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社長(さん)!成り行きで経営していませんか?

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見直しの方向にある退職所得課税の優遇措置

タックス・コム代表
税金ジャーナリスト 浅野 宗玄



税制や社会保障制度はその時々の社会経済構造を基に構築されているのだが、その変化に対応しきれないと不公平・不満の多いものとなる。このような観点から、最近の税制改正では所得課税の諸控除の見直しが進んでいる。

2003年度税制改正では配偶者特別控除の一部が廃止され、2004年度では公的年金等控除の上乗せ措置や老年者控除が廃止された。これらの背景には、家族構成や就労形態などわが国の経済社会構造の変化に対応して税制を見直そうという考えがある。

例えば、配偶者特別控除の一部廃止は、サラリーマンの片稼ぎ世帯はいまや共稼ぎ世帯よりも少なくなっていることがある。サラリーマンの片稼ぎ世帯は24年前の80年ごろから減少傾向をたどり、2000年には共稼ぎ世帯を下回り年々その差が広がりつつある。つまり、片稼ぎ世帯を前提とした優遇措置を見直したということである。

同様に、公的年金等控除の見直しや老年者控除の廃止は、高齢化の進展のなかで高齢者は社会的弱者ではなくなってきたという認識がある。高齢者の所得や資産額の平均は若年層を上回り、かつ同一世代内での差が大きくなっている。高齢者とひとくくりせずに高齢富裕層にはそれなりの負担を求めようという考え方である。

このような経済社会構造の変化に対応した税制の見直しの次なるターゲットは退職所得控除であろう。その背景には、正社員中心の長期継続雇用、年功序列賃金などを特徴とする日本型雇用慣行が変わりつつあることがある。

わが国の就業形態・就労構造の変化は、正社員を中心とした終身(長期継続)雇用や年功序列賃金から、非正規雇用の活用や成果主義・能力給賃金へという、いわば従来の日本型雇用慣行の崩壊である。パートやフリーターの増加は、企業に対する帰属意識が薄れ、生き方に対する価値観が多様化していることの表れでもあり、離職・転職に対する抵抗が少なくなってきている。

ところが現行の税制は、従来の日本型雇用慣行を前提としているものであるから、所得税の分野において大きな問題が生じてきている。例えば、退職金課税における勤続20年を超えると優遇度合が高まる給与所得控除が、就労機会の流動性を妨げているという指摘がある。また、退職金制度を「前払い退職金」や「確定拠出年金」と組み合わせる企業が増えているが、税制はここでも阻害要因となる。

退職時に支払われる退職所得は退職所得控除を引いたうえでの2分の1課税など優遇されているが、「前払い退職金」は給与所得として扱われる。さらに、月額の給与が増えることによって健康保険や厚生年金の保険料もアップするなど、税金だけでなく社会保険料へのマイナスの影響が出てくる。これでは、企業が退職金制度を見直す際に、前払い退職金の採用に二の足を踏むことは想像に難くない。

今後も就労形態の変化が続くことを考えれば、退職所得に対する特別扱いはマイナス面が多い。政府税調は、退職所得課税の見直しの議論を今秋からはじめ、個人所得課税の抜本的な見直しを予定している2006年度税制改正で具体化する方針という。改正内容は、少なくとも、勤続年数に変わりなく1年あたりの控除金額をそろえ、控除額そのものも縮小される方向にあることは確実だ。

だが、単に縮小するだけでなく、企業が退職金制度を見直す方向へも対応した配慮が求められるといえる。
大和総研の川岡和也氏は、コラムで、1)1年あたりの退職所得控除の額を同じにする、2)前払い退職金に退職所得控除が適用できるようにする、3)退職所得に対する税制優遇の仕組みを廃止する、などの見直しを提案しているが、いかがだろうか。


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