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新会社法

競争激化の中で生き残る「経営のヒント」

  
資金調達(その2)   

BFL経営財務研究所 杉田 利雄
SAS-Web Partner



中小企業の資金調達方法つまり金融について、問われることが多くなった。
思うに、中小企業にも銀行・信金等の融資だけでなく、多様な資金調達の道が開けてきたためだろう。そこで今回は、中小企業に限ることなくさまざまな角度から資金調達法を調べてみた。今回は、民間金融をレポートする(前回は、公的金融でした)

■民間企業による金融
◆間接金融
  @ 普通銀行
  間接金融の代表は、何と言っても銀行だ。銀行とは、銀行業を営み、内閣総理大臣の免許を受けたもの。銀行業とは、「預金または定期積金の受け入れと資金の貸し付けまたは手形の割引とを併せ行うこと」「為替取引を行うこと」をいう。したがって、狭い意味では、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行を普通銀行というが、信託銀行や長期信用銀行も普通銀行に入れることもある。
  ・信託銀行は、金銭信託や貸付信託を主に行う銀行
  ・長期信用銀行は、主に金融債で資金を調達する銀行
  ・都市銀行と地方銀行のちがい
    法的な根拠はなく、たんに、支店網が全国的か局地的かのちがいだけ
  ・地方銀行と第二地方銀行の間にも法的なちがいはない
    第二地方銀行は、88年の「金融機関の合併と転換に関する法律」により、相互銀行が普通銀行に転換したもの
  ・インターネット銀行
    法律上は普通銀行になる
   
  A 預金取扱機関
  広義の銀行のうち、「銀行」と名のつくものについては、前述のとおり。銀行以外の預金取扱金融機関については、以下のとおり。
  ・信用金庫と信用(協同)組合
    企業側からみると、区別がつきにくいが、信用金庫は「信用金庫法」に基づく会員制の非営利的協同組織であるのに対し、信用組合は「中小企業協同組合法」に基づく組合組織であり、法的にはまったく異なるもの。
信用組合は原則として組合員にならなければ、預金・融資とも利用できないが、一定の限度内において組合員外に対して融資することも可能。
なお、信金中央金庫(もと全国信用金庫連合会)は、信用金庫の共同組織ではなく、独立した金融機関(銀行)。信用金庫の共同組織は、別に信用金庫協会がある。
  ・労働金庫
    その名の通り、労働組合や生活協同組合などで働く人たちのための、非営利的協同組織。労働者版の信用金庫といったところで、事業者向けの融資は行っていない。
  ・農林中央金庫・農協、漁協
    農協は、農業協同組合法に基づいて組織された農民を主体とする協同組合。それぞれ独立した機関ではあるが、いまやコンピュータでネットワークされ、全体としてみると、全国3,180の市町村に店舗網をもつ最大の銀行ともいえる。信用組合同様、原則として組合員である農家が融資の対象となるが、中小企業への融資事例もある。
農林中央金庫は、農協の上部団体というべき機関で、信金中央金庫同様、農協の余資を運用している。
  B ノンバンク
  ノンバンクの種類は多様で、預金業務を行わずに貸付やリースなどの貸し出し機関と定義します。
 

消費者向け貸金業者:全国貸金業協会の『貸金業白書(2001年版)』によると、ノンバンクで最も多いのは、消費者向け貸金業者で、有担保・無担保合わせて7,024社あり、融資残高は9兆4,000億円となっている。このうち大手と呼ばれる業者は、わずか22社にすぎず、99.7%は小規模業者。大手業者が高額の利益を得る一方で、この10年ほどの間に2,000社以上も減少し、残高は大手の急進で、ほぼ倍増している。
近年、消費者金融の分野にはカードローン等のかたちで、銀行の参入も相次いでおり、小規模貸金業者にとっては厳しい時代を迎えている。
  事業者向け貸金業者:消費者向け貸金業者に次いで業者数が多いのが、事業者向け貸金業者。商工ローン事業者とも呼ばれる。融資対象は中小企業。バブル崩壊以後、事業者は減少の一途。90年3月末には5,500社ほどあったのが、99年3月末には3,588社に減少。貸出残高もピーク時には4兆円を超えていたのが、同じく3月末には2兆6700億円に減少。
  リース会社:リースには、大きく2種類の商品がある。パソコンや電話のリースなどのように、物件・サービスの利用に重点を置いたオペレーティング・リースと、機械設備の購入者の代わりに物件を購入し貸し付けるファイナンス・リースとがある。このうち、金融という場合には、ファイナンス・リースをさす。中小企業が利用するのは圧倒的に前者のオペレーティング・リースが多い。リース会社の貸出高も減少傾向にあり、91年3月末には17兆8,000億円あったのが、99年3月末には5兆9,000億円と3分の1以下に落ち込んでいる。
  ファクタリング事業者:厳密には、金融業ではない。ほとんどは、銀行の周辺業務として行われており、銀行の子会社が多い。ファクタリングの概要は、売掛金や受取手形など売上債権を買い取る業務のこと。どんな債権でも買ってくれるわけではなく、債務者の信用調査をしたうえで、買い取り限度額を設定することが多い。資金繰りの厳しい中小企業にとっては代金の早期回収を図ることができるメリットがある。
     
(2) 直接金融
  直接金融とは、有価証券を発行して資金余剰者(投資家)から直接資金を調達すること。会社を起こす際に、創業者のほかに何人かが出資することも直接金融なる。ただし、これは有価証券の私募となる。証券会社や銀行の仲介を利用し、証券取引所に株式を公開したり、社債を発行したりすることは、公募という。有価証券の販売先が50人未満である場合や、発行総額が5億円未満である場合を私募、それ以外を公募という。公募の場合は、証券取引法の規制を受けることになる。
有価証券とは、株式、社債券、CP(コマーシャルペーパー)をさし、このうち、CPは発行機関1年以内の約束手形のことで、短期の運転資金の調達手段として使う。発行するには一定以上の格付け評価が必要で、中小企業での活用は困難。
株式と社債券の発行は、株式会社だけに認められた制度。株式会社とは、そもそも不特定多数から多額の資金を調達する事業運営方式を想定している。
     
  1. デット・ファイナンス(負債で調達する−私募債など)
 

少人数私募債
    商法296条により株式会社であれば取締役会の決議により社債の発行ができる。
社債は、株式と同様、有価証券の一種であるが、大きく分けて、利息を付しただけの「普通社債」、「株式に転換できる転換社債」、「新株引受権の付いた新株引受権付き社債」の三種類に分類される。
このうち「少人数私募債」は普通社債に該当する。
社債保有者を社債権者と言うが、商法ではこの社債権者を保護するためにさまざまな規定を設けており、不特定多数の人に対して募集(公募)行為を行おうとすると、証券取引法のさまざまな制約を受けるが、以下の要件を満たしたいわゆる少人数私募債であれば面倒な行政手続きもいらずに社債を発行することができる。
  2. エクイティ・ファイナンス(株式で調達する−ベンチャーキャピタルなど)
    これまで中小企業が株式を公募することは、極めて難しいことだった。東証一部の上場基準が「上場させないための基準」と揶揄された時代が続いた。しかし、現在ではどの証券取引所にも、新興企業向けの取引市場と基準が設けられている。

株式の売買多くは、証券取引所で行われるもので、現在の取引所は、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5カ所にある。また、株式の売買は、証券会社の店頭でも行われてきた。店頭売買をまとめ形でできたのが、東京・大阪・名古屋の二部市場(1961年)。しかし、その後も店頭での取引は減らず、日本証券業協会が始めたのが、現在のジャスダック市場(店頭市場)。なお、店頭市場は、現在では取引所と同等に扱われ、店頭登録から上場へと、用語も変わっている。
・マザーズ:東証の「マザーズ」 は、99年11月にオープン。インターネット株バブルの影響もあって、当事は株式市場の牽引役となった。
・ナスダック・ジャパン:ナスダック・ジャパンはナスダックの日本版と言える証券市場であり、2000年5月に、大阪証券取引所(大証)に開設された。しかし、2002年12月に、大阪証券取引所が、ナスダック・ジャパンとの業務協力契約を解消したために、ナスダック・ジャパンの名称は消えた。ナスダック・ジャパンの名前は消えたものの、ニッポン・ニュー・マーケット「ヘラクレス」として、上場していた会社の株主や、投資家は、これまでと同様「ヘラクレス」で売買をおこなうことができる
・ヘラクレス:これからの成長性が期待できる新興企業等に新たな資金調達をすることを目的とし、大阪証券取引所で運営される市場。大阪証券取引所に創設されたナスダック・ジャパンが、大阪証券取引所と米国ナスダックの業務提携の解消に伴い、平成14年12月、大阪証券取引所が独自で運営することとなった。

ベンチャーキャピタル:
株式を公開するには、ある程度の資本が必要になり、その増資を引き受ける機関がベンチャーキャピタル。証券会社や銀行の子会社が多い。140ほどのベンチャーキャピタルがあるが、独立系のベンチャーキャピタルは少ない
一口にベンチャーキャピタルといっても、本来は多様なスタイルがあります。創業期のほんとにリスキーな企業を対象とするもの、公開直前の企業を対象とするもの、金は出すが口はださないタイプもあれば、口だけではなく経営陣まで送り込んでくる場合もある。また、資金も自己資金で投資するベンチャーキャピタルもあれば、投資組合(ファンド)を募って運用するベンチャーキャピタルもある。
VEC(ベンチャー・エンタープライズ・センター)の調査によれば、93年くらいまでのベンチャーキャピタルは、投資ではなく、融資が中心だった。その背景は、株式公開が非常に困難であったうえに、M&Aも不活発で、投資してもリターンが期待しにくかったことなどが挙げられる。しかし、マザーズやナスダック・ジャパンの登場で、リターンを早期に得られる可能性は大きくなり、今後は、ベンチャーキャピタルあるいは中小企業投資事業有限責任組合(研究開発型の企業しか対象にできない)が、その役割を十分に果たしていくことが期待される。

グリーンシート市場
未公開株の取引市場も存在する。日本証券業協会が運営する「グリーンシート市場(気配公表銘柄制度)」だ。未公開株を専門に扱う証券会社も出てきた。2002年8月現在、公表銘柄は84社。現在のところ、多少増加傾向にあるとはいえ、取引は少ない。
 

アセット・ファイナンス(資産の流動化−間接金融含む)
    企業が保有する資産の担保価値に一義的に依存して行なう資金調達方法の総称。企業の信用力は、フローとしての収益力とストックとしての保有資産の価値から構成されるが、アセット・ファイナンスでは保有資産の価値を企業の信用力の中から特に分離し、保有資産の信用力に一義的に依存して資金調達を行なう。

不動産担保借入もその一つであるが、Asset(=資産)の意味するところから判断すると対象となる資産を広範に捉えようとするもので、資産項目全体をカバーしており、「のれん」や「版権」といった無形固定資産や無体財産権も対象となる。

資金調達に際しては、保有資産の信用力(=価値)に依存することからその資産の収益力の高・低と確実性が重要な評価対象となる。
 
おまけコラム
低金利時代になお「超高金利」が合法。日賦貸金業者の利息が年54.75%に下方修正。
  貸金業者の利息について刑罰を定めている出資法には日賦貸金業者の特例があります。2001年1月1日より、従来の年109.5パーセントが年54.75パーセント(従来の2分の1)に引き下げられました。と、いっても高い金利です。
    日賦貸金業者の特例は、
(1)主として物品販売業、物品製造業、サービス業を行う小規模な者に、
(2)100日以上の返済期間で、
(3)返済期間の70パーセント以上の日数を日賦貸金業者自らが集金する場合に適用
ほぼ毎日集金に行くので集金コストがかかるというのが特例の理由です。
現実には、ほぼ毎日集金に行くという業者は皆無で、高金利の温床となっているそうです。
 

2004年9月29日 経営財務研究所所長 杉田利雄

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