik.com/jp/explore/products/qliksensecloud

これらのクラウドBIサービスの多くは、パッケージソフト、あるいはオンプレミスの製品としても提供されていますが、本格導入の前に、試用サービスを利用可能なものもありますので、いきなり導入するのではなく、使用サービスを活用して、選定時の参考にすることができます。

問題は、「クラウドとオンプレのどちらがいいのか」ということです。どちらも一長一短があり、どちらが絶対に良いと断言はできません。

同じ製品でもクラウド、オンプレの両方をサポートしているものがあります。これらのタイプの場合、どちらを選定するのかの基準は、「コスト」が第一になります。
しかし、TCO(総保有コスト:Total Cost of Ownership)を計算しないと、本当のコスト比較は難しいので、初期コストが安価ですむクラウドサービスがお得と結論づけることはできません。

クラウドサービスのメリットをまとめると、以下のようになります。

  1. すぐに始められる
  2. 初期投資が不要
  3. 常に最新バージョンが利用可能
  4. 運用負荷がほとんど掛からない
  5. 規模の拡大にも柔軟に対応できる

このクラウドの持つメリットの反対がそのままオンプレのデメリットとなります。
一見クラウドサービスの方が圧倒的にいいではないか、ということになりそうですが、これまた残念ながら簡単にそのような結論を導き出すことができません。

最大の理由は、「自由度」、「拡張性」です。「自由度」は「こんな分析をしたい」という目的に合致した分析機能がクラウドサービスにない場合、ユーザー側で対処することができません。しかし、オンプレの場合、どの程度の負荷が掛かるかは別にしても、カスタマイズで、目的とする機能を盛り込むことができます。
また、拡張性も同様に、社内で利用している基幹システムのDBにクラウドサービスが対応していなければ利用できません。利用するためには、そのクラウドサービスが対応しているデータに変換しなければなりません。
というように、オンプレならセミオーダーで仕組みを作り上げることができるのですが、クラウドサービスでは、既製品が基本ですので、自由度が低くなります。

クラウドBIはマルチデバイス対応が基本

クラウドではじめて、まずは目的を明確化

クラウドサービスとして提供されているBIツールに共通していることは、レポーティングツールということです。次回以降に詳しく紹介しますが、ダッシュボート(メイン画面のようなもの)に必要な情報を使いやすいように並べ表示することで、欲しい情報へのアクセスを容易にしてくれます。

このダッシュボードに掲示する情報の中心は、「レポート」になります。過去の売り上げ実績グラフや、予実管理の達成度グラフなどが表示され、そのグラフをクリックすると明細情報が表示される、といった具合です。

基本的な統計分析機能をほとんどのクラウドBIが提供していますが、あくまでも基本(Excelが標準で持っている分析機能と大きな違いはありません)と考えるべきです。Excelとの違いは、一度セットすれば、リアルタイムに、自動的にグラフが作成され、あらかじめ設定されている帳票にも自由に結果を反映させることができるということです。

クラウドサービスの特長の一つに「すぐに始められる」があります。このことは契約に最低利用期間の定めがなければ(設定されているのが一般的ですが)すぐに止められるということでもあります。ですので、BIツールがどう自分たちの経営に役立つのか、とりあえず試してみよう、というのであれば、選択肢は、クラウドサービス以外にありません。できれば、無料の試用期間が定められているもの、ということを条件にする必要があります。
まずは試して、経営に、業務に役立つ、あるいは役立ちそうということを知ってから導入を考えると失敗はないでしょう。

MotionBoardのダッシュボード例

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