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エグゼクティブ対談 【第9回】清水康敬氏 (NPO法人ブロードバンドスクール協会 理事長)

開かれた教育現場とIT推進が、子どもたちによりよい学習環境を提供する(1/4)

開かれた教育現場とIT推進が、子どもたちによりよい学習環境を提供する 清水康敬氏

市町村単位の取り組みが学校のIT化を一気に進める

眞柄清水先生にはブロードバンドスクールはじめ、子どもの教育とマイクロソフトを結ぶ接点で多くのご助力をいただいております。先生とのお付き合いがはじまって以来、私どもはさまざまなレベルで教育現場へ足を運ぶようになり、教育界の方々と知り合うこともできました。その意味でたいへん感謝しております。

 日ごろブロードバンドスクールの活動でご一緒する機会も多いのですが、本日はあらためて、日本の学校教育におけるIT化の現状や海外の状況、地域社会と学校のかかわりなどについて清水先生のご意見をうかがいたいと考えております。よろしくお願い致します。

清水当協会が進める活動ではいつもマイクロソフトさんにサポートしていただき、たいへん感謝しております。こちらこそよろしくお願いします。

眞柄まず初めに教育現場のIT化についてうかがいたいと思いますが、日本は2000年に「e-Japan構想」を打ち上げ、ITの普及と高度化には国として多額の投資を行なってきました。その重点項目にはもちろん「教育の情報化」も掲げています。清水先生の目からみて、これまでの進捗はどのように評価されていますか?

清水「e-Japan構想」にも謳われているように、いまはあらゆる分野でITが発展の鍵になることは確かです。ITによって社会は高度化し、私たちの生活も豊かになるわけですが、とくに「教育の情報化」はわが国の将来を考えたとき、きわめて重要なテーマとなります。その点で国が推進することには大きな意味があります。

 「e-Japan戦略」では、この2005年度は大きな節目の年です。5年前に打ち出した数値目標が達成できたかどうかという結果が、来年3月末には明らかになります。

眞柄「e-Japan戦略」は具体的な数字を目標に掲げたところが画期的でしたが、学校教育に関する各項目は達成されそうですか?

できれば無線LANを入れて、すべての教室が高速ネットワークにつながるようにしたいですね。

清水残念ながら、今年度中に達成されそうもない項目もいくつかあります。まずインフラ整備の面では、「コンピュータはすべての教室に2台設置」という項目はかなり難しそうです。 「すべての教室でインターネットが使えるようにする」という項目も厳しいですが、この目標を掲げたこと自体は私も評価しています。

 すべての教室でインターネットを使うには校内LANの整備がどうしても必要です。昨年のデータをみる限り、校内LANの整備はかなり遅れているのが現状です。できれば無線LANを入れて、すべての教室が高速ネットワークにつながるようにしたいですね。

眞柄データからみると「教育の情報化」は遅れぎみということですか。

清水私は各項目の進捗状況をグラフにしましたが、項目によって進捗の差に開きがあります。教室のコンピュータ整備は厳しい一方で、「学校のブロードバンド接続」のほうは達成可能です。各学校までブロードバンドは届いたわけですから、あとは学校内に無線LANを整備すればいいということになります。

眞柄その意味では、ブロードバンドスクールが当初から無線LANで取り組んできたのは先進的でしたね。

清水先進的だったと思います。やはりブロードバンドとナローバンドでは、使い勝手がまったく違いますし、扱える教科コンテンツのレベルや品質に格段の違いが表れます。学習効果のほうもそれだけ差が出るということです。

 先ほど教室のコンピュータ整備は遅れぎみだと申しましたが、パソコンやインターネットの導入状況は、都道府県による違い、市町村による違いが大きいんですね。しかも、道府県別のグラフでは目標達成が難しいようにみえますが、市町村別のグラフではそうとも言い切れない。パソコン導入やインターネット接続は、市町村によっては1年ほどで立ち上げています。各市町村の取り組みとして一気にやろうと思えば不可能ではないんですね。

眞柄むしろ、市町村単位の取り組みにかかっていると。

清水教室の無線LAN導入でも、市が取り組めば一気に数字が高くなるはずです。予算さえつけばかなりスピーディに整備できますから、そうなると市長さんや教育長さんの決断が最大のポイントではないかと思います。

眞柄ハードではなくソフトの面、つまり先生方の指導力はどうでしょうか。

清水先生方のコンピュータを使う能力は十分あるとは思います。ただしコンピュータが使えることと、学校の教科指導が効果的にできることは別問題です。国語や算数といった教科ごとに指導方法が違うのと同様に、先生方にはコンピュータ活用に適した指導法をきちんと修得してもらう必要があるでしょう。これまで、効果的な指導法という観点であまり力が入れてこなかったのは問題だと思います。

眞柄来年3月までに日本が世界最先端のIT国家になるのは難しいかもしれませんが、清水先生がご指摘されたように立ち遅れているポイントがしっかり把握できていることは大きいですね。改善ポイントが明確なだけ、展望は開けているように思いますが。

最大のポイントは「IT活用によって子どもたちの学力が飛躍的に向上する」ということです。

清水そこは非常に重要です。改善点がみえていますから、あとは着実に取り組んでいけばいいわけです。まずは予算を組む人たちに「なぜ学校にコンピュータやインターネットが必要なのか」という意義を理解してもらうことでしょう。

 最大のポイントは「IT活用によって子どもたちの学力が飛躍的に向上する」ということです。この点さえ理解してもらえれば、答えは明白でしょう。自分たちの地域にいる子どもたちが、他の地域に比べて学力が劣るというのはたいへんな問題ですから。

眞柄そこに気づけば、優先度は上がりますね。

清水予算を決める方々に向けて、そういう観点で説明が不足していたのは事実です。昨年、日本教育工学会が文部科学省から委託を受け、IT活用が子どもたちの学力向上にどれだけ貢献するかを調べました。そのデータは予算化のときにぜひ使っていただきたいと思っています。

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対談目次

1)市町村単位の取り組みが学校のIT化を一気に進める

2)教育現場は一般より高レベルの情報セキュリティが求められる

3)学校と企業が連携していくことで子どもにいい学習環境が提供できる

4)学校がブロードバンド環境をもてば地域コミュニティの中心的存在になる

ゲスト:清水康敬氏
NPO法人ブロードバンドスクール協会 理事長

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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