経革広場 経営戦略
経営戦略>強い会社を作る

中小企業に対する基盤強化
税制の上手な活用の仕方
 

【6回シリーズ】
中小企業に対する基盤強化税制の上手な活用の仕方

(5)設備力という基盤強化
  

税理士・中小企業診断士・ITコーディネータ 吉川 孝
税理士法人 さっぽろ経営センター 社員税理士
日成コンサルティング株式会社 代表取締役社長
NPO法人 地域経営改善研究会 理事長
全国IT推進研究会 副会長
NPO法人 電子決算公告推進協議会 理事



1. 中小企業投資促進税制は使える!!

情報基盤強化税制に該当する投資でない場合には、「青色申告書を提出する中小企業者等」を対象とする「中小企業投資促進税制」が利用できます。

この税制は、IT投資促進税制と同じく平成18年3月31日が期限となっていましたが、平成20年3月31日まで期間が延長されました。
中小企業投資促進税制は、正式には「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除」という規定で、その名のとおり「機械装置」に関しては全てを適用対象としていますが、「器具備品」については特定に品目のみを対象としています。
期限延長と共に、対象設備等としてソフトウェアと、デジタル複合機が対象に新たに加えられ、逆に電子計算機以外の器具備品8品目が適用対象外となりましたので、注意してください。

これにより、中小企業投資促進税制の対象は、以下の様になりました。

○対象となる投資

  1. 機械及び装置(1台の取得価額160万円以上、リースの場合 210万円以上)
  2. 次に掲げる器具備品
    (1台又は同一種類の取得価額の合計額120万円以上、リースの場合 160万円以上)
    • 電子計算機
    • デジタル複合機
  3. 普通貨物自動車(車両総重量3.5t以上)
  4. 内航船舶(取得価額の75%が対象)
  5. ソフトウェア(取得価額70万円以上 、リースの場合 100万円以上)

○税制優遇措置の内容
 税額控除(7%)又は特別償却(30%)の適用

  ◇中小企業者の場合

  • 普通償却 プラス 取得価額×30%=特別償却額
  • リース費用総額×60%×7%=税額控除額

  ◇特定中小企業者等の場合 (*)

  • 普通償却 プラス 取得価額×30%=特別償却額
  • 取得価額×7%=税額控除額
  • リース費用総額×60%×7%=税額控除額

  (注)税額控除について、法人税額の20%相当額を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しを認める。

  (*)特定中小企業者等 中小企業者等のうち資本金又は出資の金額が3,000万円以下の法人をいう。

IT投資促進税制のときと比較すると対象設備等9項目に対して減少した感が否めないものの、小規模な事業所内のLAN構築のレベルであれば、少額減価償却資産の特例と合わせて適用すればそれほどの問題はないでしょう。

又、特別償却及び特別控除の率は低下したものの、対象資産の取得額基準では、ソフトウエアについてはIT投資促進税制と変更がなく、ハードに関しては、IT投資促進税制の資本金3億円以下の場合:ハード140万円以上、リース費用総額200万円以上に比べれば、
むしろハードルが下がっています。
積極的に活用すべきです。

2. 30万円未満なら購入年度で全額損金処理! 少額減価償却資産の特例

平成15年度税制改正で創設された、中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例ですが、平成18年3月31日で期限切れとなるところ、今回の税制改正で平成20年3月31日までの二年間延長されました。

この特例を使うことによって30万円未満の減価償却資産の取得は、その取得価額が取得事業年度の損金として処理することができます。
減価償却資産に該当すれば、情報機器や器具備品などの有形固定資産でも、ソフトウエアのような無形固定資産でも、この特例の対象となります。

さらに投資促進税制のように新品購入である必要はありません。事務的にも確定申告書の別表十六の備考に「この特例の適用をしている旨」を記載するだけでよく、簡便です。

もちろん実務的には、後日必要な証明ができるように取得資産の明細は保管しておくことが必要ですが、是非活用してほしいと思います。

尚、本改正によって、この特例の適用による損金算入額の上限を年間300万円以下とされましたが、この特例の利用企業の実績として300万円以下がおよそ9割を占めていたという事実から、小規模の企業にとって問題はほとんどないものと思われます。

3. 経営革新と中小企業等基盤強化税制

中小企業投資促進税制のほかに、中小企業等基盤強化税制というものがあります。
中小企業投資促進税制が、バー、キャバレー等の飲食業や物品賃貸業、映画を除く娯楽業、風俗営業といった一部を除く、ほとんど全ての業種の中小企業者を対象にし、一方対象設備は機械装置以外が限られていた制度であるのに対して、中小企業等基盤強化税制は特定の中小企業を対象として、機械設備・器具備品の全てを対象とする制度です。

本税制は、中小企業の定義が異なり、資本金規模が一億円以下の企業にも適用ができますので、業種によって有効に活用することができます。

又、留保金課税の適用停止制度と同様に、中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認企業が、業種にかかわりなく、全ての機械設備・器具備品の取得に適用可能です。

○対象者:
  ◇青色申告書を提出する資本金1億円以下の法人で、卸売業、小売業、サービス業、飲食店業を営む中小企業者
   (ただし、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の対象となるサービス業、飲食店業は除きます。)

  ◇中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けた中小企業者
   この場合には、業種を問いません。

○対象となる設備
  ◇機械・装置で1台または1基の取得価額が280万円以上(リースの場合はリース費用の総額が370万円以上)のもの

  ◇器具・備品で1台または1基の取得価額が120万円以上(リースの場合はリース費用の総額が160万円以上)のもの。 
    但し、飲食店業の方は特定の器具・備品(電気冷蔵庫等)のみとなります。

○優遇措置の内容

  ◇取得の場合

  • 普通償却 プラス 取得価額×30%=特別償却額
  • 取得価額×7%=税額控除額

  ◇リースの場合

  • リース費用総額×60%×7%=税額控除額

○適用期間:平成19年3月31日まで行われ事業のように供する設備投資に適用されます。