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眞柄早稲田ラグビーを語るとき時、6月に亡くなられた宿澤広朗さん、03年11月にイラクで不慮の死を遂げられた奥克彦大使のことが思い出されます。ラグビーだけでなくて、本当に惜しい人材を失ったとあらためて感じますが、森会長からご覧になっていて宿澤さん、奥さんはどんな方だったでしょうか。
森宿澤さんはあれだけラグビーに情熱を注ぎながら、三井住友銀行では将来の頭取候補と言われていましたね。それだけ責任ある仕事を任されたということは、組織をハンドリングする能力に長けていたのでしょう。ラグビーの監督としても卓越した才能を発揮していましたからね。 眞柄森会長は、奥大使と関わりが深かったと聞いていますが。 森私が日本ラグビー協会の会長をお引き受けしたのは、ラグビー界に何か恩返しをしたいという思いがあるからです。話は古くなりますが、私が早稲田のラグビー部を辞めた時、大西鉄之祐先生に退部を申し出たんです。私は自分がラグビー部の推薦で早稲田に入れたと思っていますから、「ラグビー部を辞める以上は、大学も辞めます」と大西先生に言ったら、「馬鹿もーん!」と一喝されました。「ラグビーがなんだ。そんなものは人生から見れば小さなことだ。大学を辞めるとは、いったい君は何を考えているんだ」とえらい剣幕でした。私がそれでも大学を辞めると言ったら、大西先生は「そこまで言うなら、ラグビーに恩返しできるようになれ。そこまでやってみろ!」と言われたんです。この言葉がずっと耳にこびりついています。本当に大切なことを厳しく教えてもらいました。 眞柄そうですか。 森奥くんは外交官になってからオックスフォード大学に留学しました。そこでラグビーのレギュラー選手になったんですね。そうしたら、私のところに大西先生から手紙が送られてきました。奥という後輩はお前と同じでラグビーを途中で辞めたが、今はオックスフォードで選手になった。優秀な選手だったが、外交官になるためにラグビーをいったん諦めた。ラグビーは生涯いつでもやれるものだろう、と。そして、当時の安倍晋太郎外務大臣に紹介しておいてくれ、と書いてあったんですね。それが、奥くんを知った最初です。 眞柄そうでしたか。 森私が総理の時、奥くんは国連政策課長になりました。外務省が、私につなげたのでしょう。 普通なら、課長クラスは総理の部屋に勝手に入れません。局長クラスでもちゃんとアポイントを取って会うようにします。ところが、奥くんは課長なのに「やぁ、先輩」と入ってくる。そんな真似ができたのは彼ぐらいなもので、官邸も認めていました。 週に何度も訪ねてきていろいろ話しましたよ。そのうち非常に親しくなって、「先輩、ワールドカップを招致しましょうよ」と言い出したのは奥くんです。そこから一緒にいろいろ進めているうちに私が総理大臣を辞めることになりました。 彼はがっくりきて、「先輩が総理大臣を辞めたら日本にいてもしょうがないから、また外国のどこかへ行ってきます」と話しにきました。「ワールドカップを日本へ招致するなら、イギリスへ行ったらどうだ」と言ったのは私です。奥くんも希望し、私も外務省に頼んだりして、彼はイギリスへ行きました。それがイラクへの長期出張につながるんです。
眞柄そういう経緯があったのですか。 森長期出張の前にも、私の部屋へきて「イラクへ日本人は誰も行ってないんです」と言っていました。在イラク大使は決まっていても日本にいました。バグダッドは危険だから誰も行っていなかったんです。「それはおかしいけど、危ないだろ」と言ったら、奥くんは「いや、そのうち平和になりますから、その時に日本は何もしなかったと言われてはいけません。僕しかいないと思います」といって、彼は自分で手を挙げたんですね。「そうだな、じゃあ頑張ってこい」と、私は彼をイラクへ長期出張に出したんです。 だから、あの事件が起きた時は、本当に申し訳なくて・・・。 眞柄そういうお話は、初めてお聞きしました。 森私が日本ラグビー協会の会長を引き受けたのは、奥くんの想いを何とか実現してやりたいという気持ちがあったからです。 眞柄最後になりますが、皆様にお聞きしている質問です。森会長にとって現在の夢とは何でしょうか。 森目の前のことでいえば、ラグビーのワールドカップです。 眞柄2015年大会の招致ですね。
森日本のラガーマンたちが喜ぶ顔が見たいというのはやはりありますね。 眞柄長期的な夢では何かありますでしょうか。 森日本の子どもたちがノーマルな状態になって、海外の子どもたちと伍していけるようになってもらうことですね。 今でも、優秀な子や勉強ができる子はいます。しかし、国全体として子どもたちが、本当に素直に育ってくれたらいいと思いますね。世界の国々から軽蔑されない国民性にしなくてはいけないと思います。 眞柄子どもたちが元気のない国はいけませんね。 森未来がないですね。 眞柄子どもたちが胸を張って元気でいるのが一番です。野球でホームラン打って、窓ガラスを割ってもいいじゃないかと思います。 森そういう遊びやスポーツを通して、友情を大切にして欲しいですね。本当の友情を。 今は評判が悪いけど、ゆとりの教育は私が首謀者なんです。おかげでフリーターやニートが出てきたと言われるけど、私はそうは思いません。 学力向上ばかり目標にするから、みんなが勉強に追い立てられ、あるラインを突破した子だけ先生に評価されるでしょう。しかし生まれてもって、勉強が苦手でも、100メートルを走らせたら10秒を切る生まれ持った才能を持った優秀な人だって多くいますよ。そこは評価されにくいのが現状でしょう。それぞれの能力をもっと伸ばしてやればいいのに、今の学校現場は、何でも点数至上主義にしてしまう。 眞柄画一的ですね。 森学力だけで子どもを判断するのは危険だから、総合学習の時間をつくろうと考えたんですよ。学科以外のさまざまなことをやらせて、子どもの長所をうまく導き出してやればいいと思うのですが、残念ながら、そこまでの能力が今の先生にはないようです。 教育体系に体験主義もうまく加味してやらないと、みんな腐ってしまいますよ。
眞柄本日は、森会長がラグビーに関わられた経緯から奥大使とのエピソードなど、興味深いお話をたくさんお聞かせいただき大変感激しております。また、青少年教育に対するお考えも全く同感です。森会長には今後ともラグビー、青少年の教育を含めて、リーダーシップを発揮し続けていただきたいと思います。本日はご多忙のところお時間を頂戴し本当に今日はどうもありがとうございました。
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4)会長就任はラグビーへの恩返し 故・奥克彦大使の想いを実現する
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