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エグゼクティブ対談 【第22回】吉田 和正氏 (インテル株式会社 代表取締役共同社長、
インテル コーポレーション セールス&マーケティング統括本部 副社長)

夢をテクノロジーが実現していくなかに、大きなビジネスチャンスがある(1/3)

夢をテクノロジーが実現していくなかに、大きなビジネスチャンスがある 吉田和正氏

企業が自立するための優れた技術と優れたソリューションを組み合わせる

眞柄インテルさんは半導体メモリーからマイクロプロセッサーに進出され、パソコンの時代を支えてこられたわけですが、最近は「プラットフォーム戦略」を打ち出されていますね。その意味を教えてください。

吉田プラットフォーム戦略を打ち出したのは2005年1月なので、約2年前のことです。その背景には、競争が激化するなかで、いかに早く付加価値の高いサービスをお客さまに提供できるか、という命題がありました。

 私どもがつくっているマイクロプロセッサーは非常に高い価値を生む商品です。しかし、いくら研究開発を重ねて優秀なプロセッサーを作っても、それだけでは意味がありません。ハードウェア・メーカーさんにはインテルのチップを組み込んだ商品を作ってもらわなければいけませんし、ソフトベンダーさんなどにはその上で動くソフトウェアを開発していただかなければ、エンドユーザーにとっては意味がないわけです。

 その一方で、ハード、ソフトともに水平分業が進み、さまざまなソリューションが出てきました。マイクロプロセッサーも、インテル以外のメーカーが力をつけています。そうしたなかでは、世の中にある技術を正しく評価し、優れた技術、優れたソリューションを組み合わせて付加価値の高いサービスを展開することが、エンドユーザーのニーズに応えると同時に、ハード、ソフトメーカーさんが効率よく開発することにもつながるのです。
 つまり、マイクロプロセッサー単体としてお客さまに提供するのではなく、さまざまなハードとソフトを組み合わせたプラットフォームとして提案していこうというのが、2年前に始まったプラットフォーム戦略です。

 それに併せて組織も変更し、5つの事業本部を作りました。企業向け全般を扱うデジタル・エンタープライズ事業本部、一般消費者向けのデジタルホーム事業本部、PC、携帯電話など持ち歩けるものをすべて対象にしたモビリティ事業本部、医療分野、ヘルスケアとITとの融合を考えたデジタルヘルス事業本部、そして新興市場を見据えたチャネル・プラットフォーム事業本部です。

 新興市場というのは、いわゆる発展途上国のことです。最近の調査会社のデータでは、世界のPC市場は年間約2億5000万台なのですが、なかでも発展途上国の市場は20〜30%も伸びています。ところが、そうした国にはコンピュータ・メーカーが少なくて、我々が「ホワイトボックス」と呼んでいる組み立てパソコンや、ローカルのシステムインテグレーターがつくったものが主流です。そうした市場も視野に入れていこうというわけです。

眞柄コンピュータの性能は飛躍的に向上し、少し前までミニコンでやっていた処理が、いまやポケットに入るような端末で実現できる時代です。こうした技術革新の波が、プラットフォーム戦略を必要としていると。

吉田先ほど、年間2億5000万台のパソコンが売れていると申しましたが、携帯電話は5億台、インターネットにつながっている人は10億人以上います。携帯電話も含めると、日本やアメリカのビジネスマンはウェアラブルコンピュータをひとりで3台程度は身につけているでしょう。10年前には考えられなかった数字ですね。

 これらのコンピュータは、もとをたどるとインテルの原点であるシリコン技術のうえに成り立っています。いわば、世界中にシリコンが広まったような状態なのですが、現在の特徴は、それらがネットワーク機能をもって相互につながっていることです。

 こうした進化のなかでは、ある会社がシステムをまるごと開発して販売する―という従来のあり方では、エンドユーザーも納得してくれません。「そのシステムは、他のシステムとどうつながるの?」という疑問が、必ず出てくるわけです。

 実際、システム営業の世界では、従来のように単体のシステムを売るのではなく、「世の中にはこういうサービスがあるので、それをこのように連携させて使えばお客さまにとって最適なシステムを、常に最新の状態で使えますよ」という提案が必要になってきます。
 インテルに関していえば、単に「新しいマイクロプロセッサーを作りました」とお知らせするだけではく、今後開発していく技術や製品をもっとアピールしていかなければなりません。一般消費者向けなら、「マイクロプロセッサーがこのような機能をもったから、こんなことが実現できます」とか、企業向けなら「プロセッサーをデュアルにすることによって、こんなことが具体化できます」という具合に説明していくわけです。
 ハードメーカーさんやソフトメーカーさんは、インテルがプラットフォームとして提供するコンピューティングのパワーがわかり、ネットワークの機能や、供給されるアプリケーションも想像がつきますから、それをふまえてエンドユーザーのニーズに合わせた開発をしていただける。

 マイクロプロセッサーという1つの部品を作りましたというのではなく、マイクロプロセッサーを通じて実現する“新しい世界観”を広めていく、というイメージですね。

眞柄つまるところプラットフォーム戦略とは、さまざまな企業の連携を促す土台のようなものですね。マイクロソフトもそうですが、従来ならば直接取引のあるパートナーさんだけに価値を提供していればよかったものが、いまではその先にいらっしゃる多様な層のお客さまに対して価値を提供していく方法を考えなければなりません。

 そこで、1つのプラットフォームの上にさまざまな知恵が集まれば、エンドユーザーのさまざまなニーズに応えうるサービスが実現できますから。

吉田おっしゃるとおりです。これまでは1つの企業が、知恵を結集して大きなシステムを作り、販売していました。ところがそうしたシステムには多くのムダがあります。ある会社にとってはよくても、別の会社にとっては合わないような機能も含まれているからです。いまやこうしたシステムは求められていません。

 これからは、世の中にあるアプリケーション、今後登場するソリューションなどを積極的に取り入れて連携させた、安価で質の高いサービスが求められています。逆にいえば、ユーザーである企業は、周囲にある優れたものを正しく評価し、うまく連携させて使いこなしていくことが必要です。そうすることで、ある特定のシステムに頼ることなく“自立”していけるわけです。

 そのとき、どこの国の技術、どの企業のソリューションを使うかは関係ありません。世界中を見渡して、もっとも優れたものを取り入れればいいんです。ただ、日本は技術力も開発力もある。さまざまなシステムを構築するとき、日本企業だけで多くの部分をカバーできると思います。

 政府もITの有効活用を打ち出していますから、こうした方向が日本企業全体の強化につながると期待していますし、楽しみでもあります。日本が再び成長の時代に入って世界をリードしていくと、アジアの国々の反応も変わるだろうし、もっと多くの人材が日本に集まるでしょう。すると、インテルやマイクロソフトさんだけではなく、他の外資もどんどん日本に投資するようになる―そういう相乗効果が生まれればいいと思っています。アメリカの企業に勤めてはいますが、やっぱり日本人ですから(笑)。

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対談目次

1)企業が自立するための優れた技術と優れたソリューションを組み合わせる

2)Core 2 Duoプロセッサーの登場でユーザーは久しぶりに夢をみることができた

3)日本はもっとすばらしい国になれる。そのために一生懸命でありつづけたい

吉田 和正氏 ゲスト:吉田 和正氏
インテル株式会社 代表取締役共同社長、 インテル コーポレーション セールス&マーケティング統括本部 副社長

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聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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