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中小企業の財務戦略
― キャッシュ・フロー計算書(2)―

森公認会計士事務所
代表 森 好伸



前回のコラムで「当期末の貸借対照表の現金及び預金の合計額」と「前期末の貸借対照表の現金及び預金の合計額」との差額が、キャッシュ・フロー(純額)を表していることを説明しました。この差額がプラスの数値であれば、前期末に比べて現金及び預金が増加したことを示し、マイナスの数値であれば現金及び預金が減少していることを示します。

キャッシュ・フローの計算(間接法)は、損益計算書の「税引前当期純利益」が起点となります。しかしながら企業会計においては、支出を伴わない費用や入金を伴わない収益、費用とならない支出や収益とならない入金がありますので、キャッシュ・フローを計算するためには、損益計算書の「税引前当期純利益」からスタートして、いくつかの調整を行う必要があります。その調整項目の代表的なものとして「減価償却費」「固定資産取得支出」を取り上げて以下の設例で解説します。便宜的にこれら以外には調整項目はない(つまり、費用=支出、収益=入金)ものとします。

<設 例>
 税引前当期純利益 20,000
 減価償却費 1,000
 固定資産取得支出  3,000(現金払)
 期首資金残高   12,000

  (1) 当期キャッシュ・フローの計算
   税引前当期純利益 20,000+減価償却費 1,000−固定資産取得支出 3,000
   =当期キャッシュ・フロー 18,000
  (2) 期末資金残高の計算
   期首資金残高 12,000+当期キャッシュ・フロー 18,000
   =期末資金残高 30,000

<解 説>
固定資産については、企業会計上、固定資産取得時にその支出した額が一時に費用計上されるのではなく、取得額が固定資産の耐用年数等に応じ、各期に減価償却費として配分して計上されます。減価償却費は損益計算において利益の減る要因ですが、支出は伴わないので、キャッシュ・フローを計算するためには「税引前当期純利益」に加算する必要があります。一方、キャッシュ・フロー計算においては、減価償却のような会計処理は行われず、単純に固定資産取得のために支出した総額が支出した期の「固定資産取得支出」となります。

上記の設例でいえば「税引前当期純利益 20,000」は、その計算過程においてすでに「減価償却費 1,000」が差引かれているので、キャッシュ・フローを計算するために同額を加算します。一方、「固定資産取得支出 3,000」は、費用ではないので損益計算書には計上されませんが、当期に現金が支出されているので減算します。実際には、これ以外にもいくつかの調整項目がありますが、これら調整項目を加算または減算して損益計算の結果(「税引前当期純利益」)をキャッシュ・フローに調整していく方法が、間接法によるキャッシュ・フロー計算法です。



以上

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