|
|
![]()
![]()
|
|||
|
|||
![]()
|
眞柄昨年末には政府系金融機関の統合が発表され、また公務員削減といったニュースも聞かれていますが、これから実施される構造改革の全体像をお聞かせいただけますか。
竹中改革の基本理念は極めて明快で、「小さくて効率的な政府をつくる」ということです。今後ますます高齢化が進み、人口も減ってきます。そのなかで政府が大きければ、国民の経済負担はどんどん重くなり、経済の基盤が崩れてしまう。だからこそ、民間でできることは民間に、地方ができることは地方に任せて、政府を小さく、かつ効率的にしていくことが必要になっているのです。 郵政民営化はその典型で、26万人の郵政職員が民間企業の社員になると、それだけでも国家公務員は約3割減ることになります。一気にこれだけの効果が期待できる行政改革はほかにありません。まさに構造改革の象徴といえるでしょう。 もう1つ、郵政の民営化はお金の流れという点でも重要です。郵便貯金の残高は現在、4大メガバンクの預金残高よりも多く、1400兆円ある個人金融資産のうち実に26%が国に入っている計算になります。しかし郵政事業が民営化されると、このウェートは約10年後に5%まで下がります。つまり“お金の入り口”に関しては、間違いなく小さな政府ができるわけです。 同時に考えなければならないのは“お金の出口”です。現在、政府系の金融機関は商工中金、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫など8つあり、企業の資金調達に占めるシェアは合計で19%に達しています。政府系金融機関がこんなに多い国はほかにありません。しかし、これを改革することによって、10年後には融資残高シェアを5%にまで圧縮することができます。これが昨年11月末に発表したもので、商工中金などは民営化し、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫などの5機関を1つに統合するというものです。 眞柄なるほど。しかし地方の中小・零細企業には政府系金融機関に頼っているところが多くありますから、不安が広がる心配はありませんか。 竹中もちろん、政府が責任をもつべき金融事業もあります。海外のケースを見てもそうです。民間だけでは中小・零細企業のニーズに十分に応えることはできません。そこは統合によって誕生する新機関が果たす責務になります。また、インフラの整備に対する融資などリスクの高いものも、政府が手がけなければならない分野でしょう。しかし、それ以外のものはほとんど民間でまかなうことができるはずです。 統合するときに必要以外の機能を削ぎ落とすと、新機関の融資残高は40兆円ほどになるでしょう。これはりそなグループとほぼ同じ規模で、金融機関の経営という観点からしても適正でしょう。
眞柄ところで、竹中大臣は2000年にIT戦略会議のメンバーになられて以来、日本のIT戦略の立案に関わってこられました。2001年に発表されたe-Japan戦略では「5年以内に超高速アクセスが可能な世界最高水準のインターネット網の整備を促進し、必要とするすべての国民が低廉な料金で利用できるようにする」という目標を掲げ、現在ほぼ達成されたのではないかと思います。ご自身はどうご覧になっていますか。 竹中2000年に森内閣ができたとき、私とは慶應大学の同僚で、インターネットの専門家である村井純さんを当事の森喜朗総理にご紹介しました。それがIT戦略会議ができたきっかけの1つです。ソニーCEOだった出井伸之さんが議長となり、ソフトバンクの孫正義さんや東京大学の伊藤元重教授らをメンバーに発足しましたが、おっしゃるように「2005年までに日本を世界最先端のIT国家にしよう」とぶちあげました。IT国家としてまず重要なことはインフラですから。 インターネットに関しては当時、アメリカなどに大きく後れをとっていましたから、「世界最先端のIT国家になる」という話を信じた人は少なかったと思います。しかし現在、インフラ面ではおおむね達成できたといっていいでしょう。
日本のインターネットはいま世界で最も高速で、最も安く利用できます。政策は数知れずありますが、これほどうまくいった例はあまりないでしょうね。ある意味で世界の見本となり、ヨーロッパやロシアも同様の改革に取り組んでいます。 このようにインフラに関しては満足のいく結果が得られましたが、問題は利用と活用の面です。2000年の時点ではインフラさえ整備すれば、あとは民間の知恵でさまざまな応用が出てくると多くの人々は楽観していました。実際、ネットを利用した各種サービスが登場しているわけですが、いまなおせっかくのインフラが十分に活用されているとはいえない状況です。 そこで、2003年に発表した「e-Japan戦略II」では、「IT利活用」というキーワードを盛り込みました。ITを活用する分野として医療、食、生活、中小企業金融などの7つに重点を置きつつ、それを支える人材の育成、研究開発の強化などに取り組んでいます。 また、インターネットの発展と時を同じくして、ユビキタスという概念も定着してきました。いつでも、どこでも、誰でも、何でも情報にアクセスできる環境のことですが、こうした概念が新たに登場したことで、ITの利活用に対して国民がますます貪欲になってきたというのが現在の状況でしょう。しかしそのニーズに応えるためには、まだまだブレイクスルーが必要だと思います。 眞柄世界最速でなおかつ安い情報網ができたうえに、携帯電話も含めると子どもから老人まで、ほとんどの人がどこにいても情報にアクセスできる環境が整ってきたわけですね。それを前提に、さらに便利なサービスの開発が待たれると。 竹中いまや一般の人でも、技術的には何でもできることがわかっています。それにもかかわらず、実現していないことはたくさんある。たとえば、携帯電話で音楽は聴けるのに、普通にテレビを観ることができません。全国どこにいても同じウェブサイトが閲覧できるのに、地方ではいまでも東京と同じテレビ番組を観ることができない。 これには著作権の問題などが大きく横たわっています。通信と放送では著作権に対する考え方が違うので、いきなりその壁を取り払うことは難しいでしょう。しかし議論だけしていても何ら進歩はありません。インフラが整えば整うほどコンテンツの問題、つまり著作権がもつ意味は重くなってきます。その壁にどう取り組んでいけるかは、e-Japanの次のステージに課せられたテーマだと思います。
眞柄IT活用という意味では、企業経営の面でも課題があります。e-Japanではインターネットを構造改革にも積極的に利用していくと謳われていますが、民間企業にとってはITをいかに経営に活かすかが重要だと思うのですが。 竹中その通りですね。私は大臣になる前から、中小企業の経営者の方々が集まる講演では必ず次のようなことを申し上げてきました。「みなさんは、社員たちに『いまやIT時代だ。インターネットくらい使えないでどうする』と話されているでしょう。でも、社長ご自身は使われていますか?」と。 ここに一番の問題があると思います。いまでは部長のところへ夜中にメールを送るという大企業の会長さんもいらっしゃいますが、やはり全員が臆さずに参加することを心がけなければいけません。 眞柄せっかくインフラが整ったわけですから、経営者の方々にはビジネス・プロセスの革新にもっとITを活用していただきたいですね。ただIT業界のほうがあまりに「ITだITだ」と騒ぎすぎると、みなさんが目的と方法を取り違えてしまうという心配もありますが。 竹中慶應大学の教授をしていたときに、ある学生が「インターネットを文房具だと思いましょう」というキャッチフレーズを出しました。まさにその通りだと思います。ITという言葉が一人歩きすると何かファッションのようになってしまいますが、それは避けなければいけません。 |
1)いまのマス・メディアは複雑になった政策についてこられない
2)中小・零細企業への融資は継続しつつ政府系金融機関を統廃合する
4)ウェル・インフォームド・パブリックの形成をライフワークにしていきたい
![]() 対談を読まれたご意見やご感想をお待ちしております。また、皆さまから寄せられましたご意見・ご感想もご覧いただけます。
業界のリーダーたちが語る、熱い経営理論。対談のバックナンバーはこちらからご覧ください。
|
![]()
| 全国経革広場トップページ | 経営を知る | 経営を語る | 経営をITで変える | 経営に役立つ | 経革広場ネットワーク | 経革広場とは | おすすめサイト紹介 | メールマガジン | サイトマップ | 会員登録(無料) | 登録内容変更・退会 | ご利用規約 個人情報の取り扱いについて | リンクについて |
||