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スキャナ保存が可能になる3万円未満の領収書等

タックス・コム代表
税金ジャーナリスト 浅野 宗玄



税務関係書類の電子保存については、コスト削減の観点からその適用範囲を契約書や領収書など手書きの帳簿などにも広げてほしいという強い要望が、かねてから経済界から出されている。官民における電子化推進を進めるIT戦略本部では、新たに電子保存を求める統一的な法律である「e−文書法」を2004年度中に国会に提出、来年4月からスタートすることを目指しているが、そのなかで、特に重要な文書以外は電子保存を認める考えだ。

現行の電子帳簿保存法では、最初から電子的に作成された帳簿書類はそのまま電子保存ができるが、契約相手方が作成した「紙」による見積書・契約書・領収書などには同法は適用されない。原本が紙の書類は、元の書類を改ざんしてスキャナで読み取るなどされた場合には、改ざんを発見することが極めて難しいため、脱税を助長するおそれがあるからだ。

しかし、文書の電子化は世の中の流れであり、税務関係書類についても、電子化の推進に向けて、積極的な検討が進められてきたわけである。ただし、電子化を推進した結果、改ざんが簡単になり、脱税を助長するような事態になっては問題があるため、改ざんなどを防ぐための保存要件を定めたうえで可能な限り適用範囲を拡大する方針だ。

基本的には、1)税金を算出するためのもっとも基本的な書類である決算関係書類・帳簿、2)個々の取引の実態や金銭の授受を証明するためのもっとも基本的な書類である契約書及び領収書以外のすべての書類については、真実性や可視性を確保できることを要件に、電子的な保存を認めることになる。契約書や領収書以外ということであれば、請求書、見積書、納品書などの電子保存ができるようになるわけだ。また、契約書や領収書についても、取引金額が3万円未満の少額のものは例外的にスキャナ保存を認める方向にある。

決算関係書類・帳簿については最初から電子的に作成されたものは電子帳簿保存法の適用を受けることができるが、契約書及び領収書は原則、電子保存化は認められない。例外的に3万円未満のものは認められるが、そうなると紙の保存と電子保存が混在する状態になり、かえって管理が面倒になるおそれも出てくる。

保存要件については、1)真実性を確保するための要件、2)可視性を確保するための要件、3)税務署長の事前承認制度が掲げられている。

1)については、紙と同程度の小さな文字、色を再現するスキャナの一定水準の解像度・カラー画像、電子署名(偽造防止不能な署名を付けて改ざんを防止)、イメージ化した時刻を第三者が証明するタイムスタンプの付与、改ざんなどの内容を事後に確認できるヴァージョン管理、改ざん可能期間を制限するため文章の作成・取得から一定期間内のイメージ化などが挙げられている。

2)については、税務調査に際して、紙の文書と同様の効率的な調査が行えるようにするため、重要な項目の検索機能やディスプレイ、プリンタなどの備え付けが要件となる。

政府税制調査会への提出資料(6月22日)では、決算関係書類・帳簿、契約書及び領収書以外の書類について電子保存を認めることによる企業の負担軽減効果を、企業からのヒアリングに基づき試算している。その結果として、金融サービス会社では37万箱中36万箱が電子保存可能となって保存量が97%減少、流通会社では75.4万箱中75.3万箱が電子保存可能となって保存量が99%減少するなどの負担軽減効果が示されている。


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