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エグゼクティブ対談 【第25回】小山 裕久氏 (日本料理人)

「他人に引けをとらない」というプライドの大切さ(3/4)

basaraが開いた日本料理の国際化への道

眞柄アークヒルズに「日本料理 basara」という店をつくられましたね。日本料理の店なのにワインを豊富にそろえるなど、新しいアプローチをされていると感じました。

小山出店した当時は、若い人たちはみんなイタリアンやフレンチに流れていました。日本料理といえば高級店が中心で、若い人たちがちょっと贅沢をしてみようかという場所、比較的気軽な料金で純度の高い日本料理を楽しめる場所がなかったんです。ひょっとするとそこに大きなマーケットがあるかもしれないと考えました。

 また、私は徳島にいたときから座敷の料理しかつくったことがなかったので、一度はカウンター中心の店で勝負してみたいと思っていたんです。そこでbasaraをつくったのですが、結果は予想以上にお客さまに支持していただき――お金で表現するのはあまり粋ではありませんが――1日で300万円以上売り上げる日があるほど大盛況でしたね。

眞柄basaraができるまでは、ちょっとウェスタンな気分でしっかりした和食を楽しめる店はありませんでしたからね。

小山そのとおりです。ただ、basaraを出すにあたって、捨てたものがふたつあります。ひとつは季節ごとに食器を替えること、もうひとつは吸い物です。どちらも日本料理店では「あって当たり前」なのですが、季節の食器をそろえるにはそれなりの投資が必要です。また、吸い物は日本料理でいちばんお金がかかるものですから。

眞柄吸い物にお金がかかるんですか。

小山ちゃんとつくろうとすれば、という条件つきですが。鰹節を削ってひきたての吸い物を出すには、コストも人手もかかります。手を抜こうと思えばいくらでも抜けますが、それは私の仕事ではありませんから。

 その代わり、東京消防庁にお願いして、アークヒルズのなかで薪でご飯を炊く許可を得ました。また、魚はすべて天然物で、炭火で焼くことにしました。

 見てくれはおしゃれな雰囲気でも、日本料理の芯ははずさないというのがbasaraの原点です。そこがお客さまに受けたのだと思います。

眞柄なるほど。しかしbasaraの成功以降、似たような店がたくさんできましたね。

小山そうですね。内容的には有象無象になってしまっていますから、basaraがつくった道筋が、果たして良かったのか悪かったのか、わからなくなることもあります。ただ、日本料理が世界に発信していくときの、ひとつの方向性ではあると思っています。

眞柄basaraは海外にも展開されているんですよね。

小山現在は徳島とジャカルタにあります。パリでもやりたかったのですが、労働組合の問題などが難しくて……

 一時、周囲のすすめもあって自分で経営やファイナンスまで手がけることもやってきたのですが、やはり自分は料理人でありたい。私と一緒に料理をつくってきた仲間と一緒に、もっと料理の高みを目指したいと思っています。

 そんななか、マネジメントやファイナンスを任せられる体制が整ってきたので、いい方向に動けるようになりましたね。

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対談目次

1)日本料理における伝統をすべて具現化していきたい

2)日本料理の講習会でフランスという国の懐の深さを実感

3)basaraが開いた日本料理の国際化への道

4)技術の“標準化”を通じて日本料理の裾野を広げたい

小山 裕久氏 ゲスト:小山 裕久氏
日本料理人

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

プロフィール

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