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エグゼクティブ対談 【第13回】竹中平蔵氏 (総務大臣 郵政民営化担当)

世界最先端のITインフラを礎に、最高水準の“IT利活用”を推進する(1/3)

世界最先端のITインフラを礎に、最高水準の“IT利活用”を推進する 竹中平蔵氏

いまのマス・メディアは複雑になった政策についてこられない

眞柄大臣は就任以来、構造改革に取り組んでいらっしゃいますが、その象徴である郵政民営化は、昨年の総選挙の歴史的な勝利を経て本格的に動き出しているのだと思います。ここまでを振り返って、大臣が最もご苦労されたのはどんな点でしょうか。

竹中法案が成立するまでの過程で一番大変だったのは、意外に思われるかもしれませんが、国会での審議でも総選挙でもなく、昨年4月のことでした。その第1週の週末に、政府としての考え方をとりまとめたのですが、このプロセスは実にタフなものでした。

 当然のことながら、この段階では政府は一枚岩でなく、私から見れば、非改革的な案も出されてきました。たとえば新会社を特殊会社にするのか、商法に基づく一般法人にするのか、または株式をどれくらい売却するのか、社員の身分をどうするのか……など、対立項目は数十にわたっていました。それらの対立を2日間の交渉で解消し、構造改革が骨抜きにならないような形にもっていかなければならなかったわけです。

眞柄相手側もデータを整備して対案を示してきたわけですね。

法案が成立するまでの過程で一番大変だったのは、構造改革が骨抜きにならないような形で政府としての考え方をまとめる事でした。

竹中対立点は本質論にかかわる問題もあれば、データで示せるものもありましたが、郵政民営化に対しては様々な見解があり、一筋縄ではいきません。いずれにしても丸2日間、激しく議論して、どうしても解決できないものだけは総理の決定を仰ぎましたが、ようやく現在の法律の骨格となるものができたわけです。いま振り返るとこの2日間が、郵政民営化へのヤマ場だったのだと思います。

眞柄大臣は総選挙後にふたたび郵政民営化担当となられて、今後は実際に民営化を実現していく責務を負っていらっしゃるわけですが、今後の流れを教えていただけますか。

竹中まず、成立した法律に基づいて準備を進めていくことになります。具体的には、今年10月に日本郵政株式会社という持ち株会社をつくるわけですが、その原型となる準備企画会社はこの1月に設立されます。トップは三井住友銀行前頭取の西川善文さんです。日本を代表する経営手腕を持った方ですから、民営化に向けていいスタートが切れると期待できます。

 次に、4月には郵政民営化委員会をつくります。民営化ですから、日本郵政株式会社には大いに経営の自由度を発揮していただきたいですが、儲けるためには何をやってもいいというわけではありません。民営化するといっても、日本郵政株式会社は非常に大きな組織ですし、政府の資本も入っているわけですから、他の民間企業や経済全体とのバランスをとっていかなければならない。それを議論するための専門家の集まりが郵政民営化委員会です。

 ただ、4月に民営化委員会をつくるといいましたが、2月か3月にはその準備委員会のようなものをつくらなければなりません。というのも準備企画会社は4月に国際物流分野への進出を予定しているので、それについて事前に議論する必要があるからです。

 それだけに、法律が成立してから昨年末にかけては、準備企画会社の設立準備や民営化委員会のメンバー選定などに追われていました。

眞柄そうした政府内の動きは、新聞などマス・メディアからは中々伝わってきませんね。法律ができたことで、私たちは何となく、郵政事業が自動的に民営化されるような気になっています。このようなお話は、もっと表に出てしかるべきですよね。

竹中実際、私はメディアに対して毎日のように話しているのですが、日本のメディアはこうした地味な話題は中々取り上げてくれません。誰かと誰かが対立しているといった話にはすぐに反応するのに、肝心の政策については記事になりにくいようです。

眞柄前回の総選挙では、一般の人たちが郵政民営化という政策に関心をもって投票したと思います。政策についてみんなが注目するというムードができただけに、いまメディアが政策について詳細な記事展開しないとなると残念ですね。

日本のメディアは、肝心の政策については中々取り上げてくれません。政策が大変難しくなってきているために、民間の評論家やメディアがついてこられなくなってきているんです。

竹中私は常々、なぜそうなのだろうと考えているのですが、1つには、政策というものが一般のメディア関係者が考えている以上に難しいということがあると思います。法律について解説するのも難しいし、ある政策のマクロ経済効果を分析するのも難しい。政策が大変難しくなってきているために、民間の評論家やメディアがついてこられなくなってきているんです。

 これは非常に情けない話だと思います。政策を語れる専門家のグループが、この社会のなかに欠落しているということですから。

眞柄なるほど。3〜4年ほど前、大臣が「構造改革によって日本は活力を取り戻せる」とおっしゃっていたころ、多くの評論家たちは「もう日本はおしまいだ」と悲観的なことばかりいっていました。そしていま、製造業は大臣がおっしゃっていたように調子が上向いてきています。あの評論家たちはどこに行ってしまったのでしょうね。

竹中それが評論家というものですね。よくいえば言論の自由ですから。もちろん、評論家の予測した結末にならないように、日本人の1人ひとりが本当に頑張ったということだと思います。

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対談目次

1)いまのマス・メディアは複雑になった政策についてこられない

2)中小・零細企業への融資は継続しつつ政府系金融機関を統廃合する

3)誰もが臆せずに参加するという意識がIT活用への第一歩

4)ウェル・インフォームド・パブリックの形成をライフワークにしていきたい

ゲスト:竹中平蔵氏
総務大臣 郵政民営化担当

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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