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経営を語る

エグゼクティブ対談 【第29回】関 隆明
(特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会会長 IT経営キャラバン隊会長)

ITコーディネータの質を高め、中小企業の経営革新に挑む(5/5)

政府方針と民間の活動を結ぶ“つなぎ役”

眞柄経済産業省の推進事業であるIT経営応援隊は、3年の時限施策としてスタートしましたが、期間延長され、今年度も予算化されました。

 マイクロソフトは4年前にIT経営キャラバン隊を1年かけて実施しましたが、昨年11月に日本商工会議所やITコーディネータ協会にも参加いただいて再結成しました。公的団体や民間が参加するかたちでスタートし、半年が経過したところです。この活動に対する会長の思いや期待をお聞かせいただけますか。

ICT化推進については、国の施策が矢継ぎ早に出ました。「あとは民間でやりなさい」と放り出しても進むはずはありません。その意味で、IT経営応援隊とIT経営キャラバン隊は、政府の方針と民間の活動のちょうどつなぎ役になり、たいへん重要な活動だと思います。初めに国の方針があり、しかも予算の裏づけもありますから。

 IT経営応援隊は、北海道から沖縄まで全国9カ所に設置されています。この事業のいい点は、一部の業界や一部の団体が主導するのでなく、地区によっては40以上の団体や機関が協力し、互いに協力しているところです。それだけ多くの機関が切磋琢磨し、今まではもっぱら「気づき」の活動に注力してきました。 

 いまごろ「気づき」なのかと思われるでしょうが、なにしろ中小企業は全国約430万社という膨大な数ですから、経営者のなかにはいまだにITと聞いただけで拒絶反応を示す人たちも多くいます。オフコン導入に失敗し、苦い経験がある人たちも少なくありません。 

 あれから時代は進み、技術も進歩し経営に有効なツールになったと気づいてもらうことがまずは大切です。そこに気づけば、次は「私の会社はどうすればいいのか?」と考えてもらえ、ここから先はITコーディネータの実践活動などにつながっていきます。

 IT経営応援隊の期間延長については、私もずいぶん主張しました。なにしろ対象となる企業が膨大ですから、3年ほど活動しただけでは大きな成果はあがりません。

 活動は各地の組織に委ねていますが、ITコーディネータが実質的に現場の中核になってほしいと私は思います。国の政策と、民間の活動をつなぐ役割は重要です。欲をいえば、もっと予算の裏づけがあるとありがたいですね。これはけっして甘えではなく、大規模な啓蒙活動と実践にはそれだけのおカネはかかります。

眞柄IT経営キャラバン隊は、ITコーディネータが各地域の方々と連携して運営していますね。私たちも4年前に当社のセールスプロモーションとして全国200カ所ほどまわらせてもらいましたが、残念なことに一過性のもので終わってしまいました。

 今回は公的機関もかかわっていますから、一時的な活動で終わることなく、地域に根づく要素が多分にあると思います。民間として、あるいは個人として、汗を流されている方も多いですね。せっかくの活動ですから、一時的なものに終わらせないためにはどうすればよいとお考えでしょうか。

このような活動が民間の努力で進められたのはたいへん意義深いことです。まさに草の根運動です。その意味で、積極的に支援して下さっているマイクロソフトさんには改めてお礼を申し上げます。

 中小企業の方々にとっては、ITの便利さと威力を実感していただく場になっていますし、ITコーディネータにとっては素晴らしいPRの場を提供してもらったと思います。最初は奉仕活動かもしれませんが、各機関の人たちと知り合うことで将来のビジネスにつなげられます。独立系のITコーディネータ、ベンダー系のITコーディネータには、まさに経営指導を実践する絶好の機会です。その価値が十分に理解され、「今後もつづけていこう」という芽が出れば、一過性のイベントで終わらないと思います。

眞柄経営者の方と、ベンダーと、ITコーディネータの方との関係ができる。サイクルがつくれるということですかね。

商工会議所のように業界を指導する立場の人は、IT経営キャラバン隊を見て「なるほど、こういうやり方で進めればいいのか」と、ピンときているに違いありません。互いに刺激し、多くの気づきを得るという相互作用は重要ですね。

 商工会議所の方々は、ユーザーだけでなく、ベンダーの育成も重要な役割です。そこから生まれる好循環に気づいてもらえたら、永続的な活動になるでしょう。

眞柄もっと多くの地域に広げて、一種の国民運動になれば理想的です。そのためにどんな人材が必要か、どんな教育を実施していくべきかと考えていきましょう。国や自治体、公的機関の支援がますます必要になりますよ。

活動を広げていくには、各イベントで多くの方々に集まってもらうことですね。せっかく開催しても10人や15人では寂しいですから、もっと積極的に働きかけていかなくてはいけません。企業の方々はもちろん、主婦のみなさん、フリーターやニートの方々にもIT活用の利点を知ってもらって、デジタルデバイドを減らしていくのも大切なことです。

 企業の方々は、ITによる経営革新の効果を知れば、ITコーディネータに指導を要請するようになります。そういう道案内ができればいいと思います。

眞柄経営者のみなさんは「ITで経営革新したい」と思いついても、誰にその方法を尋ねたらいいかわからないようです。その意味で、IT経営応援隊やIT経営キャラバン隊が近くにいれば、アクセスしやすくなります。

たしかに経営革新が必要だと感じても、どこへ駆け込んだらいいのかわかりませんね。物理的に近くにいなければ駆け込めないですから。

眞柄ネットでアクセスできても、最後はフェイス・トゥ・フェイスですから、その意味でもいいきっかけになっていますね。今回は大きな団体が集まりましたから、横に広がって永続的な活動になることを期待しています。

 ところで、関会長の夢は何でしょうか。


いま思い描いているのは、自然保護や環境保全の活動です。私は千葉の外房生まれでアウトドア派です。子どもの頃はボーイスカウトに入り、キャンプなども大いに楽しみました。今はそれをやる時間もないので、毎年夏には友人や会社関係の人達とバーベキュー大会を続けています。

 私は日本電気時代からSE一筋でやってきました。あるとき客先でシステムをつくっていたら、その会社の方から「関さん、コンピュータは時代の最先端でいいけど、そんなことだけやってると、偏った人間になってしまうよ。」といわれたんですね。そして、「まったく正反対のこともやりなさい」とアドバイスされました。「正反対なものって何ですか?」と尋ねたら、その人は「農業、漁業、鉱業のどれか」というのです。それなら農業がいいかなと、やりはじめたのが野菜づくりです。

 コンピュータは人工物の極致です。私が仕事で環境に害を与えてきたのなら、第2の人生では罪滅ぼしの意味もあって、田舎で自然保護や環境保全の活動に取り組みたいという気持ちがあります。ゴミを肥料にするとか、風力発電や太陽発電、本当に自然に優しいもので自活できるしくみをつくれたらいいと思います。まだ漠然としていますが、挑戦してみたいですね。

眞柄私もこの業界が長いので、ドライな感覚と正反対なものに強く惹かれます。関会長の夢にも共感するところがあります。本日はありがとうございました。

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対談目次

1)中小企業が直面する数々の経営課題をITで解決する

2)中小企業の知的財産をどう守り、活用していくか

3)ツール先行のIT導入でなく、経営に役立つICT化をめざす

4)経営スキルのあるプロマネは、完成したシステムの質が違う

5)政府方針と民間の活動を結ぶ“つなぎ役”

関 隆明氏 ゲスト:関 隆明氏
特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会会長
IT経営キャラバン隊会長

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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