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眞柄清宮さんは2001年に早稲田大学ラグビー蹴球部の監督に就任され、ご自身が“史上最強”と呼ぶ素晴らしいチームを育てられました。主な戦績を振り返ってみるだけでも、監督として類いまれな手腕を発揮されてきたことがわかります。 監督就任の年、早稲田は関東大学対抗戦で11年ぶりの全勝優勝を果たしました。03年1月には大学選手権で13年ぶりに優勝。昨年1月ふたたび大学選手権を制し、12月には史上初となる関東大学対抗戦の5年連続全勝優勝を達成しました。今年1月の大学選手権でも圧倒的な強さをみせ、31年ぶりの連覇で優勝を飾り、2月に学生チームとして18年ぶりに社会人チームのトヨタ自動車を破ったのも記憶に新しいところです。5年間の実績は、大学ラグビーの監督として“歴史に残る偉業”と言っても大げさではないでしょう。 清宮ありがとうございます。 眞柄清宮さんが書かれた本は、私もよく読ませてもらっています。リーダーシップや組織運営の秘訣がうかがえるので、ラグビーを知らなくても、組織に属したことがある人なら参考になる点が数多くあると思います。清宮さんはもともと優秀なビジネスマンですし、チーム運営の基本はスポーツもビジネスも変わらないことがよくわかりますね。 最近では関東学院大学の春口廣監督との対談も、『指導力』(松瀬学著、光文社新書)のタイトルで出版されました。早稲田と関東学院がいまの大学ラグビー界を引っ張る二強ということは、ラグビーファンならよくご存じでしょう。全国大学選手権の決勝戦では5年連続で対決し、早稲田の3勝2敗というまさしくよきライバル同士です。 このライバル関係は、清宮さんがつくったと言えますね。監督に就任してすぐ、春口監督のところへ練習試合を申し込みに行ったことからはじまるわけですが、あれは当時、話題になりました。
清宮01年4月のことです。監督就任の挨拶に出かけて、「練習試合をお願いします」と頼みました。関東学院は大学選手権の覇者でしたし、春口監督には高校生のときにお世話になった経緯もあるので、こちらから横浜市の釜利谷グラウンドを訪ねたんです。 そうしたらスポーツ紙に、アポイントもとらずにぶらっと関東学院のグラウンドを訪ねて練習試合を申し込んだ、と書かれたんです。実際はその前から春口監督に電話で「会いましょう」と話していたから、ぶらっとでもないんです。僕はまったく意識してなかったのですが、早稲田の監督が関東学院を訪ねることに特別な意味を感じる人たちがいるんだなぁ、と後から気づいたくらいです。 眞柄裏返せば、それだけ画期的だったということでしょう。過去の伝統からみて、早稲田のライバルは明治や慶應というイメージが強いですから。 清宮今も明治、慶應とのライバル関係は大切にしていますし、チーム運営の重要なポイントとして位置づけています。ただ、関東学院との練習試合を重ねるうちに、これは予想以上に重要なことだとわかってきたんです。春シーズンの最後(6月)と、夏合宿の真ん中(8月)の練習試合が恒例となっていますが、近年はこの春夏の試合結果が本番のシーズンに大きく影響しています。最初から、ライバルとの試合がもつ意味はわかっていたので、そこをチームづくりの舞台にしてやろうという気持ちはありましたね。 眞柄これまでの早明、早慶、慶明とは違う新しいライバル関係が生まれたのは、観戦する側にも楽しみが1つ増えました。 清宮やってる方も楽しいですよ。その練習試合からメンバーの選考がありますから緊張感が高まります。それがチームにとってものすごくプラスに働くわけです。
眞柄早稲田は日本選手権の2回戦でトヨタ自動車を破って“歴史的勝利”を収めましたが、私は偶然その前日に上井草グラウンドを通りかかって練習風景を拝見したんです。早稲田の試合前練習はファンが詰めかけると聞いていましたが、練習であれだけ多くの方が集まっているのには驚きました。 メンバーが円陣を組み、1人ずつ明日の抱負を語っていくと、周りの観衆は水を打ったようにシーンとなる。選手の声にじっと耳を傾けている。感動的な光景でした。 清宮試合前練習は早稲田の伝統で、あの雰囲気は昔から変わっていません。とくに大学選手権の決勝戦は、試合前練習もふだんとは違う空気が張りつめます。早稲田ラグビーのリアルファンにはぜひ観に来てほしいですね。 眞柄試合を観戦するのとは別の意味で、観ていて鳥肌が立ちますね。 清宮選手たちと一緒に試合前練習の空気を吸って、その24時間後に試合を観戦してもらうともっと楽しめると思いますよ。 眞柄そうでしょうね。観衆の方々も常連さんなのか、すごく慣れた様子でした。 清宮今年はいつも来ている顔ぶれと少し違って、新しいファンの方が増えました。それを一番強く感じたのは、トヨタとの試合に勝ったあと、対東芝府中戦の前日ですね。今まで見たことない人がたくさん集まってくれました。あの1勝は大きかったとあらためて感じました。 眞柄清宮さんが率いた早稲田ラグビー部は、何人の部員がいましたか? 清宮プレーヤーは1学年30人で120人、スタッフを含めると約145人です。 眞柄140人以上のチームを1つにまとめる秘訣についてお聞きしたいのですが、清宮さんが掲げたチームスローガン「ULTIMATE CRUSH(アルティメット・クラッシュ)」は素晴らしい効果をあげたと聞いています。
清宮ラグビーというスポーツは、チームによって哲学が違います。観客にとってもそこが面白い点で、ラグビー哲学の違いがプレーに表れる。「ULTIMATE CRUSH」は2年目に掲げたスローガンで「究極の勝利」という意味です。1つのプレーに徹底してこだわり、相手チームが手も足も出ないほど圧倒的に勝つ。早稲田が通った跡はペンペン草も生えない状態にする。そういう気持ちを込めています。 眞柄清宮さんが思い描くチーム像が、理解しやすいシンプルなひと言で表せたと。一撃をくらわせるような言葉ですね。 清宮「ULTIMATE CRUSH」は具体的なプレーがイメージできる。すぐに憶えられて、口に出して言いたくなる。聞いた瞬間に誰もが1つの方向性を共有できる。チームスローガンとして大切な要素がすべて備わっています。 眞柄チーム全体にはどのように効果的だったのでしょうか? 清宮チームをまとめるうえで最も大切なことは、1軍であるAチームに、他のプレーヤーたちが何を与えられるか、どう影響するかという点です。それが、早稲田らしさ、つまり「ULTIMATE CRUSH」です。 ラグビーでは能力が低い選手ほど、精神的な部分が目立ってくるんです。下のチームはたとえプレーの能力が低くても、「ULTIMATE CRUSH」の精神は強く発揮できる。彼らのプレーをみて、Aチームの選手たちは刺激を受け、時には「おれはあいつに負けてる」と思うんですね。自分より運動神経がなくて脚も遅い選手が、ものすごく激しいプレーをしている。ひるまず、身体を張って、踏み込んでいく。それがAチームにパワーを与えるんですね。あいつに負けられないぞ、と。そこから全員で戦うチームが築けるわけです。 チームスローガンはものすごく大事で、そのチームの色や形を示していると僕は思っています。 |
2)的確で強いチームスローガンがメンバー共通の方向性を与える
3)よき先輩だった奥克彦大使が「ULTIMATE CRUSH」の生みの親
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