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社長(さん)!成り行きで経営していませんか?
経営財務研究所
代表 杉田利雄

日本の株式会社数は、120万社といわれている。他に有限会社が約160万社。
他に会社といわれるものには、合名会社や合資会社があり、さらにNPO法人、
社団・財団、学校などの公益法人、道路公団などの特殊法人、国民生活センター
などの独立行政法人などを含めることもある。
今回は、法人の種類を伝えることが趣旨ではなく、株式会社の社長(代表取締役)
さんの仕事について論じたい。株式会社も有限会社も「法人」と呼ばれる。法人は、
われわれ自然人である人間とは異なり、法律よって社会的な存在が認められる
「団体」である。つまり、会社の根拠となる法律があるということだ。その法律
とは、商法と有限会社法などであったが、今般これらを元に新たに「会社法」が
成立し、来年2006年5月(ごろ)に施行される。
やや理屈っぽい書き出しとなったが、要は株式会社の社長の仕事に直結する新法=
「会社法」ができる、ということ。新法というとこれまでになかった法律が新たに
できるというイメージだが、これまで商法や有限会社法、証券取引法等でばらばら
に規定していた会社に関する法律を「会社法」という新しい法典として整備した、
というのがより正解に近いイメージだろう。
ここで経営者としての課題が2つほど見えてくる。ひとつは、株式会社の根拠法である
商法(現行法)について経営者として充分な理解をしているだろうか、ということ。
今ひとつは、法律が変わることへの準備や対策をしなければならないということ。
何れも経営者としては、見逃せない重要な課題ということができる。そんなこともあり
多くの出版社から「会社法」に関する本がおびただしいほど出版されている。一度、
近くの本屋に行ってビジネス書のコーナーを覗くと良い。本屋に行くのが面倒ならば
amazon.co.jpで「会社法」を検索しても良い。2000タイトルを超える書籍がヒットする。
現行根拠法の理解と新会社法への対応という2つのテーマのうち、どちらを優先課題と
すべきか? この解は明確で、経営者は現行根拠法である商法の理解を深めることを
優先すべきだ。なぜなら、今を知った上で改正点を知る方が問題の核心を把握しやすい。
更にこれまで、小さな会社はあまりにも商法を蔑ろにして経営をしてきたという反省も
しなければならない。これは経営者だけが悪いわけではない。法律を取り締まる側の
行政にも問題があった。商法が、やや規模の大きな株式会社を想定していたため、商法
に準則しない行為(違法行為)に対して取締りを甘くしていた。中小零細な株式会社の
ほとんどが違法行為もしくは実体の伴わない形式的な所作であっても、摘発や処罰を
受けることがなかった。本来法を守るべき経営者も「赤信号みんなで渡れば怖くない」
というような感覚で違法行為を繰り返してきた。新会社法の施行により、このいい加減な
システムは崩壊すると考えたほうが良いだろう。
ここで改めて経営者の方にお尋ねします。株主総会と取締役会は、商法に準則して実施
していますか? 商法の趣旨に則った形で、この2つの機関と監査役は機能していますか?
経理会計は、税理ではなく商法に準じた処理をしていますか? 会社の決算は、公開する
義務が課せられていますが、速やかに公開していますか? これらのことは、司法書士や
税理士などの専門家と言われる先生方に任せ切の社長が多いはずだ。しかし、ここで良く
考えてほしい。経営責任は当然ながら経営者にあり、ひとたび違法行為の摘発となれば、
処罰の対象となるのは、専門家の先生方ではなく取締役であり、その代表である社長さん
であることを。専門家の先生方は、手続きの代行者であり、あるべき経営を指導すること
は稀だ。
思い起こして欲しい。会社の設立ですね。株式ですと、役員は3人以上必要です。何方か
居ますか? 監査役も必要ですね。必要な書類としては○○○です、○○○までに用意
してください。どのような事業ですか? 今お伺いしたことを元に、定款やら議事録やら
設立に必要なものの原案はこちらで作成しますので。と言う具合にプロフェッショナルに
かつ事務的に進んだはずだ。決算公告についても、顧問税理士等から強く勧められたり、
指導されたりしたケースは少ないだろう。前向きな解説をするならば、この国の士業(
専門家)は、縦割りで他の専門領域をできるだけ侵さない、という倫理観を持っている。
いやな言い方をするならば、金(料金)にならないことには手を出さない人たちともいえ
る。しかし、専門家に文句を言う前に、経営者としては自ら学ぶべきだった、と反省すべ
きだろう。
確かに、経営者が学ぶべき領域は広過ぎるともいえる。このテーマの商法に限らず、人を
雇用するなら労働関連法を、税法や業界法も、マーケティングや戦略論も学ばなくては、
一流の経営者にはなりえない。しかし、やり方がないわけではない。これらの経営テーマの
骨格や核心だけを掴めば良い。その上で、専門家を適時に利用し、取締役会を通じて取締役
や従業員を活用する。本来、社長業とはこのようなものだ。社長が成り行きで会社を経営
していたのでは、確かな成長は望めない。新会社法の施行が、時代の分岐点になると思う
べきだ。
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序章
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・むき出しの資本主義時代が来る
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第1章 経済に関する基礎知識
第2章 金融と金融機関の基礎知識
第3章 金融取引の基礎知識
第4章 金融のための会計学
第5章 会社法の基礎知識
第6章 株式・社債の法務と税務
第7章 株式資本とコーポレート・ガバナンス
第8章 企業再編と資本戦略
第9章 デューデリジェンス
第10章 ビジネス・ターンアラウンド
第11章 ビジネス・ターンアラウンンドの実務
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