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新会社法

競争激化の中で生き残る「経営のヒント」

  
資金調達(その2)そもそも借り過ぎの中小企業

BFL経営財務研究所 杉田 利雄
SAS-Web Partner



■その借金は返せるのか(限界借金率)

日本の中小企業(特に零細企業)の多くは、借金過多の経営をしてきた。そもそも政府や
金融機関が貸しすぎた、といえなくもない。

いざとなったときの借入金返済原資を、資産売却と考えていた時代があった。その時代の
多くの経営者が、経営に必要な資産を売却してしまったならば、経営は破綻してしまう
ことを知っていた。知っていながら、資産売却を返済減資と考えていた。土地神話や
バブル経済が生んだ誤解だった。

バブル崩壊以降のデフレ経済の今日、借金返済の原資が資産売却による現金でないことを
経営者は痛感している。資産は経営資源であって金融資源ではない。では、何が返済原資か
というと、経営から生れる「利益」だ。利益には、営業利益や経常利益、税引前利益など
様々な呼び名の利益がある。

借入返済減資として利益を考える場合に、考慮しなければならないことがある。それは、
損益計算書上の利益が経営のキャッシュフローと次の点で異なることに起因する。
損益計算書上の利益の算出過程で、資金流出のない経費「減価償却費」を控除する点と、
利益(所得)にかかる税金を考慮しなければならない。他にも、資産や負債の増減など
厳密には、利益を借金返済原資とするための細かな計算をする必要がある。

しかし、経営は細かな計算の上に成り立っているわけではないので、ここでは、営業利益
をベースに、企業の借金限度額(限界借金率)を検討する。

借金過多かどうかの分岐点は、借入金総額を10年から15年の期間に返済できるか否かで
判定する。その根拠は単純で、15年以上の返済期間を必要とする借入金を抱えていたのでは
健全な経営を望めないという考えだ。これを私は、限界借金率と表現している。

この限界借金率を使った算出事例を示すと、
500万円の利益を出す会社は、500万円×15年で、7,500万円が限界借入金となる。

逆に、借入金総額から必要利益を算出するためには、次の算式を使う。
必要利益=借入金総額×7%〜10%(1/15〜1/10)。
7,500万円の借入金総額の会社は、7,500万円×0.07=525万円以上の年間利益が必要だ。

さらに考慮すべき事項として、借入金には元金返済の他に利息の返済という経費も発生する
点だ。今のところ借入利息は、低金利で推移しているものの、金利変動がある。
金利上昇リスクも考慮しなければならない。先の例では、借入金7,500万円で500万円の利益
を出してる。この会社の平均借入利息が4%上昇すると、利息支払後の利益は、
500万円−(7,500万円×0.04=300万円)=200万円の利益となり、7,500万円の返済は極めて
困難なこととなる。


■借金返済の現実

年間500万円の利益を出している優良な会社の限界借入額が、7,500万円というと奇異に感じ
る経営者もいるはずだ。実際、現状利益ベースの返済で、30年以上の借入金がありながら
経営を続けている会社は、珍しく無い。このような会社がどうしているのかというと、借金
返済に係る形状的な利益不足を、新たな借入金で補填しているはずだ。そのロジックを以下
に示す。

年間利益500万円の会社の年間借入金返済可能額が500万円であることは、前述したとおりだ。
この会社の月返済額が80万円だったとすると年間960万円(80万円×12ヵ月)の返済になり、
一年経過後に(960万円−500万円=)460万円の資金不足を起こす。この460万円に対して
また借入することになる。それでもこの会社は、この1年間で借入総額を500万円減らした
ことには変わりなく、ある意味優良な企業だ。

優良な企業と金融機関が評価し、この不足額460万円以上の借入金が可能になり、1,000万円
の借入を起こしていたのでは、元の木阿弥だ。こんな会社が多いような気がしてならない。
もし、460万円の不足調達に留めておけば、翌年は利息も少なく返済減資も増える。さらに
優良な会社となり、資金調達もしやすく資金調達コストも低く抑えられるはずだ。貴方は、
どっちを選択する。
  

2004年10月13日 経営財務研究所所長 杉田利雄

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