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【6回シリーズ】
中小企業に対する基盤強化税制の上手な活用の仕方
(3)人材力という基盤強化
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1. 人材育成投資の重要性と促進税制
企業が支払う従業員研修費の一部を、法人税から控除することができる人材投資促進税制が平成17年度から導入されています。。
この制度は、企業の競争力の基盤である人材を育成・強化する観点から、企業における戦略的な人材育成への取組みを強力に後押しするため、人材育成に積極的に取り組む企業について、教育訓練費の一定割合を法人税額から控除するというものです。
効果が業績成果に短期的には直結せず、かつ、人材の素質や基礎的な能力、或いはモチベーションの程度などの様々な要因で左右されるために、その投資効果が予測しにくく、しかも計りにくい人材育成投資ですが、他方、あらゆる経営資源を担って戦略の実現につなげてゆく人材という経営資源は最も重要です。
従って、人材投資を戦略的に実践することは中小企業の重要課題であり、これまでの成長基盤を担ってきたベテランが定年を迎え、若年層に十分な要員を持たない中小企業にとっては、なお更に企業内人材育成を促進することが急務です。
場当たり的な補充人事や慣れに依存した現場教育に終始することなく、人材投資を経営課題戦略の一環として計画的に行い、事業活動に有用な知識の向上と基盤人材に対し研修や情報の提供を促進する場合には、この人材投資促進税制は大変に有効なものとなります。
2. 人材投資促進税制の内容
青色申告書を提出する法人の各事業年度の所得の金額の計算上、“損金の額に算入される教育訓練費”の額が、その法人の直前2年以内に開始した各事業年度の“教育訓練費の平均額”を超える場合には、当期の法人税額の100分の10相当額が限度として、【その超える部分の金額】の100分の25相当額の特別税額控除が認められるという制度です。
中でも、中小企業者に対しては有利な特例制度がもうけられ、いずれでも有利な方を選択適用することができます。
それは、教育訓練費の増加分に対して一定の税額控除率を乗じて計算するものではなく、教育訓練費増加の程度による税額控除率を適用年度の教育訓練費の総額に乗じて、特別税額向上の金額を計算するというものです。
1)適用年度の教育訓練費増加割合(※)が40%以上の場合、その年度の【教育訓練費の総額】の20%に相当する金額を法人税額から控除する。
| (※)教育訓練費増加割合= |
教育訓練費の額−比較教育訓練費の額 ―――――――――――――――――― 比較教育訓練費の額 |
比較教育訓練費の額=適用年度開始の日前二年以内に開始した各事業年度の教育訓練費の合計額÷適用年度開始の日前二年以内に開始した各事業年度の数(=過去二期の平均額)
2)適用年度の教育訓練費増加割合(※)が40%未満の場合
【教育訓練費の総額】に教育訓練増加割合の1/2に相当する控除率(例えば、増加割合が30.0%であれば控除率は15.0%)を乗じて計算した金額に相当する額を法人税額から控除する。
本制度の教育訓練の対象者の範囲は、その法人の正社員、契約社員、パート・アルバイトその他対価を受け取ってその事業に使用される者ですが、以下のものは対象とされませんので、注意が必要です。
- その法人の役員又は個人事業主
- 使用人兼務役員、
- その法人の役員又は個人事業主と特殊関係のある者
- (役員の親族、事実上婚姻関係と同様の事情にある者、役員から生計の支援を受けている者、これらと生計を一にする親族)
- 内定者等の入社予定者
- 雇用調整のための退職希望者
教育訓練費の範囲は以下の通りです。
- 法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)
- 教科書その他の教材費
- 他の者に委託して教育訓練を行わせる場合の費用(研修委託費)
- 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)
3. 中小企業の場合の計算例
教育訓練費を300万円増加させることにより、160万円の法人税が減額される。
前提条件:
当期教育訓練費800万円、前期450万円、前々期550万円、当期法人税額2,000万円とした場合
比較教育訓練費の額は500万円=(450万円+550万円)/2
教育訓練費増加割合 (800万円−500万円)/500万円=60%≧40%
従って、税額控除率は20%適用
適用年度の教育訓練費の額(総額)800万円×税額控除率20%=160万円
税額控除限度額 法人税額2,000万円×10%=200万円
*200万円>160万円よって税額控除は160万円 (40万円は翌期に繰越せない)
<中小企業の定義>
中小企業の政策を活用する上で、それぞれの政策上の中小企業の定義を知ることが重要です。
中小企業基本法では、資本金と従業員数という企業規模を基準とする定義です。
| 中小企業基本法 |
| 区分 |
資本金 |
従業員数 |
製造業 その他の業種
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1億円以下
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300人以下
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| 卸売業
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1億円以下
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100人以下
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| 小売業
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5千万円以下
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50人以下
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| サービス業
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5千万円以下
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100人以下
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租税特別措置法 政令で「資本又は出資の金額が1億円以下の法人(ただし、発行株式総数又は出資金額の1/2以上が同一の大企業(資本金1億円超の法人)若しくは発行株式総数若しくは出資金額の2/3以上が大企業の所有に属している法人を除く。)」と規定しています。
平成18年度法人税法改正の同族会社の留保金課税に関する規定の中で、資本金の額又は出資金の額が一億円以下の特定同族会社を中小特定同族会社と規定しています。
平成18年度法人税法改正の同族会社の留保金課税に関する規定の中で、資本金の額又は出資金の額が一億円以下の特定同族会社を中小特定同族会社と規定しています。
法人税法における中小企業者の定義は、【資本金の額又は出資金の額が一億円以下の会社】と覚えておけばいいでしょう。
※ 次回、(4)「情報力という基盤強化」 8/9(水)公開予定
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