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エグゼクティブ対談 【第28回】川淵 三郎氏 (日本サッカー協会キャプテン)

理念や目標の実現に向けて本当に必要なこと(3/3)

選手、指導者、マネジャーが三位一体こそ将来の夢へつながる

眞柄一方で、彼らを指導する人材も充実させる必要があると思いますが。

川淵そのとおりです。選手以外では、現場での指導者、そしてクラブや協会の運営に携わるマネジャーの育成に力を入れています。

 まず現場の指導者についてですが、日本サッカー協会は他の競技に先がけてライセンス制度を整備してきました。協会が研修機関を設けて資格審査をし、認定するものです。たとえばプロを指導できるのはS級のライセンスを持っている人だけで、その下にA、B、C級というカテゴリーがあります。

 ライセンスを取得するには、まずC級から始めて、順に上の資格に挑戦していくというかたちです。最後のS級はさすがに厳しく、海外研修にも行かなければいけないので、取得までには6カ月ほどかかりますね。

 その間に座学を含めてさまざまな研修をするわけですが、資格取得時には成績順位を発表します。指導者を求める側は、その成績を見て判断することができるのです。

 それだけに受講者たちは必死に取り組んでいますよ。毎年25人程度のS級ライセンス保持者が生まれていますが、成績が悪ければどこからも声がかからない可能性がありますから。

 こうしたことを通じて、単なる「指導の資格を持っている人」ではなく、「優秀な指導者」がたくさん育ってくれればいいですね。

 また、最近ではA級のなかにU-12、12歳以下に教えることのできる指導者を育てる取り組みを始めました。日本では従来、大人を指導するコーチが小さな子どもにも同様に指導してきたわけですが、これは東大の先生が幼稚園で教えるようなもので、必ずしもそれが適しているわけではない。特に子どもには、成長の度合いに合った指導法や接し方をしなければなりません。

 たとえば8歳くらいの子どもにはグループ意識がありませんから、全体練習よりも、ひとりで勝手に遊ばせるような感覚で取り組んだ方がいいでしょう。10歳、12歳と成長して、初めてグループでの練習が生きてきます。

 先ほど小さな子どもの育成に取り組んでいるといいましたが、そのためにはまず、その年代に通じている専門の指導者家を育てることが重要なわけです。

 Jリーグ立ち上げ直後は、海外から優秀な指導者を招くケースが多かったのですが、最近はJリーグの卒業生を中心に、指導者を目指して一生懸命に勉強してくれる人が増えてきました。今後は日本人のいい指導者がどんどん出てくると期待しています。

 一方、クラブや協会の運営などに携わるマネジメントスタッフについては、「JFAスポーツマネジャーズカレッジ」で育成しています。

 もともと、私がJリーグのチェアマンをしている時にJクラブの経営者やゼネラルマネージャーを対象にした「GM講座」を立ち上げました。

 2002年の日韓ワールドカップ記念事業でもスポーツマネジャーを育てる取り組みを始めました。しかし、JリーグのGM講座のカリキュラムがいまひとつでしたので、記念事業でスタートするスポーツマネージャーズカレッジは、キャプテン・ヘッドクォーターズ(GHQ)でプログラムを開発しました。想像以上にいい内容になりました。

 6カ月くらいハードな講習を受け、最後にはモデルとして提示されたクラブの経営計画を実際に立ててもらいます。その出来栄えによって合格、不合格が決まるわけですが、これもS級指導者のライセンスと同じで、順位をつけています。

 卒業生は実際に各都道府県のサッカー協会やクラブ、そして日本サッカー協会でも働いていますが、評判は非常にいいですね。我々としては、将来有望なスポーツマネジャーをどんどん生み出しているという手応えを感じています。

 指導者のライセンスにしてもそうですが、選手を育てる仕組み、選手を取り巻く環境の整備については、他の競技団体とは比べものにならないほど充実しているといっていいでしょう。

眞柄なるほど。こうした取り組みがうまく機能すれば、いま掲げられている目標も、けっして絵空事ではないと思います。

 ところでキャプテンの夢は、やはり「ワールドカップでの優勝」ですか。

川淵もちろんそれもありますが、Jリーグチェアマン時代から芝生のグラウンドの推進活動を積極的に行っており、小中学校の校庭をみんな芝生にして、子どもたちがそこで思いっきり遊んだりスポーツを楽しんだりする環境を広げていきたいですね。

 また、フットサルの推進にも取り組んでいます。フットサルはボールの扱いが簡単だし、交代も自由だからたくさんの人が参加できるので、サッカーよりも敷居が低い競技です。

 隣近所でチームをつくり、地域の小中学校を会場に、毎週リーグ戦が開かれる。その日はお父さんも早く帰ってきて参加する――そんな光景が日本中で見られるようになるというのが私の夢ですね。

 「キャプテンズ・ミッション」にもフットサルの普及に努めることをあげていますが、これを通じて日本にスポーツの輪が広がり、地域社会が活性化していけば、こんなにうれしいことはありません。

 もちろん日本代表が強くなることも大切ですけどね(笑)。

眞柄今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。日本代表チームの活躍を大いに期待しています。

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対談目次

1)企業だけでなく、市民に支えられてこそ発展する

2)「ワールドカップ優勝」を目指して、子どもたちから育てる

3)選手、指導者、マネジャーが三位一体こそ将来の夢へつながる

川淵 三郎氏 ゲスト:川淵 三郎氏
日本サッカー協会キャプテン

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

プロフィール

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